第14話 いったいどこへ?

6/28、後半に健太視点追加しました

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 ダンジョンの入り口前で俺と健太は立ち尽くしている。一緒に出てきたはずの女性が一向に現れなかったからだ。時間だけが過ぎていく中痺れを切らした健太が口を開いた。


「んー…まあそのうち出てくるでしょっそれよりさ、ほら…」


 健太がスライムが落とした物を手にしてニコニコしている。俺もポケットにしまった同じ丸い石。それと皮袋のようなもの…


「これマーケットに売ってみようぜ~」

「そうだな、売ろうとすると名前とか色々わかるしそれを確認するだけもありだな」

「…あ、ああそうだな!」


 こいつ絶対売ることしか頭になかったな…売ろうとするとその持ち物の詳細がわかるから何気に便利だと思ってたんだ。一旦女性のことは忘れて俺たちはスライムが落とした物をマーケットで確認をする。



名称:スライムの魔石

能力:なし

買値:300リオン



名称:酸が入った皮袋

能力:なし

買値:50リオン



 うーん…何かに使えるのかな…よくわからない。とりあえず軍手よりは高く売れることが判明した。よかったな健太。


「全部売っちゃっていいか?」

「えーと…何がいくつある?俺そのお金要らないからそれぞれ記念に1個ずつ頂戴」


 健太からそれぞれ1つずつ受け取ると残りを売って健太は一番安かった武器を購入することにしたみたいだ。まあ…果物ナイフよりはましなただのナイフなんだけどな?


 マーケットを利用した後階段を上り外に出ると大分日が落ちて薄っすらと暗くなり始めていた。ご近所さんからは夕食を作る食べ物の匂いが漂ってくる。まあ最近は何の匂いなのかまったくわからないので、その匂いでお腹が鳴ったりはしないが。


「もうそんな時間か…夜食べないって言ってないから俺帰るわ。よっすーまたな~」

「またなーあ~そうだ。課題進めてるか?やってないならやれよー」

「ぼちぼちなーっ」


 手を上げ健太が帰っていくのを見送ると、スライムの魔石と酸の入った皮袋をプレハブの棚に置き、俺も家に戻り夕食と風呂を済ませ健太にも言った課題を進める。それほど多くはないが一応全教科出せれているため時間があるときは出来るだけ進めておきたいからだ。


 課題をやっていると今日の昼間のことを思い出し筆が止まった。結局あの女性はどこへ行ってしまったんだろうか…一度気になってしまうともうそこからは課題が進まなくなった。


 俺はLEDランタンを持ち出し一人夜のプレハブへと足を向ける。もしあの女性が遅れて出てきていたら今度はプレハブから出れなくて困るだろうと思ったから。


 外からプレハブを眺めてみたところ明かりは一切見えない。鍵を開けドアノブを回し中へと入る。階段からも明かりは見えない。地下へと降りていきダンジョンの入り口の前に立つ。やはり誰もいない…


 念のため入り口を開けチラリと中を確認してみたがやっぱり女性はいなかった。


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 いつまでたっても開かない入口を眺めていた。まだ女の人が出てきていないのに閉じて開かなくなった。これはいつまで待てばいいのかわからんやつだな。


「んー…まあそのうち出てくるでしょっそれよりさ、ほら…」


 俺は早々に諦めて今日スライムから手に入れたものをよっすーに見せる。これを売って新しい武器を買うのだ。折角ちゃんとした武器を売っているのにいつまでも果物ナイフとかなさけないじゃん。


「これマーケットに売ってみようぜ~」

「そうだな、売ろうとすると名前とか色々わかるしそれを確認するだけもありだな」

「…あ、ああそうだな!」


 そうか、そういえばそんなことも出来たな。すっかり忘れてた。俺の中はすでに新しい武器のことで一杯でそんなことはどうでもよかった。ただの素材系っぽいアイテムなんて持っていても俺達には何も出来ないのだから意味がない。これでそれを使って新しいアイテムが作れたりすればまた変わってくるんだろうが、あいにくとそんなことは出来ないのだ。



名称:スライムの魔石

能力:なし

買値:300リオン



名称:酸が入った皮袋

能力:なし

買値:50リオン



 うん、数字だけ見ると安い気もするけどこれをあるだけ売ればなんとか武器が買えそうだ。これで俺もちょっとした探索者って感じになるかな!


「全部売っちゃっていいか?」

「えーと…何がいくつある?俺そのお金要らないからそれぞれ記念に1個ずつ頂戴」


 んん??記念にアイテムが欲しいって…よっすーもしかしてもうダンジョン行かないつもりなのか?流石にそりゃーないぜ…ダンジョンの探索はこれからなんだし、なんとしてもよっすーをやる気にさせないとだめかなこれは。

 目的のナイフを手に入れ、プレハブの外へ出るとすでに外は日が落ち始めていた。思ったよりもダンジョンの中にいたっぽいな。感覚がずれてるのか時間の経過が違うのかわからんがまあいいか。


「もうそんな時間か…夜食べないって言ってないから俺帰るわ。よっすーまたな~」

「またなーあ~そうだ。課題進めてるか?やってないならやれよー」

「ぼちぼちなーっ」


 よっすーに手を振りながら俺は家へと帰る。課題か…そういえばそんなもんもあったなー…すっかり忘れてたぜ。

 夕食と風呂を済ませた俺は一応課題をやるために机に向かったんだが、数分ともたず眠気に負けてしまった。思ったよりもダンジョンの探索は疲れるんだな~


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