第294話『対面式とオリエンテーション』

せやさかい


294『対面式とオリエンテーション』さくら   





 今日は朝から対面式。


 

 だれと対面するのかと思たら、二三年生のお姉さま方全員と!


 ペコちゃん先生に先導されて、向かったのは、入学式もやった体育館。


 すでに、二三年生は体育館に入ってて始業式の真っ最中。


 A組の先生が、入り口で、なにやら中の先生に告げると、ザワザワと大勢が移動する気配。


 続いて、静かで荘厳なミサ曲みたいなんが流れる中、A組から入って行く。


 入った時は、まだ移動の真っ最中。


 うちら一年生が入って行くにしたがって、上級生の移動は進んでいき、フロアの真ん中が空いて、両脇に二年と三年、真ん中に一年が収まる。


 パチパチパチパチパチパチパチパチ(*´꒳`*ノノ゙


 その間、お姉さま方や先生方が笑顔で拍手してくれて、めっちゃ感激。


 中学の時みたいに男子は居らへんし、オチャラケたやつも居らへん。


 なんや、にこやかな中にも粛々とした秩序があって、宝塚みたい(#^_^#)。



 この対面式のスタイルは、明治時代に学校ができて以来の伝統らしい。



「去年は、コロナのために、開校以来続いた、この対面式ができませんでしたが、今年はマスクをしながらでも行うことができました。二年生は、この形で迎えることができませんでしたが、その分、卒業式にはがんばります。がんばりましょう。それでは……」


 壇上の校長先生が指揮者のように両手を挙げる。


 入学おめでとう!!


 なんちゅうこと、二三年生のお姉さま方が、一斉にお祝いの言葉と、前にも増して、割れんばかりの拍手!


 あ、あかん、涙腺崩壊(৹˃ᗝ˂৹)やあ!



 式そのものは、あっという間に終わって、続いてオリエンテーション。


 連れていかれたんは、チャペルやおまへんか!



 15年の人生でチャペルなんちゅうもんに入るのは初めて!


 入り口はマホガニーとかの観音開きでホールになってて、ホールにもう一つの観音開き。


 

 おお!



 荘厳なパイプオルガンが奏でられ、赤じゅうたんのバージンロードがあったら、そのまんま、ごっつい結婚式ができるんちゃうかいうくらいの雰囲気! ドラゴンクェストやったら、ここで旅の記録=セーブしたくなる(^_^;)とこ。


 通路は真ん中の大きいやつの他に、左右に、もう一本づつの通路。


 手際よく、八つのクラスが、それぞれの通路から指定された席に着く。


 照明が凝ってるなあと思たら、正面と両側がステンドグラス!


 配色がええせいか、お日さんの光が、めちゃ凝った照明みたいになって、めちゃめちゃ雰囲気!


 席に着いて、十秒ほどすると、ちょうどパイプオルガンの演奏が終わって、プレーヤーのシスターが立ち上がった……と思たら、そのシスターは学院長やおまへんか!


「本来なら、ここで入学式を行うところでしたが、コロナのために使えませんでした……」


 校長先生と似たようなお話から入らはる。


 なんや、為になるようなことを言うてくれはったようやねんけど、一つも覚えてません。



 帰り道、留美ちゃんと今日の感動をピーチクパーチク。



「対面式、感動だったよねえ!」


「うんうん!」


「入ってくと、上級生が潮が引くみたいに一年生の場所を空けてくれて、あれって、出エジプト記だよね!」


「え、出エ……?」


「モーゼがさ、ユダヤの民を引き連れて、紅海まで出てくると海の水がザザザーーって左右に開いて、みんなで逃げられるんだよね。文芸部の時『ベンハー』って映画のダイジェスト観たでしょ!?」


「え……あ、せやったせやった」


 いいえ、ぜんぜん覚えてません。たぶん、ダミアを抱っこしてモフモフ遊んでました。


 言わへんけど……。





  

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