第599話 粛清
「離してっ、離してっ!」
「黙ってろ! 小娘!」
ジョンが駆けつけた村の入口では、ラズベリーが見知らぬ男たちに連れていかれるところだった。まぁ、ジョンにとってはラバスとラズベリー以外、見知らぬ者たちしかいないのだが。
「ラズベリー!」
「っ! ジョンお兄ちゃん!」
ジョンが叫びラズベリーを呼ぶとラズベリーがジョンの姿を目にし、それに応えてラズベリーも呼び返す。すると、周りにいた村の者たちや連れ去ろうとしている者たちまでジョンの姿を目にし、皆が一様に驚いた。
それもそのはず。ここにいないはずの人族が姿を現したからだ。中には初日にジョンの姿を見ていた者もいただろうが、まさかまだ村にいたとは思わずに、同じようにして驚いている。
「その子を離せ」
「何だ、てめぇは?」
「何で人族がここにいやがる」
「もう1度言う。その子を……ラズベリーを離せ!」
今度は語気を強めて言ったジョンだったが、相手は薄ら笑いを浮かべるだけでニヤニヤとしている。
「何がおかしい?」
「お前、頭がいかれてんじゃねぇのか?」
「何だと?」
「魔王様に生贄を差し出すのは領地に住む者の当然の義務だろ。なあ? 村長さんよ」
話を振られた村長と思わしき人物は、ジョンからの視線を受けてしまい顔をそらすことしかできない。そのような状況の中で、外部の者である魔人族の男が声を出した。
「こいつも連れていこうぜ。こんな所で人族の肉が手に入るなんて魔王様もきっと喜ぶぞ」
「肉……だと?」
肉扱いという予想外の展開にジョンが訝しむと、男は下卑た笑みを浮かべながら恐怖心を煽ろうとしているのか、そのことについて語り始めた。
「ああ、そうだ。貴様は泣き叫びながら魔王様に喰われるんだよ。この小娘は犯されるがな!」
そう言う男がグイッとラズベリーの腕を引っ張ったことで、ラズベリーは呻き声を上げてしまう。
「お前……同じ魔人族なのに何とも思わないのか?」
「はあ? 俺様たちは選ばれし魔人族だ。こいつらみたいな家畜と一緒にするな! こいつらはせこせこと数を増やしていればいいだけの存在だ」
「そうだ、そうだ。それに小娘を差し出したのは村長だからな。大方、また増やせばいいとでも思ってんだろ」
「なに……?」
「そうだぜ。若い女を差し出すから、次回の回収はしばらく待ってくれって頼むくらいだからな」
「前回はヨボヨボだらけだったから、魔王様も今回はさぞかしお喜びになることだろう。まぁ、家畜の繁殖を邪魔するわけにもいかないから、数年から十年単位でわざわざ来なきゃ行けないのが面倒くさいけどな」
「それは仕方がないだろ。家畜がいなくなれば魔王様にとっても損失だろ」
「違いねえ」
聞けば聞くほど胸くその悪い話が続いていくが、ジョンはこのことをラバスから聞かされていなかったので、どうしてなのかと考え込んでしまう。
こういうことがあるのなら、ラズベリーを外へ遊びに行かせるようなことはなかったし、外に出るにしても自分が護衛として付き添えたはずなのだ。
「おい、村長とやら。今回は別のやつが生贄に決まっていたんじゃないのか? そいつはどうした? どこにいる?」
ジョンは色々と思考した結果、ラバスは生贄が誰なのかを知っており、それ故に安心してラズベリーを外へ遊びに行かせたんだと結論づけたのだ。
そして、その推測は正しいものだと村長の口から証明される。
「人族が俺らのやり方に口を挟むな! どうせお前は魔王様に食われるだけだろ。ラバスだってラズベリーがいなくなれば、寂しさを埋めるために自分から俺たちを欲しがるに違いない!」
その瞬間、村長の首が落ちた。そして、村長の体は首から大量の血を噴き出しながらバタリと倒れる。
「ゲスが」
いきなり起きたあまりの出来事に対して、この場にいる者たちは一様に停止してしまう。
村人からしてみれば、村のことに口を挟んできた人族がいきなり村長を殺した現場を目にし、魔王の手下からしてみれば、連れて帰ろうとした人族が躊躇いなく魔人族を殺したからだ。
そして、その2組が注視するのはジョンの腕である。何の武器も持たない丸腰の人族だと思っていたら、腕が剣に変わっていてその異様さに戦慄する。
「ラズベリー、嫌なもんを見せてごめんな。こんなもの見たくないだろうから目を瞑っておけ。すぐに終わらせる」
「ううん、ダークゴブリンから助けてくれた時に既に見てるよ。ジョンお兄ちゃんは好きに動いて。でも、あとでお洋服を洗濯してね。汚れちゃうだろうし」
「ははっ、ラズベリーは強いな……よし、返り血で服が汚れたら、俺が責任をもって綺麗にする」
このような状況だというのに緊迫感のない2人が会話を交わしていると、正気に戻ったラズベリーを捕まえている魔王の手下が行動に出た。
「お前たち、殺せ! 生きたままじゃないが、たとえ殺しても肉は肉だ!」
その者が声を上げると他の者たちも剣を抜き放ち、一斉にジョンへ襲いかかる。
「死ね、人族!」
だが、相手を殺すと決めたジョンに躊躇いはない。襲いかかってくる魔人族たちを1人、また1人と殺していく。
そして周りの者たちが見るジョンのその姿は、片腕だけが剣になるのだと思っていたら、もう片方の腕も剣に変化してしまい、次々と魔王の手下たちを斬り伏せていた。
「こ、こいつ、強えぞ!」
「バケモンかよ!」
「リーダー、どうする!?」
仲間たちから指示を仰がれるリーダー格の者は、顔を青ざめさせておりラズベリーを掴む手は震えていた。
そして、腕を掴む力が緩くなったと感じたラズベリーはチャンスだと思い、バッとリーダー格の男の手から腕を振りほどくと、必死になってジョンの所へ走った。
「て、てめぇ!!」
すると、魔王へ捧げる生贄が逃げてしまったので、リーダー格の男が追いかけようと後を追い、その光景を目にしたジョンも動き出した。
「ジョンお兄ちゃん!」
ジョンだけを見つめて脇目も振らず必死に走ってくるラズベリー。その後ろから迫るリーダー格の男。
ジョンはラズベリーのもとに走りながら、剣となっている右腕を前へ突き出した。
(伸びろ!)
すると、ジョンの右腕の剣は伸びていき、ラズベリーの後ろから追いかけてきていたリーダー格の男の心臓を貫く。
「がはっ――??!!」
リーダー格の男は意味がわからなかった。あと少しで伸ばした手がラズベリーに届きそうだったのに、届いたのは逆にジョンの伸びた剣だったからだ。
常識的に考えて剣が伸びるなどリーダー格の男は聞いたこともない。だが、今まさに自分の心臓を貫いているのは、ジョンの伸ばした剣だ。
そもそも、腕が剣に変化することすら聞いたことがないのに、更に剣が伸びることなど知りようがない。
「ジョンお兄ちゃん!」
やっとジョンのもとに辿りついたラズベリーは、離れたくないと言わんばかりに力いっぱい抱きついた。
「ラズベリー、怖かっただろ? もう大丈夫だからな」
気丈に振舞っていたとしても、ラズベリーはまだ子供。ジョンの所へ辿りついた安心感からか、泣き始めてしまうのだった。その姿にジョンは元に戻した腕でラズベリーの頭を撫でて落ち着かせようとする。
だが、2人の感動的なシーンをぶち壊す者たちが、まだこの場には残っている。
「リーダーが殺られたぞ! どうする!?」
「殺り返せ! 何としてでも生贄を連れて帰るぞ! でないと俺たちが魔王様に処罰される!」
「この際、小娘じゃなくてもいい! そこら辺にいる奴らを連れて帰るぞ!」
連れ帰る予定だった生贄を奪われたことで後がないことを悟ったのか、魔王の手下たちは何がなんでも生贄を連れて帰るという決死の覚悟のもと、やめておけばいいのにジョンに対して襲いかかる。
何故ならばラズベリーが抱きついている今なら、ジョンも大した動きはできないと高を括ったからだ。
対してジョンは焦るでもなく左腕でラズベリーを抱きかかえる。すると、左腕の一部を大盾に変化させたらラズベリーを隠してしまう。
「ラズベリー、終わるまでこの盾の中で隠れてろ」
「うん!」
傍目に見てもかなり異形の姿であるジョンは、それだけで魔王の手下たちを畏怖させている。そして、畏怖し動きの悪くなった魔王の手下たちを見逃すほどジョンは甘くない。
それからジョンは再び右腕を再び剣に変化させて次々と斬り伏せていき、やがて魔王の手下は誰一人として生きている者がいなくなってしまった。
「さて……次はこいつらだな」
魔王の手下を殺し尽くしたジョンが村人たちに振り返ると、今まで空気となっていた村人たちはビクッと反応を示してしまう。
「お前ら、村長とここにいたってことはグルだよな?」
「な、何を……言って……」
「女がこの場に1人もいないことが何よりもの証拠だ。口裏を合わせてラバスでも輪姦そうとしたんだろ? 未亡人で最愛の娘を失った喪失感を埋めてやるってか? 考えただけでも反吐が出る!」
相当気分を害しているのか、ジョンはその場でペッと唾を吐き捨てた。
「お前らの嫁や恋人たちは了承済みなのか? それとも男たちだけの秘密の会合で決まったことなのか?」
次々とジョンが質問を投げかけていくが、誰一人としてそれに答える者はいない。と言うよりも、答えられない。先程からジョンが無意識に威圧しているため、体の震えが止まらないのだ。
「ジョンお兄ちゃん……」
ラズベリーはある程度ジョンの話を理解しているのか、母親を思う不安からか泣きそうな顔でジョンを見つめている。
「心配するな。お前たちは俺が守る。だから、もうしばらくそこに隠れてろ」
「……うん」
ラズベリーがギュッとジョンの体にしがみついたところで、ジョンは動き出した。
――ぼとっ……
ジョンがもう何も聞かずに腕を振り抜けば、それだけで男の首が落ちた。続いて、男の体が倒れることによって、村人たちは何が起きたのかを理解する。
「ひいっ!」
真横に立っていた男は大量の返り血を浴びながら、その場で腰を抜かしてしまう。更には股間からの失禁付きだ。
それからどんどんと斬り伏せていくジョンの姿に、男たちの中から力を振り絞って逃げ出す者までいた。
だが、ジョンは止まらない。このまま放置していればラバスとラズベリーが、村に住む男性たちによって確実に不幸になることが目に見えているからだ。
その後、村の入口での掃除が終わったジョンは、逃げ出した男を追うべく村の中を歩いていく。
そして、ラズベリーの自宅前に来ると、ラズベリーをこのまま付き合わせるのも良くない気がしたので、家に帰らせるためにドアを開けた。
「いやああああっ!」
すると、家の中からラバスの叫び声が聞こえたので、何事かとすぐさまジョンは寝室に向かおうとする。
「ラズベリー、自分の部屋の中に隠れてろ。俺はラバスを助けに行く」
「お母さんを助けて!」
それからジョンはラズベリーを部屋の中に入れたら、そのまま急いでラバスの寝室へと向かった。
「ラバス!」
ジョンがバタンと勢いよくドアを開けると、そこには無惨にも服を破かれ押さえつけられているあられもない姿のラバスと、襲いかかっている男たちの姿があった。
「だ、誰だてめぇは!?」
「ひ、人族だと!?」
「こいつ! 昨日村に入り込んできた奴じゃないのか!?」
「ジョンさん!」
「てめぇら……」
怒り心頭のジョンがすぐさま近場の男を斬り殺したら、男たちの中から1人の男が声を上げた。
「俺に手を出したらどうなるかわかってんだろうな! 俺は村長の息子なんだからな!」
「あのゲスか……親が親なら子も子だな」
「何だと!?」
そして、また1人ジョンの手によって男が殺されると、村長の息子はヤバいと感じたのかジョンに対して交渉を持ちかける。
「ま、待て! お前もラバスとヤりたいんだろ? それならお前も仲間に入れてやるから、俺に手を出すな。どっちみちラズベリーが生贄に出されたから、ラバスはもう俺たちと寝て子供を産むしかないんだからな」
「何だ、その訳のわからん理論は? ちなみにラズベリーなら俺が助けたぞ。その時にお前の父親は殺しておいたがな」
「は……?」
「次はお前の番だ。地獄で父親と再会でもしてろ」
「え……」
その言葉を最後に村長の息子は命を落とした。
「ジョンさん……」
ポロポロと涙をこぼしながらラバスがジョンを呼ぶと、ジョンは腕を元に戻してベッドにいるラバスに近づく。
「すまん。もっと早く戻ってれば怖い思いをさせずに済んだのに」
「ジョンさん! 怖かった……怖かったよぉ……」
ジョンに抱きついたラバスはよほど怖かったのか、わんわんと泣き始めてしまう。そのラバスをジョンは抱き締め返し、背中をさすりながら落ちつくのを待った。
やがてラバスがすすり泣く程度まで落ちつくと、ジョンはラバスに声をかけた。
「そろそろいいか?」
「ありがとう……ジョンさん……」
「これでわかっただろ? あまり無防備過ぎると男は狼になるんだぞ」
「私が無防備になったのはジョンさんの前だけです」
「はぁぁ……まぁいい。それよりも何か着てくれ。その……色々と見えてる」
ジョンのおかげで落ちつきを取り戻し冷静になることができたのか、ジョンの言葉の内容を理解したラバスは、ボッと顔を赤く染めあげてしまうと、ジョンにジト目を向けるのだった。
「……ジョンさんのエッチ!」
「俺のせいじゃないだろ!」
「スケベ!」
「だから――」
「ふふっ……ジョンさんなら見られてもいいですよ。もう大事なところはあの時に見られてしまっていますから。これで私の体は全て見られたことになりますね」
「勘弁してくれ……」
ジョンがムキになって反論してくるのがおかしかったのか、ラバスはもう泣き止んでおり僅かに頬笑みを浮かべていた。
すると、ジョンはラバスが動こうとしないので、代わりにシーツを手繰り寄せるとラバスにかけるのだった。
「いま、チラッと見ましたね?」
「仕方がないだろ! 俺だって男なんだぞ。ラバスのスタイルが良すぎるのが悪い!」
「堂々と見ればいいのに……それと、スタイルのことを褒めてくれてありがとうございます」
「とにかく! ここは居心地が悪いからラズベリーの部屋に向かうぞ」
そう言ってジョンがラバスをお姫様抱っこすると、ラズベリーが隠れている部屋へと向かう。そして部屋の中に入れば、子供らしい隠れ方をしているラズベリーを発見するのだった。
それはベッドの上で布団をかぶり、丸くなっているラズベリーの姿である。
「ラズベリー」
ジョンがそう呼びかけるとラズベリーは布団の中から出てきて、ラバスが助け出されていることに喜んだ。
それからは、ラバスとラズベリーにこのままこの部屋で待機するように伝え、ジョンは取り逃した男たちを始末するために外へと出かけようとする。
「いいか、俺が戻ってくるまで部屋の鍵は開けるなよ?」
「わかりました」
「うん!」
そして、合言葉を決めてからジョンは外に出ていく。その時に、ラバスの寝室で死んでいる男たちを家の外に放り投げていくことも忘れない。
それから家の外に出たジョンはどうやって探し出すかを考えた結果、手当たり次第に各家を訪問していくことにした。
「こんにちは。私は人族ですが村長さんの家で厄介になっている旅の者です。ちなみに男性の人はいますか? 村長さんから呼んでくるように頼まれたのですが、なにぶん来たばかりで誰が何処に住んでいるのかわからないのです」
あまり警戒心を抱かせないように丁寧に話すジョンによって、女性は人族の姿にビックリしたものの素直に応じた。
「ええ、いますよ。あなたー」
何も疑うことなく夫を呼ぶ妻。そして、呼び声に応えて姿を現す夫。
「何だ?」
「村長さんが呼んでいるそうよ」
「村長が?」
そこでジョンはカマかけという名の作戦を実行する。
「ええ。ラバスさんが村長宅に来ているので、その件と言えばわかるそうなのですが、これで通じますかね?」
「ああ、あれか。おい、ちょっと村長の所に行ってくる。多分、いつもの話し合いだから長引くと思うが、夜には帰って来る予定だ。帰って来なかったら、村長の家で宴会をしていると思っててくれ」
「はい、わかりました」
「じゃあ、行っ――」
それ以降、男が喋ることはなかった。何故ならば話に乗ってきた時点で村長とグルだということがわかったから、ジョンがこの場で殺したのだ。
そのいきなりの出来事に妻である女性は腰を抜かして、ガクガクと震えだしてしまう。そして、ジョンは怯える女性にこの村の男たちが計画していたことを説明していき、無理やり納得させると次の家へと向かうのだった。
それからジョンは次々と今回の件に関わっていた男たちを殺していき、その途中で立てこもるという手段に出た男もいたが、ジョンが難なくドアを斬り壊すと立てこもりは失敗となり、立てこもっていた男もそのまま殺されてしまう。
他には居留守を使った者もいたが、気配探知を使えるジョンからしてみれば無駄な抵抗と言わざるを得ない。
ジョンがそうこうしているうちに、あっという間に村から生きた男たちはいなくなってしまい、村の広場には男たちの死体が山積みとなってしまった。
そして、村の女性たちを集めては今回の件を再度説明していき、その証拠となる証人として、ラバスやラズベリーを呼びに家へと向かい、部屋の前に到着した。
「俺だ」
「ダークゴブリンは?」
「魔族」
普通なら“魔物”や“怖い”などの返しが定番となりそうだが、ダークゴブリンを魔族と勘違いしていたジョンや、そのことを知っているラバスやラズベリーにとって、これ以上ないというくらいの合言葉である。
すると、部屋の鍵を開けたラバスが中から顔をのぞかせ、ジョンは事情を話してからラバスに服を着させると、ラズベリーも連れて家から広場へと移動する。
そして、広場についたジョンは、ラバスやラズベリーに話が真実であることを証言させた。
その話に対して女性たちも最初は猜疑心を捨てきれなかったが、男たちがここ最近でよく村長たちと会合を開いていたのを知っていたので、次第にジョンの話が真実なのではないかと思い始める。
更には今回の生贄は村長の息子であるはずなのに、連れていかれずにラバスを襲った際にジョンが殺していたことによって、信ぴょう性が増していたのだ。
他にも生贄引渡しの際は女性が姿を見せると、そのまま追加で連れていかれてしまうという過去の事案があったため、今回も女性は外に出るなと通達があった。
それゆえに、ラズベリーの上げた悲鳴に女性たちが反応しなかったのはひとえに通達の件があったのと、助けに行った際に自分も道連れとして攫われたくないという自己保身に走ったためだ。
「誰も出てこなかったのはそういうことか……ところで、こいつらの死体ってどうすんだ? 埋めるのか?」
集めるだけ集めて放置していた死体の処理方法を聞いたジョンだが、そのことについてラバスが答えた。
「燃やしたあとに骨は砕きます。そのままではアンデッド化して魔物になる危険性がありますので」
未だアンデッドの魔物と遭遇したことのないジョンは、ラバスの言葉からゾンビ映画を思い出してしまい、あのような感じに動き出すのだろうかと想像していた。
その後、火魔法が使える女性たちによって男たちの死体が燃やされていき、ある程度の炭化状態になると女性たちは農具を持ち出して、滅多打ちにしていく。
「くそっ! 信じてたのに!」
「ラバスさんを襲う相談だったなんて!」
「みんなで協力して乗り切ろうって言ってたくせに!」
「ラバスさんに謝れ!」
「ラズベリーちゃんにも謝れ!」
「死ね! 死ね!」
よほど同じ女性として男たちの計画していたことが許せなかったのか、女性たちは恨み節をつらつらと重ね続けていき、しばらくは滅多打ちが続いていくのだった。
「女って怖いな……」
ジョンは脇に退いてからこの状況を眺めており、女性たちの晴らしている恨み節に戦慄するのであった。
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