第2話 王との謁見
光が収まり、視界がクリアになっていく。何だか周りが騒がしい。ガチャガチャと何か金属が擦れるような音もする。
目を開けてみると周りは石壁になっていて窓から見える景色には見たこともない鳥が飛んでいる。
「こ、ここ、何処だよ!!」
皆、混乱しているようでさっき叫んでいたオタクたちも周りをキョロキョロしている。俺はその光景を落ち着いてみていた。……なんでだろう。さすがに自称精神が強い俺でも少しは動揺すると思うのにいつも以上に、冷静だ。
周りの状況を簡単に言うと、俺たちは魔方陣の上にいる。あ、消えた。気を取り直して俺たちの周りには鎧を着た兵士、騎士?みたいな人たちが沢山いて俺たちに剣を向けている。
……なぜに、剣を!?
皆も周りの人たちが此方に剣を向けているのを見てどうしていいのか分からないようだ。
そうしていると急に兵士達が横にずれ始めた。俺たちが気になってそちらを見ていると、そこからピンクのドレスを来た金髪碧眼の美少女が歩いてきた。その美少女は俺たちの前まで来ると、急に頭を下げた。
「申し訳ありません、勇者様方。突然の召喚で驚いているようですが、どうかこの世界をお救いください!!」
「姫様!!そんな何処の奴らとも分からない者に頭を下げる必要はございません!!」
何だ、こいつ、来ている鎧からして他の奴らより地位は高いようだが俺たちを勝手に呼んでおきながら、馬鹿にしているのか?他のクラスメイトもそいつの言い分に対しイラついているようだ。
「何を言っているのですか!此方は勇者様方を勝手に召喚し、頼みをしている側なのです!なのに貴方は、何故そんなことをいうのですか!」
「で、ですが、貴方様は姫様なのです。そう簡単に頭を下げては行けません。ましては勇者とは言え、平民などに。」
「平民や貴族などは関係ありません!此方がお願いをするのです。そんな態度はあり得ません!誰か、この者を外に連れていきなさい。」
姫様?の命令でさっきの男がほかの兵士達に引っ張られ外に連れてかれた。
その様子を見てクラスメイト達も落ち着いてきたようだ。
「すみません。副騎士団長が失礼な真似を。」
「あ、いえ、大丈夫です。」
クラスを代表してか
「姫様、続きをお願いします。」
「あ、はい!あ、私のことは気軽にクリスと呼んでくださって構いません。では、お話させて頂きます。」
随分丁寧な子みたいだ。てか、よく知らない人とあんな風に話せるな。やっぱり姫様だからよくそういうことに慣れているのかなー
「この世界は主神ガイア様と女神様達によって創られました。ガイア様達はこの世界をアナスタシアと名付けたと言われています。ガイア様達は人や亜人、亜人とはエルフやドワーフ、獣人などです、を生み出しました。そして人と亜人は共存し、平和に暮らしていました。
しかし、ある日、主神の座を狙った一柱の女神が反乱を起こしました。その女神は、この世界を乗っ取る為に新たな生物を生み出しました。いまでいう魔人などです。魔人は他の人種よりも遥かに強く人間たちは滅亡の危機に陥ってしまいました。
そんな時、ある王国が勇者と呼ばれる異世界からの召喚者を引き連れ、魔人たちに対抗し始めました。
勇者様はとても強く魔人達を何体も切り伏せたといわれています。そして勇者様が魔人達と戦っている間に主神と残りの女神によって反乱を起こした女神は封印され、魔人を率いた魔王軍は退却していきました。
滅亡の危機を逃れた人々は勇者様に感謝し、勇者様は沢山の人々に、見送られながら元の世界に帰ったと言われています。」
おぉー、一回も噛まずに言い切ったぞ。めっちゃ目がキラキラしてるし、よっぽど、この話が好きなんだろうなー。
「それと僕たちに何の関係が?」
「今、再び人間は窮地に陥っています。長い間力を蓄えてきた魔王率いる魔王軍が侵略を始めたのです。魔王軍によって遥か遠くのいくつもの小国が滅ぼされてしまいました。魔人たちは寿命がとても長く、力をつけやすいため対抗することが難しいのです。ですのでここ、アリシア王国と他の大国によって魔王軍を退けるために勇者召喚をしたというわけです。」
ふーん。だが、俺たちには魔人なんかと戦う力も義務もないと思うんだが。
「ふざけないでよ!!私たちはただの高校生よ!元の世界に返してよ!!」
「そうだ。そうだ。」
「「「「俺たち(私たち)を元の世界に返せ(してよ)!!」」」」
やっぱり皆もそう思っているみたいだ。いきなり呼び出されて、魔王軍と戦ってくださいなんていわれてはいそうですか。何て言うやつなんてさすがにいないだろ。
「皆!待ってくれ。クリスさん、僕たちには戦う力なんてありません。元の世界に返してもらえませんか?」
「すみません。この王国には召喚の魔方陣はありますが帰還の魔方陣はないんです。ですが、皆様は勇者様、召喚された際に何かしらの力を授かっているはずです。」
「皆!クリスさんがいっているのが本当なら僕たちには力がある!だったら僕は困っているこの世界の人たちを助けたい!力を貸してくれ!」
「蓮がそういうなら…」
「え、ええ、そうね」
マジかよ!どんな力があるかすらわからないのにそんな簡単に了承するのか?
「大変なことになったな、零」
「どうしよ~う。零君。」
「とりあえず、この後の展開を待った方がいいと思う。ここを出るにしろ、戦うにしろある程度の知識は必要だ。」
まだ、姫様の言っていることが本当とも限らないし、用心はしとくべきだな。
「では、王がお待ちですので謁見の間へとご案内いたします。」
姫様に連れられて、俺たちは廊下を歩いていく。すれ違う人たちはメイドや執事が多いな。にしても、外はかなり綺麗だな。日本みたいにマンションがあるわけでもないから見通しもいいし、ここからだと川とかも、見えるみたいだ。お、ついたみたいだ。
「皆様、此方が謁見の間です。お入りください。」
扉が開いて中に入る。少し、いやかなり緊張している。だ、だって、周りに沢山の人がいて、此方をみてるんだぜ、俺だけが見られているわけではないといってもかなり緊張するな。
「ようこそ。勇者たちよ。私はアリシア王国、国王リングルド・フォン・アリシアだ。」
国王が席をたち、挨拶してくる。なんか、少し偉そうに見えるのは気のせいだろうか?たぶん、気のせいだな。態度はとても誠実そうにも、見える。
「僕は御剣 蓮といいます。どうぞ、宜しくお願いします。」
御剣も凄いな。あんなに堂々と自己紹介できるなんて。
「では、早速、勇者様達の力を確認したい。ステータスといってみてくれ。」
ステータスっと。えっとおれのステータスは
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名前:加賀見 零
職業:解析者LV,1
体力:1000/1000
魔力:1500/1500
筋力:50
耐性:30
敏捷:100
魔攻:50
魔耐:20
スキル:
加護:◆◆◆◆の加護
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これは高いのか?低いのか?
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