第17話 赤いスライム2
退路を塞がれた俺達は赤褐色のスライムと睨みあっている。再び逃げてもいいのだが、このダンジョンがどこまであるのか、この先に何があるのは俺達はまだ知らない。そんな不確かなところへ逃げてもさらに危険が待っているかもしれないのだ。
こうなってしまったらもう倒す以外に道はないわけで…
「ど、どどどうするよ、よっすー!!」
「あーもう落ち着けって。飛んでくる攻撃自体はそれほど早くないから避けれるだろ…後は、何度か攻撃してみるしかないって」
スライムが吐き出す火は避け、俺達は何度かナイフと麺棒を叩きつける。やはり今までのスライムと違い動きが素早く中々当たらないし、たまーに健太のナイフが当たったかと思うと核を移動させしとめるにはいかない。
「スライム博士、スライムって他に何か弱点とかないの?」
「んー…どう考えても火も吐いてるからガスライターは聞かないと思うんだよね…」
「つまり…火属性?火は一般的に何に弱いか───」
ああ、なんだ。相手が火なら水でもかければ消えるみたいに効果あるんじゃないか?全部が火の塊とかじゃないから消えるは言い過ぎかもだけど、火が吐けなくなったりするかもしれんな。
「健太、俺が殴りかかったら多分あいつ避けるから、その反対側から水をかけるんだ」
「そっそうか!あいつ水に弱そうだなっ」
攻撃方法を思いつくと実行すべく健太と打ち合わせをする。お互い頷きあい早速それを実行に移した。
「……せいっ」
「よしきたっ」
ばしゃああああっとスライムにペットボトルに入っていた水がかかる。
「きゃあああっ」
赤褐色のスライムの動きが鈍くなった。それにしても気のせいかスライムが声をあげた気がするが…顔を上げて見るとそこにはこの間あった女性が水を滴らせ立ち尽くしていた。
女性はおもむろに腰に付けていた短剣を取り出し、赤褐色のスライムを滅多刺しにする。なるほど…火を吐く暇を与えず連続で攻撃すればよかったのか。
「うう…びしょ濡れだよぉ~」
服をつまみ上げ少しでも絞ろうとするとお腹の部分から肌が覗く。はっきり言って目の毒だ。視線をそらしつつ持っていたタオルを差し出す。
「あ、ありがとーっ」
「いや、悪いのはこっちだし…ほら健太もあやまる」
「ごめんねーっ」
女性はその様子を見ると何故か大きな声で笑い出した。なんで笑っているのかわからず俺は健太と顔を合わせ首を傾げた。
「いや…だって、私毎回酷い格好だなーと、ふふっ」
あーうん…人によって笑いのつぼって色々なんだなーとしみじみ感じた瞬間だった。
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