第131話 厄介な魔物

 俺達はこの後今日は引き上げることに決めた。何故かと言うとさっき入った扉の先が通路ではなく広い広場になっていたからだ。つまりもうその部屋はボス部屋だということだ。全員中に入らなくてほんとよかったと思う。あの状態でボスとの戦闘になるととてもじゃないがまともに動ける人がいないだろう。ボスに挑むにせよまずはその部屋にいた1匹の魔物を何とかしないと無理なのだ。


「あれはボスじゃないのよね?」

「たぶん、違う。」


 俺もそう思う。今までボスは魔法陣から出てくるかいきなり襲ってくるかどのどちらかだった。リノの話によると今回遭遇した魔物はただ叫んでいる…いや泣いている? だけでこちらに向かってくる感じではなかったらしい。


「声を、聞かなければ、怖くない」


 まあその通りなんだろうが、聞かないようにするには耳栓とか別の音を聞いていればいいのだろう。


「じゃあ人数分耳栓用意するか」

「…そんなに、いらない、かな。2つくらい、でいい」


 リノの作戦によると念のために健太が盾を構え入るのと、後はどんな攻撃が効くかわからないから1人ずつ順番にそれについていって攻撃してくればいいとか。なるほど…たしかに向こうから攻撃してこないならヒット&アウェイもありなのか。もし反撃があった場合として健太を配置と、なるほど。


 じゃあ後はあれか、今日と同じだけ狩ってからのボス戦になるからその疲れをどうするかってことなんだが、出来たら通路の鎧を出来るだけ狩りたくない。このボス部屋前の通路だけは狩る必要があるがその前の通路のを何とかしたい。

 このことをみんなに話すとどうやら健太がなにやら思いついたみたいだ。


 健太の説明を受けるとやってみないとわからないが何とかなりそうな気がした。まあだめなときはまた次の作戦を考えれば良いだろう。別の案を考えてきてもらうようにしつつ今日は解散。そして俺は今日も3階層で鱗集めだ。


 いつもと同じようにバットを振り回す。今日は1人分も用意できればいいところだろう。びったんびったんと餅つきのように魚を叩きつけているとまたあの3人が俺を傍を通過した。今日は今までと違い俺をチラリと見るとなぜかニヤニヤとしながら去っていく。何かいいことでもあったんだろうか?とりあえずどっちにしても君の悪い奴らなのには違いなかった…っとこんなもんかな。気がついたら鱗の数が必要量を超えていたので集めるのをやめ、戻ってから『合成』をしておく。今回の防御力アップは誰に付けたほうがいいだろうか。そんなことを考えながら俺は家に帰った。

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