第178話 9階層ボス戦

「『ウォーターフォール』」


 水が滝のようにボスの頭上から降り注ぐ。それでもその範囲は狭くボスの一部分の火を消すことが出来ただけだった。その隙を逃さずファーナさんが矢を打ち込む。2発ほど打ち込んだところで再び火に覆われてしまった。


「よっすーもっと連続でだ!!」

「おっけー『ウォーターフォール』『ウォーターフォール』『ウォーターフォール』!!」


 これでどうだっ 3回連続でスキルを使用するとボスの体の半分ほどの火を消すことが出来た。そのおかげでボスの姿がわかったんだが…こいつはあれだ。最初に遭遇した移動していた火。そのでかいやつだ。ということはこいつも『分解』出来るかもしれないな。


「ああ~…また火が」

「ファーナさん次火を消したら矢を打たないで」

「それはいいけど…攻撃しないと倒せないよ?」


 ファーナさんの言っていることは確かなんだが試せるものは試しておきたい。今度は『ウォーターフォール』を2回使用して俺はボスへと走り寄った。


「ええーいい『分解』!」


 さっきまで燃えていただけありボスの体表はまだ熱く、触れるとやけどをしそうだ。それでも短い時間だと我慢し『分解』を試す。すると火の付いてない部分だけポロポロと『分解』され剥がれ落ちていく。どうやら燃えている箇所は『分解』されないらしい。


「ファーナさん、健太! その細かいの倒してっ」

「おっしゃー 任せろっ」

「わかったわ…きゃっ」


 危ないなあファーナさん…本体の攻撃も気をつけないとね。なんか火の塊も飛ばしてくるし。『分解』で一部削られたボスの本体はサイズダウンして形状は元に戻っている。いつ戻ったのかは見ていないけど、これを繰り返せば倒すことができるだろう。まあまだ何かしてくるかもしれないので油断だけはしないように構えておこう。


 何度目かの『ウォーターフォール』でボスの体が大体半分くらいになった。気のせいか若干動きが早くなった気がする。


「おっと…」


 躱すのも一苦労だ。ちょっと気を抜くと火が掠めていく。服ならまだいいが素肌に当たると火傷して痛いので勘弁してほしい。すでに2箇所ほど火傷している。


「ファーナさん、落とし穴にはめられないかなっ」

「引き寄せてくれるなら準備するよ!」

「『ソリスト』これで!!」


 ファーナさんの合図があるまでしばらくボスと おいかけっこだ。『分解』したくても動きが早くなって触れることが出来ない。落とし穴に落として一気に『ウォーターフォール』で火を消さないと危険なレベルだ。


「準備出来たよっ 私の前を通過した後 発動するよ!」

「わかったっ」


 俺はファーナさんの方へと走った。タイミングはファーナさん次第だ。失敗したボスと一緒に落とし穴の中だ。それだけは勘弁願いたい。


 そして俺はファーナさんの前を通過した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る