2侵 産声

『進化完了まで、探索および実験場は選択できません。開発を行いコロニーへいどうしますか?』


 ああ、他にやる事も無いしな。


『製造可能武器が複数あります。候補を表示しますか?』


 力場開放型に搭載できる武器を見せてくれ。


『条件をもとに、候補を表示します。主砲3、副砲2、力炉3です。』


 機械音声の通り、全部で8種が表示された。



 主砲:93式単発砲

    92式連装砲

    炉心冷却装置

 副砲:軽制限炉

    アーム改

 力炉:原子炉B 力炉調整

    原子炉C 力炉調整可

    原子炉D 力炉調整可



 一部、不穏な文字があるな……。単発砲、連装砲は分かる。今、搭載している主砲の改良版なのだろう。

 何だ? 炉心冷却装置って。


『力炉の出力を飛躍的に上げる際、球体が損傷するおそれがあります。』


 力炉解放は、冷却装置を搭載しなければいけないのか?


『搭載しない場合、出力上限70%が設定されます。』


 良く分からないが、表示されている物で対処可能か?


『可能です。主砲を冷却装置に交換する場合、接近戦は不利になりますが、出力は130%に増加します。副砲を軽制限炉に交換する場合、出力は90%に増加します。ですがアーム以外では、廃材の回収数が増加します。』


 アームが無くても資源は回収できるか?


『可能です。』


 じゃあ、軽制限炉に。主砲は連装砲が良いな。灰球での戦闘では、時間かかってたから。


『製造に必要な資源を消費します。よろしいですか?』


 ん? 何だろう。今、違和感を覚えた。資源が足りない、と言っていたのに資源があるのか?


『不足分は、実験場から回収します。併せて、廃材が規定量を超えますので廃棄します。』


 ああ、回収できるのか。じゃあ問題ないな。


『製造開始……不足分の回収を並行します。第1区画……成功。92式連装砲の製造開始。第2区画……失敗。資源枯渇。第3区画……成功。第4区画……成功。軽制限炉の製造開始。』


 進化と同様にバーが表示された。しばらく待てば終わるだろう。

 青色と白色の球ちきゅうは、キレイだな。所々白色のくもが動いている。あ、砲撃かな? 緑色が見えたと思ったのに、茶色になっちゃった。


『製造が完了しました。該当武器を交換しますか?』


 うん、お願い。


『交換開始……完了。以前の武器は保管しました。いつでも分解可能です。』


 まだ進化は終わらないかな? 半分くらいか。


『進捗52%です。完了まで2000――』


 あー、難しい話は良いかな。何か暇を潰したい。


『――候補を表示します。』


 用語解説、歴史、探索先の追加、実験場レポート……。難しい話は要らないかな。探索先で。


『探索先の追加について。以後、再戦闘での戦績に応じて追加されます。一度、探索が完了した場所は登録されます。近辺に探索可能な場所が無い場合、候補を表示します。』


 戦績? 再戦闘か。


『はい、実験場における資源に関する報告は、レポートにまとめられています。実験場レポートを表示しますか?』


 まとめられていてもな……まぁ、良いや。表示してくれ。


 投げやりに伝えると、モニターの一つが切り替わり、画面一杯に文字が現れた。




―――――――――――――――――


 実験場残存資源レポート。


 第1区画25000→1000 資源総量が減少しています。計画的に開発を行って下さい。

 第2区画0→0        資源が枯渇しています。

 第3区画15000→2000 資源総量が減少しています。計画的に開発を行って下さい。

 第4区画5000→2000  資源総量が減少しています。計画的に開発を行って下さい。

 第5区画8000→10000

 第6区画2000→2500


 以上です。このレポートは報告後、破棄されます。


―――――――――――――――――


 何だ、この数字は。区画という文字は、初めて見た。数字も何を指すのだろう。


『外を御覧ください。先ほど「茶色になった。」とおっしゃっていた部分が、各区画です。』


 ああ、緑色だったのに茶色になった所か。資源を増やすのは、待てば良いのか?


『はい。時間経過により、増加します。増加率は25%です。』


 多いのか少ないのか分からない……探索した方が、資源は集まりそうか?


『……はい。探索と開発を繰り返す事を。』


 また、はぐらかされた。他には、どんな方法があるんだ?


 開示させようと訊いてみると、警告音とともに全てのモニター画面が切り替わり、赤い囲いのメッセージが表示された。




――――――――――――――――――――――――


         ※ 警告 ※


 過度な描写が表示されます。よろしいですか?


――――――――――――――――――――――――



 ご丁寧にもYES(0/5)と表示されている。よほど、開かせたくない方法らしい。

 知っておくのも悪くは無いだろう、と押し始めた時。

 モニター画面が真っ白に光り、台座を含めたわたしがいる部屋全体が激しく揺れた。

 




 資源 500→???

 廃材 ???

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