第2話 3年5組の愉快な仲間たち
あの朝の一件以来、教室で突然大きな声で叫んでしまった快星は3−5で変に注目を浴びていた。
まずいまずいまずい!非常にまずい!朝は思わずいろんなことがありすぎて取り乱してしまった。これから自己紹介だっていうのにこんなんじゃ変に注目集めちまうじゃないか。
「それじゃあ、出席番号順に自己紹介お願いしまーす。」
相変わらずだるそうだな、国木先生。生物で一年からお世話になってはいるけどこの感じには未だに慣れんな……。まさか担任になるとは……。
「最初はおいらですね。」
あ、アラキマルだ。
「
2年からアラキマルはなんも変わらないなぁ。いつもすごい髪型してるけど確かあんな武将みたいな髪型してるから名前から文字ってアラキマルになったんだっけか?
「大海大那です!サッカー部です!あ、ダイダイって呼んでください!卒業後は推薦をいただいた
次は俺か……。高校3年ともなれば何回もこんな自己紹介なんてするからなれてはいるけど……今回は変に緊張するなぁ。ぐ、腹痛がぁ。
「か、
なんだよ今の挨拶ぅぅぅう!ド隠キャかワシは……!!恥ずかしい恥ずかしい!殺してくれ誰かぁぁぁあああ!
最悪なスタートだ、あの人に絶対キモがられてる……。
そんなふうに思いながらも恐る恐る例の少女に目を向けた。
例の少女は思いの外、クスクス笑みを浮かべていた。
あの笑みはなんだ、哀れみなのか?純粋な笑みなのか?頼むから純粋な笑みであってくれ(泣)
「
なにこの自己紹介?!?!完璧なの?!?!サッカー部キャプテン、成績優秀、性格がよくて、学年一のイケメンと呼ばれ女子からモテモテ……神様ぁ、一つくらい何か分けてよぉ……。
▽
▽
▽
「はい、以上男子8にーん。次女子ー。」
いよいよあの人だ……。
「初めましての方もいますね。
愛奈っていうんだ……名前まで可愛いなぁ。やっぱりどこからどう見ても26歳になんて見えないな。でもなんだろうどことなく悲しそうな自己紹介だった気が。でも『みなさんと仲良くなりたいです!』なんて言ってたし、これから仲良くなれるといいけども……。
っと、次の子は確か愛奈さんと一緒に教室入ってきた子だな。さっきは愛菜さんにかぶってあまりよく見えなかったけどちゃんと見たら可愛いなこの子も。身長そんなに大きくないのに見事にあっちは育っている……ごちそうさまです。愛菜さんの友達……なのか?
「五十嵐ヒカリ《いがらしひかり》です。先ほど自己紹介していた愛奈の双子の妹です」
っ?!妹ぉぉおお?!?!どういうこと?!?!歳は……17歳──同い年か。今まで魔女みたいな人やハゲた20代は見てきたけど、26歳の高校生なんて国から認められるわけないし、愛菜さんの年齢は俺の能力のバグな訳がない。だとしたらこの二人は双子ではない……ただの姉妹?ますます訳がわからない……。
「似てないけど、双子です。私も卒業後は姉と同じ女子大に入学する予定です。どうぞよろしく。」
本当その通りだ。髪の色まで金髪で全く違うじゃないか。しかもツンツン姫を匂わせるこの冷酷感……。絶対俺の苦手なタイプだ……。
▽
▽
▽
「以上女子7にーん。計15にーん。お前らは全員卒業後の道が決まってる。冗談でも取り消しになったとかないように、今日から卒業まで勉学に励んで死ぬほど遊ぶように。じゃあ今日はもう帰っていいぞー。」
3−5はなかなか濃いメンツだが、親友もいる、学年一のイケメンも、ツンツン姫も、なぜか年上の初恋さんもいる。どんなスクールライフが待っているか今後が楽しみだけど俺はこのクラスでクラスメイトBくらいになってしまわないか不安だ……。
「なんだカイカイの奴あんな考え込んだ顔しちゃって?」
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