第15話 試し切り

6/28、後半に健太視点追加

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 次の日また健太が朝早くからやってきた。そしてなぜか俺の隣で一緒に朝ごはんを食べている。遠慮と言うものがないのかおかわりまでして食べ続けていた。先に食べ終わった俺がお茶を飲みながら見ているのにまったく気にした様子はない。


「よっすーこの後プレハブな?」


 その意見には賛成だ。ダンジョンのことはどうでもいいのだがそこは俺のプライベートルームだ。早く夜でも使えるようにしておきたいところだしな。


 まだ食べている健太は放置して俺は先にプレハブへ向かった。中を見回し俺はため息をつく。まだ室内は寂しく、そして暑い…明かりだけ解決してもだめかもしれない。


 視界の端に地下への階段が入る。昨日の女性は結局帰れたのかそれだけが気がかりだ。


「お、よっすーダンジョン行く気満々だね!」


 食事を終えた健太がやってきた。部屋に入って早々酷い勘違いを口走る。俺はダンジョンに行きたいなんて一言も言ったことはない。


「昨日の女の人がどうなったのかよっすーが気にしないわけないしね」

「ぐっ……」


 的をつかれ言葉に詰まる。さすが幼馴染と言うところか。俺が女性のことを気に掛けていたことを見抜かれていた。


「…確認が目的だからな?」

「んじゃいこうぜ~」


 プレハブの更なる改良を後回しにし、俺と健太は地下への階段を下りて行った。


 今回ダンジョンへ入るのは女性の確認と昨日買った健太のナイフの試し切りと言うことになった訳だが…


「うわわわわわわあ…っ」


 うん…健太が一生懸命ナイフを振っているがやっぱりスライムは核を移動させ当てることが出来ない。ステータスと言うものがあるくらいだから武器が変わろうと当てることが出来なければ結局宝の持ち腐れということなんだろう。


「普通に狩れるようになるのはレベルがいくつくらいなんだろうね~」

「あーくそっ無駄金使ったー!!」


 健太がわかりやすく落ち込んでいるがまあ…試さないとわからなかったんだろうししかたない。それにしても…昨日の女性は見かけないな。


 ダンジョンの中を真っ直ぐ進み昨日進んだあたりまですでに来ているが、女性の姿は見当たらない。


 まああれだ…そもそも女性がここに何しに来ていたのか俺たちは理由を知らない。俺のプレハブの出入りもどうなってるのか不明。それに、囲まれていたとはいえスライムに負けるほど弱い人が1人でこんなところに来るのもどう考えてもおかしいのだ。


 昨日より少しだけ先へと進んだところで今日は引き返すことにした。また明日女性を探しがてら来ることになる。


 ダンジョンから戻ると今日は早めに解散をして俺はプレハブの改良、健太は課題をやるために家へと帰った。


 どうやら課題を全然やっていなかったみたいで、俺が課題進めないとダンジョン許可しないといったら慌てて帰っていったからな。まあ、がんばれ?


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 今日は早めによっすーの家に向かった。なんとしてもよっすーをダンジョンに向かわせるためだ。あまり遅くに行くとダンジョンで過ごす時間が足りなくなる。

 …それにしてもおばさんの作るご飯はやっぱうまいな。それにこれからダンジョンだからしっかり食べねば!


「よっすーこの後プレハブな?」


 よっすーは頷くと先に部屋を出て行った。多分そのままプレハブへと向かったのだろう。


「おばさん、ご飯もう一杯お願いします」


 さて、もう少し食べてから俺もプレハブへと向かいますかね。

 しっかりと朝食を食べさせてもらい俺は軽く体をひねりながらプレハブへと向かう。若干食べすぎな気もするがこんなもんは動けばすぐに消費してしまうだろう。むしろよっすーの食事が少ないことのほうが心配だ。


「お、よっすーダンジョン行く気満々だね!」


 プレハブの入口は開いていたのでそのまま中を覗きこむとよっすーが地下への入口を眺めていた。なんだかんだで気になっている様子。まあ正確には気になっているのはダンジョンではないんだろうけどな。


「昨日の女の人がどうなったのかよっすーが気にしないわけないしね」

「ぐっ……」


 俺はニコニコとしながらよっすーにそう言う。それにたいしよっすーは困った顔をしている。わかりやすいんだよなーよっすーは。


「…確認が目的だからな?」

「んじゃいこうぜ~」


 なんだかんだでよっすーは付き合いいいよな。俺達は地下へとおり、ダンジョンの中へ入っていった。

 さてさて。早速俺は試し切りをさせていただきますよっと。

 ダンジョンの中を歩き始めて少しすると見つけたスライムに早速切りかかる。…うんやっぱあたんない。振っても振ってもあたらなくていらいらする!


「うわわわわわわあ…っ」


 何度も何度もやってみるがやっぱりだめだった。くっそー武器の性能は関係ないのか…


「普通に狩れるようになるのはレベルがいくつくらいなんだろうね~」

「あーくそっ無駄金使ったー!!」


 もうほんとそれ。当てられなければ武器意味なかったわ。仕方がないので再びライターでスライムを溶かしてナイフを突き刺す。今日も大人しくその狩り方で先へと進みますよーだっ

 よっすーはそんな俺をたまに見ながら後をついて歩いているが、どうも周りが気になるみたいだ。まあ昨日の女の人がいるか見回しているんだろうけど、そんな広い通路でもないから分かれ道とかですれ違わない限り見落とすことはないんだよな。


 おっとこのあたりだったかな昨日あの女の人を見かけたのは。でもここまで道は1本だったし、会わなかったことを見るとこの先かまだ来ていないかのどっちかだよな。もう少し先へと進んでみるしかない。すると少し先へといったところで分かれ道を発見。どっちも覗き込んでみるが見える距離にはとりあえず姿は見えない。いるのはスライムだけだ。

 

 ここで今日は引き上げることにした。この様子だときっと明日も探すためにダンジョンに入るだろう。層思うと俺の顔をにやけた。その俺の顔を見てよっすーが課題を進めないとダンジョンこないって言い出すもんだから今度は顔が引きつった…このやろう。


 ダンジョンから帰ると俺はちゃんと課題をやりましたよ!1ページで力尽きたけどなっ

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