第122話 やっと見つけた

 吹き飛ばされた健太は思ったよりも頑丈だった。鎧が無い部分を少しすりむいている程度だ。伊達に防御力をあげていないってことだな。これならもっと上げたほうがさらに安心だな。

 となると後は6階層へどうやったらいけるかなんだが…陸にほかにタッチパネルが無い以上海の中なんだろうか?


「今日は、もう、解散ね。流石に、疲れた」


 そうだな、長いロープを解いたり…海の中を歩いたり…大きな魚に食べられたり…さらにボスも倒したしな。誰もがリノの意見には賛成のようだ。そうとなれば後は帰るだけ。6階層を探すのは明日になりそうだ。


 タッチパネルを操作し、俺は1階層へ…ん? ちょっとまった! 転送先が1階層だけじゃなく6階層もあるじゃないか…っ


「おい、ちょっとこれ見てくれ!」


 みんなを呼びタッチパネルを確認してもらうと誰もが驚いた顔をしていた。それもそうだよな、探しても見つからなかった6階層が普通にここからいけるなんて誰も思ってもいなかったし。


「うそ…今までなかった、わよ?」

「うん…無かったと思う」

「ボスを倒したから出たのかもしれないわ」


 リノ、ミネ、ファーナさんと順々にパネルを見ながら喋っている。健太は見るのがめんどくさそうだ。


「あーいけるならそれでいいんじゃね? というかすぐ確認いくかー」

「いや、ここからいけるなら6階層にいけるようにするのは明日でもいいだろう」


 段々厳しくなってきているのだからちゃんと準備してからのほうがいいし、すぐに移動できる場所だからあわてることはない。


「じゃあ明日にはすぐ7階層にいけるわね!」


 ミネが妙に張り切っているな。まああんな魔法が使えるのなら攻略が早そうだ。がんばりたいのもわかるがもう少しゆっくりしてくれるとありがたい。

 この後それぞれタッチパネルで1階層を経由して帰ることになった。


 この日の夜も俺はいつものように鱗集めに3階層へ来ていた。定位置でバットを振り回すお仕事だ。その時ふと周りを見ると気のせいか昨日と木の配置が違うことに気がつく。一度地図を取り出し確認すると3階層の地図が見当たらない。


「あれ…? 1、2、4.5…白紙が2枚」


 3枚を2回買ったので6枚。枚数は合っているが3階層の地図が白紙になっている…のか? まあこの階層を再び歩くこともないから別にいいのだが、なんで消えたんだろうな。気にしてもわからんので俺は鱗集めを再開した。今回集めたのでリノとミネの分も1セット用意出来ることだろう。


 鱗集めをしていると背後で物音がした。振り返ると3人の男がこちらへと向かってきているところだった。多分こいつらが双子が話していた男だろう。その男達は俺を見つけるとじっと観察するかのように眺めなにやらぼそぼそと会話をしたかと思うと、そのまま素通りし水溜りの中へと入っていった。見た目だけだとよくわからんが感じが悪いとだけ思った。この日はレイノアールは結局来なかったのでもっと詳しい話を聞きたかったのだが残念な結果に終わった。

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