第236話『朝顔としゃれこうべ』

せやさかい・236


『朝顔としゃれこうべ』さくら     







 朝顔が満開になった!




 きのう、午前中だけやけど、晴れたんが幸いしたんやと思う。


 青だけやと思てたら、赤やらピンクやらも咲いて、数えたら12個も!




「よし、みんなで写真撮るぞ!」




 お寺の朝は早い。


 早いところにもってきて、お盆も過ぎたんで、テイ兄ちゃんが家族全員を庫裏の前に集めた。


 ちゃんと、三脚の上に御自慢のデジカメが載ってる。


「よいしょっと……」


「そろっとね……」


 フラワーポットを台の上に置く。鉢植えのころとちごて、支柱が立ててあるので気ぃつかう。


「あ!」


「冷た!」


 支柱が揺れて、朝顔の露が顔にかかるのも嬉しい。


「ほんなら、娘三人は前でしゃがんで、お祖父ちゃん右、お父さんお母さんは左に……はい、ピース!」


 パタパタとサンダル鳴らして、テイ兄ちゃんはお祖父ちゃんの横に。




 ジイイイイイイイイ……カチャ!




「もう一枚」


 再びテイ兄ちゃんが走る。


 

 ジイイイイイ……




「しゃれこうべ」




 唐突に禁断のワードが浮かんできて、思わず口にしてしまう。


 プ(灬º 艸º灬)  プハハハハハ(#^w^#)  アハハハハハ(#^口^#)




「もう、さくら!」


 テイ兄ちゃんに怒られる。




「いくでえ!」


 ジイイイイイ……


 プ(灬º 艸º灬)  プッ(#^w^#)


 爆笑にはなれへんけど噴いてしまう。


「さくら!」


「ごめん!」


「いくぞ!」


「「「はい!」」」



 ジイイイイイ……


 プ(灬º 艸º灬)



「あかん、ハナ出てきた!」


「もう、さくら一人で笑てこい!」


「うん、ごめん!」


 笑いながら山門まで逃げる。


 アハハハ ハハ……ああ、おっかしい( ;∀;)……。




 こんな風に笑えるのは今のうちやと思う。


 で、しゃれこうべは、うちのオリジナルやない。


『けいおん!』いうアニメで、リツがポツリと言うんや。


 修学旅行の晩、仲間四人で寝てる時にカマしたのがツボにはまって、みんなで爆笑する。


 あれを半年前やったのを、つい思い出して。




 こんどやる時はオリジナルでカマしたろ。


 そう思て戻ると、おばちゃんがコップに入れた水をくれる。


 それを飲んで、自分の場所に戻ると、ブタネコのダミアが座ってる。


 ダミアを抱っこして――こいつ、また重なった(;'∀')―― そう思たら、笑わんと撮れました。




 夕方に見たら、すっかり朝顔はしぼんでしもて、西の空には切れ端やけど、久々の虹がかかっておりました。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る