第13話 通じた!

6/27、後半に健太視点追加しました

────────────────────


 ステータス画面のようなのをじっと眺めていると女性が横から手をだし『言語理解』をONにした。つい眺めていたがもともとそれが目的だったことを俺はすっかり忘れていたのだ。


「どう…かな。私の言葉わかる?」


 先ほどまでわからなかった女性の言葉がちゃんと聞き取れる内容に変わっていた。驚き両目をパチパチと瞬きをする。


「お…すごいわかる」

「え、マジで!俺もやろーっと」


 俺の反応に満足したのか女性が頷いている。その傍ら健太がタッチパネルの操作を始めた。


「あのっ…助けていただいてありがとうございましたっ」

「なんだこれ~レベルとかあるのか!ゲームみたいだなっ」

「いえ、怪我とか大丈夫?」

「うわっは、俺レベル2だってよえぇ~~」

「「………」」


 健太うるせぇー…女性が引いてるじゃないか。


「は、はい…傷薬飲めば直ぐ治ります」


 腰の辺りにあるポーチから1本の瓶を取り出すと蓋を開け、女性はそれを一気に飲み干す。その瞬間女性の体が軽く光り見る見るうちに火傷や擦り傷が治っていった。


「あはは…まあ、服とかは直らないんですけどねっ」


 その薬の効果に驚いた俺は女性の言葉が耳に入っていなかった。だって一瞬で回復する薬だぜ?こんなもん見たら誰もが驚くだろ…


 気がつくと女性がじっとこっちを見ている。服を押さえている様子に気がついた俺はあわてて着ていた自分のTシャツを脱いで差し出した。


「ちょっと汗臭いかもだけど…その上から着るといいよ」

「え…っでも、そうしたらあなたが困るんじゃ…」

「いやいいよ、今日はもうこのまま帰るし。出たら直ぐ家があるしな」

「あ、ありがとう…」


 女性はお礼を言うと俺のTシャツを頭から被った。穴が空いていた部分があらかた隠れ、ちょっとぶかぶかだが女性は嬉しそうに微笑んだ。


「よし、健太帰るぞー」

「あ、私も帰ります。装備整え直さないといけないし」


 健太はまだタッチパネルを眺めていたらしく、俺が声をかけるまで周りが見えてなかったようだ。


「ん…?よっすーなんで裸族…」

「いいから帰るぞっ」


 パネル操作を健太に任せ出口が開くのを待つ。振動が収まると目の前にぽっかりと出口が開いていた。


 俺たちはその出口へと向かい外へ出る。チラリと背後を見ると助けた女性も一緒に出るようで、後ろからついてきていた。


 外から射す光りが少しある分外に出ると明るく、少しだけ眩しく感じ目を細める。俺たちが出口をくぐって少しするとその穴は振動とともに閉じた。


「あれ…あの女の人は??」


 一緒に出て来たはずの女性の姿がなくあたりをキョロキョロと見回す。薄暗いとはいえそれほど広い場所じゃないのに女性の姿はなかった。


 それから女性が出てくることを少しそこで待ってみたが一向に現れず…まるで夢でも見たかのように思えた。


────────────────────


 よっすーの開かれているステータス画面に女の人が手を伸ばしoffになっていた『言語理解』をonにした。


「@$&&?」


 またよくわからない言葉で女の人が口を開く。


「お…すごいわかる」

「え、マジで!俺もやろーっと」


 onにしたよっすーには女の人の言葉が理解出来たようだ。それならちゃんと意思疎通をするためにももちろん俺もonにしなければいけないだろう。



 名前:山崎健太やまざきけんた

 性別:男

 年齢:17


レベル:2

 体力:22/25

 魔力:8/8


 筋力:18

 知力:7

 速さ:6


 物防:5

 魔防:0


スキル:言語理解(on)

 魔法:なし


 すぐにonにしたからこれで会話は大丈夫だな。どれどれ…ステータスをじっくりと拝みますか。


「あのっ…助けていただいてありがとうございましたっ」

「なんだこれ~レベルとかあるのか!ゲームみたいだなっ」

「いえ、怪我とか大丈夫?」

「うわっは、俺レベル2だってよえぇ~~」

「「………」」


 やっぱレベル低いからなのかステータスの数字はほとんど一桁だな~まあこれはレベル上げれば上がるってことなのかな。


「は、はい…傷薬飲めば直ぐ治ります」


 それに思ったよりもステータスの項目がすくないな…まだ後で増えるってこともあるかもしれないか。


「あはは…まあ、服とかは直らないんですけどねっ」


 まあとりあえずこの数字は仕方ないとして、スキルと魔法か…項目があるってことはこれから覚えることもあるってことだよな。実際『言語理解』ってスキルだけはあるしな。これ以上増えないってこともないだろう。


「ちょっと汗臭いかもだけど…その上から着るといいよ」

「え…っでも、そうしたらあなたが困るんじゃ…」

「いやいいよ、今日はもうこのまま帰るし。出たら直ぐ家があるしな」

「あ、ありがとう…」


 なんにしてもこのステータスのバランスだと俺は魔法には向いていない感じだよな。と言うことは前衛タイプってところか…でも知力よりも早さが低いから手数で押す感じも違うよな…なら火力重視か盾前衛ってところなのか??うーん…まあこれから色々試してみればわかるか。まずはこのままこの短剣で進めて見るか。


「よし、健太帰るぞー」

「あ、私も帰ります。装備整え直さないといけないし」


 …ん?帰る??まだ俺ステータスを眺めてただけで女の人と会話すらしてないんだけど、でももうそういう空気じゃないっぽい…まあ仕方ないか。この女の人のことは次に会ったときにでも聞いてみればいいか。


「ん…?よっすーなんで裸族…」

「いいから帰るぞっ」


 まあそれから俺達は外に出た。その入口が閉じても女の人は出てこない。


「あれ…あの女の人は??」


 …変なの。それから少しの間待ったけど結局入口は開かなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る