第6話 JK
伊集院薫と小塚の両名が寂しくロッカールームで熱い談義を交わしながら昼食を食べている頃、その一方で、料理専属の者が作った料理が並べられている部屋が学校内にはあった。伊勢海老とサーモンのキャビア添えや、種類豊富なお寿司、グルテンフリーのライ麦パンを高級豚のハムとレタスとこってりと甘い照り焼きソースで絡めたサンドイッチが光沢のある銀食器の上に飾られていた。部屋の照明はレトロ感漂うシャンデリア暖かい光が充満している。この豪華絢爛な部屋で食事を取っていたのは特別学級の生徒、花のJK達だった。
彼女達が食事をとっているこの場所は、他の教室から離れており、しかも二つのドアを閉めれば四方が壁の為、中で何をしているのか、部屋の様子を窺い知ることは出来ない。他の教室とは違って、窓ガラスで仕切られ廊下側から教室の様子が見えることはなかった。完全なる個室状態であった。
そんな彼女たちの部屋だが、食事時間帯にすることは同じの為、会話をしながら食事している様子は仲のいい同性と青春を謳歌している様にも見えることができた。年配の教師陣が見たら微笑ましい景色だったことだろう。
だが、花のJKと言われる中でもこの特別学級の生徒同士の会話は、とてもではないが聞くに堪えがたい内容ばかりだった。
「伊集院先生、ロリータ趣味絶対ない!だって、私が授業中何度も手で風を仰いでウィンクしても全然反応しなかったし、何より私を全然見なかったの!日本の男はロリータに弱いと思ってたのにー!!」
先ほどの授業で熱い視線を送っていた葛原綾が、生徒五人のため、目の前に並べられた豪勢な料理のテーブルを激しく叩きながら憤慨していた。
「そうはいっても、殿方ばかりが全員幼い幼女趣味があるかと言えば、そんなにたくさんの需要はないわけですし・・・・」
そんな葛原綾に対して笑顔を放ちながら辛辣な言葉を言うミーシャ・セリーヌ。
「え―――!ミューシャそこまで言う――!?」
「ミューシャ、毒舌ね・・・。まあ、これで、先生の女性の趣味がロリコンの可能性は外れたわけね」と、お寿司を頬張りながら呟くショート髪の門脇涼。
「あの伊集院先生、巨乳好きという路線も外れよ。抱きついても私の胸で全然なびかなかったわ」
料理人たちが準備した料理に一切手を付けず、腕を組みながら眉を潜めながら話す藤原麗奈。
「やっぱり教育実習生ってガード固い――。全然、自分の女のタイプなんて話そうとしないなんて!」
葛原綾は、目の前にある豪華な伊勢海老の刺身にフォークを勢いよく刺しながら言い放った。
「そりゃそうよ。ここは生徒の学び
お寿司を食べ切った門脇涼は、次はトマトとチーズのカプツレァーレに手を伸ばしながら言った。
涼の言った一言は的を得ていたのか、お互い思い思いの感情、考えを口にしていた者に一瞬で言葉を閉じらせた。
「と、とりあえず、標的となる先生の基本情報は一応わかりましたよね。やっぱり皆さん、最初は食いつきがいいんですね」と、空気を察知して無理やり笑いながら唯一一年生の美咲が取り繕うとした。
「そっか、美咲は初めてだよね、このゲームの参加」
綾が思い出したかのように食べる手を止める。
「はい。私、初めてで、まだよくわかんないことも多いんです」
「私も途中から転校してきたから初めてです。去年から聞いてましたけど、噂以上ね。転校してよかったわ」
ミーシャも同調したのか、ゲームの感想を述べた。
「今年は新人が二人か・・・」麗奈も小さく言葉を口にした。
「大丈夫だよ。私は今年で二回目だけど、与えられた担当分野を頑張ればいい話だから。私は可愛い担当二回目」
ミーシャと美咲は綾の隣にいる自分にも視線が写っているのを感じ取った麗奈は、
「私は華やかさ担当、ひと昔前はギャル担当って呼び名だったらしいわ」
「私はスポーツ担当」
「二人とも、本番はここからよ。去年もそうだったけど、最後は過激になるんだから。友人だろうが先輩だろうが関係なくなるからね」
「そ、そんなに過酷なゲームなんですか?朝、渡辺先生が言ったとおりなら、戦争が勃発してもおかしくないってわけですね!」
「うーん、そうねぇ。まあ、朝、渡辺先生が言った内容どおりなんだけどもね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます