第2話怪しい依頼者

翌日

昨日の酒の影響か今日の起床はいつもより遅め

それ以外は昨日と同じだ

だらける主と家事をする僕

ただ昨日言ったことが本気なのか

それだけは気になる

僕は嘘をついていないが向こうはただの酔っ払いの戯言だったのかもしれない

そもそも覚えてないのかもしれない

だからといってこちらからその話題を切り出すのは…やはり気が引ける


昼食を終え今日も客が来ることはないだろう

そんなことを考えていた時


「ごめんくださーい」


戸が開くのと同時に男性の声が響いた


「いらっしゃいませ、西麗さんを呼んできますので少々お待ちを」


リビングにいないのなら恐らく自室だろう

ノックもなしに堂々と部屋に入る

案の定西麗さんはいつも通りくつろいでいた


「西麗さん、お客さんがきていますよ」


「そう、分かったわ」


それだけ言うと西麗さんは向かっていった

うん、さすがに仕事にはメリハリがあるタイプのようだ

普段のダメ人間とはまるで別人だ



しばらく奥にいると西麗さんが戻ってきた

普段のだらっとした印象と違いきりっとした印象を受ける


「今から依頼に行ってくるわ。おそらく時間かかるわ」


「分かりました。お気をつけていってらっしゃいませ」


「ただ何か独特の雰囲気を感じる依頼者ね…何かありそうね。あなたも気を付けなさい」


「いや僕は関わりがない気が…」


「まぁ少し準備してくるわ。そう伝えて」


「分かりました」


客間にはさっきの依頼人の男性が座っている

顎ひげを生やし髪もボサボサでグレーの服装

目つきは悪い印象を受ける

年は30後半くらいだろうか?

確かに表現に困る独特な空気がある方だ


「西麗さんは準備されています。でもそう長くはかからないかと」


「そうですか」


男性は僕の顔じーと見ている

なんか居心地悪いな

すると彼はこう切り出した


「あなたは西麗さんとは親しいのですか?」


何故僕と西麗さんの関係を?

やはり何か怪しいな

これは罠か?

でも無言よりかは答えた方が自然か


「親しいかと言われると曖昧なところでしょうか」


「ではあなたにとって彼女はどういった存在ですか?」


「そうですね…西麗さんは僕にとっては恩人ですね」


「なるほど…その時代か」


やはりこいつ怪しいんじゃないか?


「待たせたわね」


西麗さんが戻ってきた

服装も変わりだぼっとしたスタイルから変わって締まりのある雰囲気が出てる


「では僕はいつも通り食事作って待っておきますね」


「そうね。留守番任せるわ」


「では僕はこれで」


奥にいく途中でボソッと話しかける


「(お気をつけください。彼は危ないかもしれません)」


「(分かったわ)」


怪しいが黒と断定するには程遠い

本当に無事を祈るばかりである


「さぁ参りましょうか」




それから日が暗くなり8時を回った

しかしまだ西麗さんは帰ってこない

以前も仕事があったがさすがに遅い

遅すぎる

やはりあの男は黒だったのか?

そうかと思った瞬間


「ただいま」


その声はかすれていて服装にも返り血を浴びたような跡がある


「おかえりなさい、どうされますか?」


「…もう寝るわ」


西麗さんはソファーで横になるとすぐに寝始めた

相当今回の仕事は過酷だったのだろう

ここは素直に寝かしてあげるべきだろう

ただ服は洗っておいてあげた方がいいだろう

着替えさして彼女の服の汚れとの格闘は長くかかった

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