第12話 人がいた

6/27、後半に健太視点追加しました

────────────────────


 項垂れていた健太が復帰するのを待って再びスライムを相手にしながら奥へと進む。スライムの倒し方は健太はライターで溶かしてからナイフでとどめを刺す方法を続けることにしたようだ。まあ普通に考えていちいち蓋するとかないわな?


 俺は別にスライムを倒したいとかあるわけじゃないからその様子を見ながら後ろをついていくだけだ。たまに飛び掛ってくるスライムを打ち返すこともあるが、まあそれほど頻繁に出番はない。


 そんなことを繰り返しながら歩いているとその先のほうからなにやら音…いや声が聞こえてきた。


「%*&$#***&#---!!」


 薄暗い通路を進むとその声の人物だと思われる女性を見つけた。でもそれはおかしな話で、この人はいったいいつ俺のプレハブから入って来たのだろうか…


 女性はスライムに囲まれて座り込んでおり、所々火傷を負い酸を受けたせいで衣服も穴が開いた箇所もありぼろぼろだ。涙目になりながらこちらに気が付き声を上げた。


「%$**#%*!!」


 何を言っているのかわからない。でもなんとなくだが今の状況から助けたほうがいいことだけは理解できた。


「健太あの人多分助けたほうがいいよね」

「よっすーもそう思うか?」


 顔を見合わせた俺たちは頷きあい、健太の持つライターでスライム達を次々と溶かし、その隙に俺が女性の手を引き入り口へ向かって走り出した。がんばって倒してもいいのだが、その間女性の安全が保障出来ないためにこういった行動を起こすことにした。


 スライムを溶かしきった健太も後からついてきて3人は入り口のところまで戻ることに成功。安心したのか女性はまた座り込みぽろぽろと涙を流し泣き出した。


 女性が落ち着き泣き止むとまたよくわからない言葉で声を上げた。俺と健太は首をかしげ視線を交わす。


 その様子に痺れを切らしたのは女性のほうで、近くにいた俺の手を引っ張ると入り口の壁のところにあるタッチパネルの前へと案内される。タッチパネルに女性が触れると『ステータスチェック』の項目に触れこちらを伺う。


 操作を続ける女性の手元を眺めていると画面をスクロールするようにして文字を送り、『言語理解』と書かれた場所をタップする。すると再び俺の手を引きさらにタッチパネルへ近づけようとしてきた。


「言語理解…つまり俺も同じように押せってことか?」


 俺がそう言うと女性が嬉しそうに大きく頷いた。どうやら女性のほうは俺の言葉が理解できているようだ。


 ステータスチェックは初めて触る項目だが…まあこの人もやってたから問題ないものなんだろう。俺は同じように操作をし、あわられた項目を読みながら画面をスクロールした。



 名前:神崎由緒かんざきよしお

 性別:男

 年齢:17


レベル:1

 体力:18/20

 魔力:10/10


 筋力:15

 知力:10

 速さ:8


 物防:2

 魔防:0


スキル:言語理解(off)

 魔法:なし



 ……なんだこれ?

 表示された文字を見て俺は驚く。ゲームとかのステータス画面みたいなものが目の前に現れていた。


────────────────────


 なんてこったーーーーっ折角いい方法だと思ったのにあっさりとよっすーに改良されちまった。もちろんそれがだめなわけじゃないんだが、なんかくやしいじゃないか!!こんな方法であっさり…あっさり…うん、楽だな。

 俺はスライムにライターを近づけ火をつける。あっという間に溶けてしまうスライム。後は核をぷすり…ぷすり、そしてぷすり。


 これはスライム乱獲チャンスじゃないのかっこれでスライムが手に入ればもっといいんだが、どうやらダンジョンの中では無理らしいので俺はどんどんスライムを倒して倒して倒しまくる。

 …うん、ファンタジーや。


「%*&$#***&#---!!」


 なんだ?なんか聞こえた気がするがなんだろうか。まあきっとスライムの鳴き声だな。というかスライムって声出るんだな。

 ん~~~?目を凝らしてみると少し先に大きなスライムがいるっぽい。じゃあそれがこの声の主に違いないな。喋るスライムとかすごいんじゃね?


「%$**#%*!!」


 あ、違いましたわ。人間だったわ。どこの国の人かわからんけど日本人じゃなさそう。スライムに囲まれているところを見るとあのぼろぼろな格好はスライムにやられたんだろうな~こいつら酸吐くしな。ってことは助けたほうがいいてことなのか?


「健太あの人多分助けたほうがいいよね」

「よっすーもそう思うか?」


 どうやら同じことを考えていたみたいだ。よっすーと目が合うと頷きあい、俺はスライムに向かっていった。何で向かっていったかって?そりゃーよっすーが俺に戦えって言った気がしたからさ!

 次々とスライムをライターで俺は溶かす。ひとまずその状態になればこいつらは襲ってこれない。その隙によっすーが座り込んでいた女の人をひっぱって走り出した。

 お?撤退ですか。じゃあスライムは全部溶かしてからにするか。


 俺達は入口に戻ることに成功し、後ろからスライムが来ていないことを確認すると、女の人が座り込み泣き出してしまった。まあ…スライムだってたくさんに囲まれれば怖いんだろうな。


 女性が落ち着くと何か喋りだしたけど何言ってるかわかんねぇ…よっすーならわかるかな…あ、首をかしげたわからんっぽい。そんな俺達に見かねたのか女の人はよっすーの手を引っ張ってパネルの前に連れて行った。なにやら説明をしてるっぽい??よっすーにも同じことをやらせようとしているような感じか?


「言語理解…つまり俺も同じように押せってことか?」


 へぇ~言語理解かつまり言葉が通じるようになるスキルってところかな。少しだけよっすーは画面を眺めた後、女の人と同じように操作をしてステータスを開いた。



 名前:神崎由緒かんざきよしお

 性別:男

 年齢:17


レベル:1

 体力:18/20

 魔力:10/10


 筋力:15

 知力:10

 速さ:8


 物防:2

 魔防:0


スキル:言語理解(off)

 魔法:なし



 きたこれぇぇぇぇぇーー!!

 ゲームでお約束なステータスだっやっべぇ~~

 表面では落ち着きつつ内心はテンションが上がりまくりだった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る