神様なんて存在しません。

０章 或いは、エピローグ

　神はいるのかと聞かれれば、オレはこう答えよう。

「神は存在しない」と。

　他でもない、神本人が言うのだ。これ以上の信憑性はないだろう。

　だからと言って別に、神の教えとやらを遵守しようとしている人間を無意味だと嘲笑うつもりはない。ふとした瞬間に神頼みをする人間を小馬鹿にするつもりもない。

　でも、神を信じない者の肩を持つつもりだってないのだ。

　信じるのも自由。信じないのも自由。人間の事なんて一々気にしちゃいない。「どうぞ好き勝手にやってください」といったところか。

　この世の中は、個人の受け止め方次第で、どうとでも変わってしまうのだから。本当に正しいだけの真実など、この世にはどこにも存在しない。

　神の有無にせよそうだ。「神様は居る」と信じる誰かにとって、神はいる。逆も然り。

　ただ、そうした上で、オレは事実のみを答えるのなら、「神は存在しない」と言うだけだ。一応は神様の端くれとして。

　さっきの言い分と矛盾がある、って？　誰かがそう言うなら、オレはこう言い直そう。「あの日を境に神は死んだ」と。

　でももしこれでさえ、不十分だと糾弾する誰かが居るのなら。事実を語ると言いながら、更なる矛盾を重ねている事を自覚して、こう言い直そうか。

　「あの日を境に、オレの中で神は死んだんす」とでも。