第16話 赤いスライム
今日もまたダンジョンへと来ている昨日女性を見かけなかったので、もう一度確認するために来ていた。会えたら色々と話を聞いてみたいものだ。
「ふんっ…ぬぬっ」
健太は昨日ちゃんと学習したらしく大人しくガスライターとナイフでスライムを狩っている。大人しくレベルを上げることにしたようだ。
俺は別にレベルを上げたいと思っていないから健太が危ないときに麺棒を振り下ろすだけ。
つまりひたすらスライム…スライム…スライム…というわけだ。
「あーダルイ…ここ他の魔物とかいないの??」
健太が口走ったからか、フラグが立ったからなのか…前方に色の違うスライムが現れた。
今まで見てきたスライムは少し青みかかったグレーだったのだが、その中に1匹赤褐色のスライムがいる。
「スライム博士、あれもスライムだよな??」
「ああ、スライムには間違いなさそうだが…どんなスライムだ?」
今日もスライム博士は今いち使えない…まあもちろん俺もまったくわからないわけなんだが、ゲームとかで見るスライムにあんな色はそもそもいない。
じっと見ているとその赤褐色のスライムはその場で体をぶるぶると震わせている。どう見てもすでに俺達をロックオン状態だ。
ゆっくりと健太が盾(?)を構え前に進むとそのスライムの動きが止まり赤い塊が健太目掛けて飛び出す。
かろうじてそれを受け止めた健太はその場で盾(?)を取り落とした。
「よっすー…あいつ火はいたぞ…この盾だと熱が伝わって持てん!!」
仕方ないので俺が麺棒で直接赤褐色のスライムに殴りかかる。するとスライムは足元に火を吐きその勢いで俺の攻撃を避けた。
「健太…こいつ頭いいみたいだぞ」
「魔法使うだけはあるってことだなっ」
ああ…そのスライムが吐いたの魔法なのか。いまいちスライム博士の言葉は信憑性にかけていて納得は出来ないのだが…まあ火属性の魔法っぽいものってところか。
その隙に健太は取り落とした盾(?)を拾い構えなおす。今度は軍手もはめている。たしかにそれなら少しはもてるかもしれないが、代わりにナイフが持ちにくいよな。
俺と健太は赤褐色のスライムとにらみ合う形で向き合っている。再びスライムがフルフルと震えだした。さっきと同じだとするとこちらに向かって火を吐き出すのだろう。
「健太一旦逃げよう」
「わ、わかった!」
逃げることに決めると俺達は入り口へ向かって走り出した。背後で火を吐き出しそれが地面に当たる音が聞こえてくる。一瞬チラリと背後を確認すると、赤褐色のスライムは火を吐き出しながらその勢いでこちらへ迫ってきていた。
「やば…っあいつ来てる!」
「マジで!?」
健太も後ろを振り返って確認をしている…がそのスライムはすでに俺達に追いつきさらに追い越して進行方向で立ちふさがっていた。
「あれ?よっすースライムいないぞ」
「逃げるのはだめみたいだな…」
「…げ」
視線を前に戻した健太がいやそうな顔をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます