シアワセ探し

みっくん

1 高校入学式・過去

 初めまして。

 飯田 美晴(いいだみはる)です。今日から高校生です。

 制服はちょっと、いや大分大きいですね。

 中学生の頃はスカートの下に体操服を着なければいけなかったけど、高校の制服のスカートの下に体操服は着れないので膝上から股までがとてもスースーします。

 まぁ、そんなことはどうでもいいですね。

 私のこれからの生活を見守っていてください。



「はるは6組だから、4階の一番奥の教室ね。ママ体育館だから迷子にならないようにね。」


「大丈夫!行ってくる!」


 私は第二希望にしていた、この高校に入学した。

 農業系3クラスと工業系3クラスの、高校卒業後すぐに就職できると評判のところ。

 私は6組の工業系のクラスに入った。

 この高校を選んだ理由はあとで説明するね。

 いや、それにしても4階ってまじか。つら。階段きついよ。



「美晴!わ~制服似合ってるね!」


「あん!ありがとう。はやいね笑」


「そう?」


「うん。普段は時間ぎりぎりじゃん笑」


「これからはバス通(バス通学)になるから寝坊はできないんだよ~。」


 まだなれない新しい制服を着た私に似合ってると言ってくれたこの子は中学からの友達の杏子(あんず)。

 中学3年間クラスは違ったけど、同じ部活だったこと、そして趣味が一緒だったことから、1年生のときから仲の良い友達。

 新入生の集合時間からまだ時間があるから時間まであるからあんと話してよう~。



 それじゃあ、なんでこの高校にしたのか説明するね。

 私が第一希望にしていた高校は、中学生の頃憧れだった一つ年上の女の先輩が入学していた高校なの。

 それから、突然のカミングアウトだけど、私は中学3年生の6月から付き合ってる他中(ほかの中学校)の彼がいるのね。

 その彼も第一希望をその高校にしてたから、2人とも点数足りてなかったけど同じ高校には入れるよう必死に勉強した。

 徐々に点数も上げ、あと少しのところで三者面談の時期になった。


「美晴さんのテストの成績では、残念ですが第一希望の高校は危ないですね。でしたら、レベルを下げこちらの高校なんてどうですか?」


 進められたのは私が第二希望にしてた高校。

 だけどクラスによってレベルも違うし、クラス替えも三年間ない。

 ただ、早く家を出たい私には好都合の学校だったから穴埋め程度に書いた高校だった。


「うちの美晴は成績も徐々に上がってきましたし...。」


 ママは私に気遣ってそう言ってくれた。

 だけど...


「それでも、はっきり言いますがこの点数では受かる希望はありません。私立の高校は受験しないようですし、確実には入れるところの方がいいと思います。」


 私はこの先生の言葉を絶対忘れない。

 頑張って点数を上げたのに、私の努力を無駄にされた気分だった。

 おまえじゃ無理。受けたって落ちるだけ。

 そう、遠回しに言われてるような気がした。

 ママも何も言わなくなって、ただ私の反応を気にしていた。


「もういいです。ここの高校に行きます。」


 私はそう言って、第二希望の高校の一番レベルの低い6組を指さした。


「でも、6組じゃなくても...。」


「もう決めたので。」



 私の中で何かがプツンと切れた。


 もう頑張って勉強しなくていいや。 もう入れれば高校なんてどこでもいいや。

 そう思うようになって、私は今の高校の一番レベルの低い6組に入学した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シアワセ探し みっくん @_mikkun_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ