第123話 レイノアールは見ていた2
あの3人が3階層に到達した。まあ2階層からすぐ移動するだけだったのだから当たり前なんだけど、これで時間稼ぎが出来るといいのだけど…
3人は道なりに進み始めると順次魔物を倒していく。やっぱり魔物はあっさりと倒していくわね。あの3人のほうが強すぎて足止めにもならないわ。
足止めをするために私がおこなったマップの構築は3つ。
1つはより難しい配置に木々を並べること。これによってボスまでのルートはかなり遠くなっている。
次に今まで木々の間から見えていたボスを見えなくするために1階層と同じく、ボス部屋に全員が入ると魔法陣から召喚される形に変えた。これで部屋に着くまでボス部屋だとわかりにくくなる。
最後に、ボス部屋の前に扉として蔦を巻きつけてある。これは何箇所か用意し、思わせぶりにしてありボス部屋だと思わせたりして期待を裏切る。でもボス部屋以外は触れればあっさりと開く仕組みだ。その代わりボス部屋は丁度あの3人の合計魔力を注がないと開かないように設定。少しでも魔法などを使って来ていたら開かないのだ。これは少し意地悪だったかもしれない。そして魔力が無い状態でのボス戦になる。回復剤を持っていれば対処は出来るのでまあそこまできにしなくてもいいかもしれない。
「肉か…帰ったら食おうぜっ」
「これなら食費が浮いて中々いいな」
「はいはい、じゃあそのためには沢山狩らないとね」
のんきなものだ。こうしてみると普通の冒険者にしか見えないのだけど。魔物を次々と狩るペースは速くその分マップの攻略が早い。この分だと時間を稼いでもボス部屋前は明日にでもついてしまいそうだ。
「あーいけるならそれでいいんじゃね? というかすぐ確認いくかー」
「いや、ここからいけるなら6階層にいけるようにするのは明日でもいいだろう」
あ、こっちではどうやら6階層へといけるようになったみたい。よかった思ったよりは早く気がついてくれて。これでこの子達は明日には6階層。3階層差か…私が足止めしている間に7…ううん、8階層あたりまで進んでくれればかち合うことも無いのだろうけど、こればっかりは運に任せるしかないわね。
そのまましばらく眺めているとどうやら今日はもう引き返すことに決めたみたいで、通った道を戻り始めていた。やっぱり早い、半分以上マップを埋めているわ。魔力感応扉でどのくらい稼げるかが肝になりそうね。
…ん? あっ あの人が水溜りに来ている! このまま放置するとかち合ってしまうじゃない。私は慌てて立ち上がり部屋を移動した。早くその場にいって帰ってもらわないと…
プピィ~~~…マリョクノテイカガミラレマス。ジッコウデキマセン。
体を寝かせ精神だけにしようとしたら出来なかった。マップの構築に魔力を使いすぎてしまったようだ。
「そんな…」
再び起き上がりまた画面を見るために部屋へと移動する。後数分もしないうちにお互いが認識できる距離に届いてしまう。現地にいけない以上私は祈ることしか出来ない。どうか何事も起こりませんように…
結果はお互い目はあったが会話もなく終了するというものだった。私はほっと胸を撫で下ろし安心するのであった。
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