第4話 出口はどこだ
6/19、健太視点を後半に追加しました
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「スライム…もしかしなくても健太は好きなのか?」
「大好物に決まっているだろう?異世界の定番っていったら剣と魔法とドラゴンとスライムだろうが!」
剣と魔法とドラゴンはわかるがなんで最後にスライムが入ってるのっ?一旦落ち着いてくれんと会話がまともに成立していない気がするな。
「じゃあそれがスライムだとして、外見以外のスライムの特徴ってなんだ?」
「なんだそんなことも知らないのか?このスライム博士が説明してやろうじゃないか」
またくいっと眼鏡の位置を右手で直した健太はなんかふんぞり返って偉そうにうんちくを語りだした。
「そうだな…スライムは分裂して増えたり、種類によっては多種多様な攻撃手段をもっていたりする。ちなみに今持っているスライムはどんなタイプなのかは初めて見た俺にはわからない」
博士使えねぇー…ん?そんな会話をしていたらスライムらしき生き物がフルフルと震えだした。
「お、おいそれ大丈夫なのか…なんかやばそうじゃないか?」
次の瞬間スライムだと思われるものから液体が噴出し健太の腕にかかった。
「うわっつ…!」
健太はそれに驚きスライムらしきものを取り落とした。液体がかかった場所を押さえ健太がうずくまる。
「健太!!」
「やべぇ…これたぶん酸…じゃねぇーかな…いてぇ」
見ると液体がかかった健太の腕は赤くなり火傷のように水ぶくれが出来始めていた。
そのスライムがいる通路の先を眺めるとまだたくさんのスライムっぽいものが何匹もいるのがわかった。この通路を抜けて出口を探すのは俺たちには無理だ。
「まずは来た道戻るぞ!こいつらから離れないとっ」
健太を立ち上がらせ2人でもと来た道を走って戻る。もちろんその先は入り口があった場所で現在は壁になっているだけだが、このスライムもどきたちから離れることを優先した。
入り口があった場所に着くとまずは液体を掛けられた場所に健太が持ち込んだ水をかけ洗い流す。火傷っぽく見えるので使ってない軍手を濡らし赤くなっているところに当てておく。
さてどうしようか…進むにはあの生き物みたいな奴らをなんとなしないと危険だ。だからといって俺たちにはそれに対抗できそうな持ち物は何も持っていない。弱そうだから蹴り飛ばすだけでもあいつら死にそうだが、試してみて怪我をしたら意味がない。
「何かないか…」
再び荷物を確認したりポケットの中も見てみる。もちろん何も入っていなかったが。次は懐中電灯でもう一度辺りを見回す。天井も床も壁も同じ作りで特になにもかわったところは…所は…
「健太っそういえばそこのパネルまだ確認してない!」
最初パネルに触ったのは健太のいたずらで無理やりだったが今度は自らそのパネルに手を伸ばす。
『ピッ…セイタイハンノウ…カクニン。ショウゴウ…カンザキヨシオ。ナニヲキボウシマスカ?』
返事がかえってきた!なんで俺たちは最初にこれを確認しておかなかったんだ…っあわてすぎだろう?
パネルを覗き込むと文字が書かれていた。
・ダンジョン攻略状況確認
・ステータスチェック
・外に出る
他の項目の気になるが今はこれ以外の選択はないだろう。
「外に出る!!」
俺は迷わず外に出ることを選んだ。
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「スライム…もしかしなくても健太は好きなのか?」
「大好物に決まっているだろう?異世界の定番っていったら剣と魔法とドラゴンとスライムだろうが!」
どーしてよっすーはこの気持ちがわからんのだ!スライムだぞスライム!ファンタジーの定番もっとも弱いがほぼどんな物語でも序盤に出てくる生き物なんだ。これが興奮せずにいられるかって話。
「じゃあそれがスライムだとして、外見以外のスライムの特徴ってなんだ?」
「なんだそんなことも知らないのか?このスライム博士が説明してやろうじゃないか」
そうか、よっすーはあんまファンタジー系のゲームとかに詳しくなかったな。それなら仕方がないな俺が教えてあげようじゃないか。眼鏡の位置を直し俺はよっすーにスライムについて説明をする。
「そうだな…スライムは分裂して増えたり、種類によっては多種多様な攻撃手段をもっていたりする。ちなみに今持っているスライムはどんなタイプなのかは初めて見た俺にはわからない」
まあスライムのことを知っていても目の前のスライムがどんなタイプかとかまでは流石に俺にはわからんな。ゲームとかみたいに鑑定とかで調べることが出来るならわかるんだろうが、あいにくそんな便利なものは持っていない。
「お、おいそれ大丈夫なのか…なんかやばそうじゃないか?」
そんなことを考えているとよっすーが少し青い顔をしてこっちを見た。そういえばさっきからスライムが妙に動いているな…
「うわっつ…!」
気がついたときには遅かった。何か液体をかけられ驚いてスライムから手を離してしまう。一体何をかけられたのかわからないがなんかちょっとひりひりしてきた。その痛みは徐々に強くなっていき、思わず俺は腕を抑えうずくまる。もちろんそんな姿勢をしても痛みが和らぐわけじゃないんだけどな。
「健太!!」
「やべぇ…これたぶん酸…じゃねぇーかな…いてぇ」
その痛みの具合と見た目から俺は酸じゃないかと予想する。だんだんその赤みが膨れてきて水ぶくれが出来始める。多分火傷だ。よっすーはそんな俺を見て周りを気にし始めた。
「まずは来た道戻るぞ!こいつらから離れないとっ」
よっすーが慌てている。周りにスライムが増え始めてきたからかもしれない。俺は立ち上がるとよっすーと一緒にとりあえず元来た道を走って戻った。
入口があった辺りに戻ってくると、よっすーが俺のリュックの中身を漁りだした。水と軍手を取り出し、俺の火傷を洗い流し、軍手を濡らし火傷のところへ当ててくれた。そうか、火傷だからな冷やすのが一番か。さすがよっすーだな!
「何かないか…」
俺の手当てを終わらせるとよっすーは周りをうろうろとしてどうしようか悩み始めた。
「健太っそういえばそこのパネルまだ確認してない!」
よっすーは壁に向かって言っている。どうやらそこにパネルがあるらしい。俺は全然気がつかなかったけどよっすーはちゃんと確認してたんだなー
『ピッ…セイタイハンノウ…カクニン。ショウゴウ…カンザキヨシオ。ナニヲキボウシマスカ?』
おおーちゃんと反応あるっということは俺達はここから出られるってことだな。
「外に出る!!」
パネルを操作していたよっすーがそう言うと俺の手を掴みパネルに触れさせた。すると視界がぼやけ、次に見えるようになったときには最初に入ってきた地下のパネルの前に立っていた。
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