第6話 戦い、忍び寄る悪意

 今、俺加藤 未来かとう みらいは湖に来ている。

何故かと言うとレベル上げである。

レッルシザースと言うモンスターの幼体と戦いに来たのである。

何故このモンスターなのかと言うと、戦いやすく、素材はなかなか高く売れるらしい。

しかしここに来るまでに暗くになってきたので今はテントと組み立てている。

「レベル上げは明日だな」

テントを立て終わるとストルフが言う。


「もう暗れぇしなぁ」

「ミライ、ご飯の準備をするから鞄を持ってきてくれ」

ダログナ、リアさんが喋る。

「分かりました」


 鞄を持ってリアさんの所に行く。

「すまないが、ついでに作るのも手伝ってくれるか?」

「いいですよ」

一人暮らしをしていたので、一応料理はある程度できる。

「ありがとう、助かるよ」

「リアさん以外は料理しないんですか?」

「まあそうだね、あの二人は出来ないからね」

「まず何をすればいいんですか?」

「この食材を一口サイズに切っといてくれ」

「分かりました」

 包丁と野菜と肉を渡される。

「あそこで切っといてくれ」

指を指してる所に向かう。

「あとだな、呼び捨てにしてくれとまでは言わないが、もう少し気楽な話し方にしてくれ」

「私だけ堅苦しい話し方だと少し仲間外れ感があってな」

「あ、すいません」

「謝らなくてもいい、だだのわがままだ」

「まあ、努力します」

「努力できてないぞ」

「あっごめん」

「その調子だ」

食材を切りながら会話をする。

リアさんは鍋で何か煮込んでいる。

「そういえば何を作ってるんだ?」

「スープだよ」

「見た目どうりだな」

「そりゃそうだよ、こんな所じゃ凝った物は作れない」

「それもそうか」

そんな会話をしてると料理が出来上がる。

「ストルフ、ダログナ料理が出来たぞ」

リアさんが二人を呼んでる間に俺は料理を盛り付ける。


 「「「「いただきます」」」」

料理は言ってたとおりスープだ。

味は普通に美味しい。

「いつもより作るの早かったな」

「ミライが手伝ってくれたからな」

「そうだったのか」

「ミライ料理出来たのかぁ」

「少「食材を切ることも出来ない人達に比べれば全然できるよ」

「「うっ」」

俺が少しはと言ったのだが、リアさんがかぶって喋る。

それを聞いてストルフとダログナが項垂れる。

「いや、食材切る位はでき「ないよね」

「だって前に頼んだことあったけど、大きさもバラバラだったし、形も悪かったじゃん」

「「うっ」」

リアさんがまたかぶって喋り、さらに二人が項垂れる。

今の反応的にダログナもしたことがあるのだろう。

こんな会話が出来るのはやっぱり仲がいいからだろう。

「「「「ごちそうさま」」」」

食べ終わるとストルフとダログナが皿を片づける。

「えっと、手伝わなくていいのか?」

「大丈夫だよ、料理を作ってもらったしな」

「そういことだ、気にすんじゃねぇよ」

そう言われたのでその辺で休憩しとく事にする。


 「世界が変わっても、夜空は変わらないんだな」

星に詳しい人が見たら全然違うと言われるかもしれないが、俺は星はよく知らないので分からない。

「そうなのか?」

後ろからリアさんが声をかけてくる。

「詳しく見たら違うかもしれないけどパッと見た感じ変わらない」

「ミライの世界はどんな所だったんだ?」

そう聞かれたので俺は元の世界について説明した。

説明してる時のリアさんの顔はそれはもう楽しそうだった、異世界が好きって本当なんだなぁと思いながら話した。

「属性やスキルどころか能力値までない世界って本当にあるのか」

話が終わった後の第一声がこれだった。

「しかも金属の塊が動いたり空を飛んだりするのか、すごいな」

「電話だったか、それを使えば遠い人と話すことができるのか、スキルじゃないんだよな?」

「そうだよ、俺も詳しい事は知らないから説明できないけどね」

「と言うことはスキルが使われている可能性も?」

「それはない」

「そうか」

「今電話持ってるから見てみる?」

「本当か!」

リアさんがこっちに近づいてくる。

「今は遠くの人と話す事は出来ないけどね」

「それでも見せてくれ」

そう言われたのでスマホを渡す。

「これが電話か」

電源は切ってるから画面は真っ暗だがいろんな角度からスマホを見つめている。

「これはどうやって使うんだ?」

使い方を聞かれたので教えた、電源はつけてないけど。

「なるほどそうやって遠い人と話すのか」

リアさんは教えたとおりにスマホを顔に当てている。

「もう遅いし戻ろう、明日はレベル上げだ」

「そうだな」

二人でテントに戻る。

「戻ってきたな」

「もう寝るぞぉ」

二人がテントで待っていた。

「わかった」

それぞれのテントに入り、寝る。

疲れていたのかよく眠れた。


 「起きろ、もう朝だぞ」

ストルフが起こしてくる。

「んっ分かった」

正直、まだ眠いが目を擦りながら起きる。

「遅ぇよ、朝飯はお前以外食い終わってるぞぉ」

ダログナがそう言いながらパンを渡してくる。

「悪い、すぐ食うから」

渡されたパンを急いで食べる。

俺がパンを食べている間にストルフがテントを片付けた。

「よし、やっとレベル上げを始めるぞ」

ストルフのその言葉で皆が準備を始める。

俺は片手剣を、ストルフは片手剣と弓矢、ダログナは鉄槌、リアさんはナイフを持っていく。


 ストルフ達について行くと蟹がいた。

1m程で鋏が盾のような形になっている。

「あれが今回の目的のモンスターだ」

ということはあれで幼体なのか、あれ以上大きくなるのか。

「ほら、ミライ頑張ってこい」

ストルフに背中を押されてモンスターの目の前に出る。

もちろんモンスターと目が合う。

その瞬間モンスターは鋏を上げて威嚇してきて、それを見て俺は剣を構える。

そしてモンスターに斬りかかったが鋏に防がれる。

「かってぇ」

鋏はとても硬く手がしびれた。

俺が怯んでるとモンスターが近づいてくる。

「蟹なのに前に歩くかよ」

蟹だから横にしか歩けないと思ったから驚いた。

「あっぶね」

驚いてる間に近づかれ攻撃されるが、それをギリギリで避ける。

「もう一発」

もう一度斬りかかるが、また鋏に防がれる。

「やっぱ硬え」

反撃されないように一歩後ろに下がる。

「なんだよ、すげぇ硬くて戦いずらいじゃねえか」

そんな悪態を吐きながら、どうやったら勝てるかを考える。

一定の距離を保ちながら考えまくる。

正面からの攻撃は鋏に防がれてしまうため横か後ろから攻撃しないと駄目だろう。

「よし、やるか」

走って後ろにまわって、思いっきり剣を振り下ろす。

カンッと音が鳴り剣は胴体に当たる。

「いってえぇ」

胴体の方が鋏より硬かった。

そんな所に思いっきり攻撃したので、手がしびれるどころか痛かった。

「うげぇ」

その隙に鋏が俺の腹に直撃する。

急いで距離をとるが、剣を落としてしまった。

どうやったらこの状況から勝てるだろうか。

まず剣を回収しないといけないがそれはそこまで難しくはない。

モンスターを剣から離し、その間に回収すればいい。

「よし」

とりあえず剣は回収できた。

問題はどうやって攻撃をするか、普通に攻撃してもダメージはほとんど無い。

「何か弱点はないのか」

剣を回収したが守りが硬すぎて勝てる気がしない。

関節が少し脆そうではあるため、そこを攻撃するべきだろう。

しかし問題はどうやって関節に攻撃するかだ。

動いているモンスターの関節に上手く剣を当てられる気がしない。

ならばどうにかしてモンスターの動きを止めるか鈍らせるかしないといけない。

しかしモンスターを押さえ込む事は出来ないだろうし、出来たところで攻撃が出来ない。

そんな事を考えてるといつの間にかモンスターが目の前に来ていた。

「うわぁ」

驚いてついモンスターの足を蹴ってしまった。

「やっぱり痛ぇ」

やはり足が痛んで足を抱えてしまう、しかしモンスターを見ると転んでいた。

「えっ?」

何が起こったのか理解出来なかった。

モンスターが立ち上がったので、もう一度足を蹴ってみるとモンスターはまた転んだ。。

結構痛いが、これは使える。

やっと勝ち目が見えてきた。

転んでいるモンスターの足の関節を切りつけると、今までとは違い剣が入った。

そのまま力を込めて押し込むと、なんとか切れた。

「グギギャァ」

モンスターが青い血をながしながら悲鳴をあげ、またこちらに威嚇してくる。

ここからは一方的な戦いだった。

足を切られたため動きが鈍くなり簡単に転かす事が出来るようになったため、足をすべて切ることが出来た。

最後に口に剣を刺して、トドメをさす。


 剣はモンスターの血で青くなっていた。

生き物を殺した、命を奪った、それを認識させられ罪悪感が沸いてくる。

しかしこの世界ではこれが普通だ、早く慣れないと俺が死ぬことになるだろう。

「ちゃんと勝てたな」

「初めてであれだけ戦えたのだから悪くないだろう」

「結構危なかったがなぁ」

ストルフ、リアさん、ダログナの順で話してくる。

「戦いやすいって言ってたのに全然そんなことなかったじゃん」

俺は戦いながら思っていた不満を三人に言う。

「でも戦い方が分かった後は戦いやすかっただろ」

ストルフが笑顔で言ってくる。

「そうだけどさあ、先に戦い方教えてくれてもよかったじゃん、危うく死にかけたんだぞ」

「それじゃあお前の為にならねぇだろ」

俺がそれに対して文句を言うとダログナがすぐに言い返してくる。

「まあそうかもだけど」

俺は納得し、なんとか気持ちを切り替える。

「ほら、無駄話してないで剥ぎ取りの仕方を教えるよ」

リアさんがモンスターの死体の前で手招きしている。

「わかった」

と言いリアさんの方に向かう。

「あれが異世界人か」

その時、不穏な影がこちらを見ているのは誰も気づけなかった。

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