#3 Fire and Rain

 第3話。自称敏腕マネージャー、ガスと手を組むことにしたキャロルとチューズデイ。豪快で適当な彼ですが、彼は彼なりに悩みながらも自分を信じて音楽業界を渡り歩いてきたのでしょう。マネージャーとしての手腕は今一つな感じがしますが、一度心に決めたことはとことんつらぬき通す誠実さが見て取れます。チューズデイのロディに対する反応は少し可哀想でした。まあ盗撮をしたのは事実ですから、変態と言われても仕方がない気もしますけど……。


 3話では時事ネタがいくつか描かれてましたね。ガスの「ジャスティンと太郎をピコらせた」という台詞。私たちなら勿論どういう事かすぐに気づきますが、火星育ちのキャロルとチューズデイには流石に分かるはずもないですよね。またNo.1DJであるアーティガンの別荘には、あのシュレッターで一部裁断された絵が飾られていました。そう昨年の10月世間を騒がせたバンクシーの「風船と少女」です。一体どんな経緯でアーティガンのもとにあの絵が回ってきたのでしょうか。


 2話の「The Lonliest Girl」に引き続き新曲「Round & Laundry」が劇中で流れました。今作に参加する層々たるコンポーザーの数を考えると1話につき1曲以上は劇中で使用されていくのでしょうか。楽しみで仕方がありません。自分たちを洗濯機に例えるチューズデイ。そして、それに答えるかの如くコインランドリーで音を紡ぎ始めるキャロル。ガスが見込んだ通り二人の音楽には才能が溢れんばかりに詰まっているのがよく伝わります。


 話は変わり、キーチェックを行って着々とタオと共に楽曲の準備を進めるアンジェラ。相変わらずタオは無粋で冷徹な男ですが、タオの楽曲へのこだわりは少し興味深かったです。歌い手に曲を合わせるのではなく、曲に歌い手が合わせる。乱暴な考え方ではありますが、自らが制作した楽曲への絶対的な自信があるからこそ言い切れる発言なのは間違いありません。20代になったら皆に忘れ去られた、と親のダリアが話した「子役の現実」は本当に残酷ですよね。


 ロディの伝手つてでアーティガンと会うことになり、自分たちを曲を聴いてもらうチャンスを得たキャロルとチューズデイ。結局面会の当日にアーティガンに一蹴され、曲を聴いてもらえないどころかボヤ騒ぎを起こし、逃げるようにして別荘を後にしましたが。アーティガンの言い分も、キャロルたちの言い分も恐らく間違ってはいないのでしょう。DJは少女たちの無邪気さを知らず、少女たちは大人の世界を知らない。それぞれの人生の違いが表れていると私は思います。


「今」を生きる等身大の少女たち。バカなのかそれとも大物なのかはさておき、アーティガンを見返すことを誓った彼女たちにこれからどんな運命が待ち受けているのでしょうか。第4話が待ち遠しいです。


 第3話の感想はこの辺りで〆にします。ここまで読んで下さりありがとうございました。第4話の感想は来週以降書いて投稿します。


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