第4話 恋は人を変えるらしい②
初登校の週の日曜日。
12時──快星は水蓮高校最寄りの駅『水蓮高校前駅』の二つ隣の『
「わり〜!少し遅れちった!」
12時集合の10分遅れで大那はやってきた。
「集合時間に遅れて怒るような人間ではないから安心しろ。
ただし、なんでお前の後ろにアラキマルがいるのか説明しろ。」
快星は大那の後ろに自然に当たり前のように立っているクラスメイトの真流の方を見て言った。
「いやぁそれがな、来る途中にたい焼き買ってるアラキマルにあって、いいなぁ食べてぇな〜って見てたらくれてさ!そりゃぁもう連れてこざるをえなかったというかな!だってたい焼き分け合う仲だぞ?タイフレだぞ?」
「なんだよタイフレって……。(まぁアラキマルならめっちゃダメだしなんてしてこなさそうだしいいか)」
特大フラグである。
「おいらが思うに快星くんってファッションセンス無いに等しいねっ。今日の服もまるでお母さんに選んでもらいましたって感じだねっ。」
「っえ……。」
快星は不意に会心の一撃を喰らった。
「おいアラキマルいきなりそれは違うだろ!確かにかなりダサいけどこの服だってカイカイは自分で選んだはずだぞ!カイカイもそんくらいはさすがにできるぞ!」
快星の残りHPは1になった。
今のダメージはあまりにも痛かった……。危なくこのまま帰るところだった。でもこのままじゃ絶対愛奈さんにも合宿の時同じこと思われて同じくらい、いや、下手したら死に至るくらいのダメージを負うかもしれない。アラキマルよ……はっきり言ってくれてありがとう……。おかげで逆にやる気が出たぞ。
「大那……頼んだ通り俺を変えてくれえぇぇぇ!!!」
◇◇◇◇◇◇
場所は変わり──也袋駅徒歩5分の大型ショッピングモールへ快星たち3人は移動した。
「まずカイカイ、お前が変えなければいけないのはその服装だ!別にオシャレをすれと言っているんじゃ無いんだ。オシャレなんて人によって異なる。ただお前の今の服装はただただダサい。」
ぐさり。
「そのダサくて地味な服装をなんとかしないといけない。目指すは普通だ!あわよくば一部の異性に『え、私あの服装全然アリ!』くらいが満点だな。」
「せんせーい。まず僕の今の服装の何がいけないんですか〜?」
「はいよく聞きましたカイカイくん。一つ一つ説明していこう。まずそのズボン。
なぜこうOKN(オシャレ・キョーミ・ナイ)たちはみんなそのズボンを着る?!太もも横のポケットは必要無い!ベージュは上級者にしか着れん!」
大那の勢いある駄目出しに快星は呆然と聞いていることしかできなかった。
「次!上のそのシャツ!それもだ!なんでOKNチェックのシャツを着たがる?!赤青のチェックがなんでそんなに好きなんだ?!最後にそのカバン!その肩に斜めにかける楕円型のやつはオシャレな人が持たないと中学生にしか見えん!以上。」
「あ、あの僕本当に変われるんでしょうか?(泣)」
快星はあまりの駄目出しに泣きそうになりながらも言った。
「快星くんはスタイルはいいしそのダサい服なんとかすれば変われるんじゃないかなっ」
真流がそういったものの快星はこいつには言われたくねぇと思うのであった。
「じゃあ全体的にだけど今回はモノクロコーデでいこうと思う。カイカイ、予算は?」
「んーと、7万くらいかな??」
「7万?!?!?」
高校生の口から7万なんて額が出たことに大那は驚き、止めようとした。
が、しかし快星は春休み中稼いだ7万をここで全部使ってしまいたいくらい本気だったのである。
◇◇◇◇◇◇
「おぉ似合ってる!!いいよカイカイ!すごいお前なんか普通にオシャレだぞ!」
快星のトータルコーデを終え、着替えた快星を見て大那は言った。
最近流行中のNEKIの黒スニーカーに快星の脚の細さを生かした黒スキニージーンズ、上は白い大きなパーカーに首元に白いシャツをのぞかせるといった言ったままのモノクロコーデである。
「予算もあってこのコーデ以外にも服はたくさん揃えられたから今後カイカイが服に困ることは無いであろう!ということで次すべきはその髪だな。」
快星はヘアースタイルなんて特に意識したことがなく、小さい頃から同じ床屋にかよっていたので髪型はいつも同じであった。
「その髪型小学校から何も変わらないよなカイカイは。美容室でかっこよくしてもらおう!」
「び、美容室……」
◇◇◇◇◇◇
「カイカイ……お前ってそんなにイケメンだったか……?」
こうして快星はイケメンになったのであった。
「おいらって必要だったの??まぁいっか〜〜」
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