第525話 ケビン式ブートキャンプ(九鬼サイド)

 僕が帝都に到着して1ヶ月が経過した5月のこと、中級者ダンジョンを制覇したので一旦装備品のメンテナンスをしようと、ベネットさんと2人でドワンさんのお店に向かった。


 帝都に到着したての頃は『ドワンさんのお店があったぞ!』って言って、オリバーさんとサイモンさんが息を切らして来た時には驚いてしまった。その興奮冷めやらぬ2人に連れられて行ったお店は、見た目は普通なのに中に入ったら正真正銘ドワンさんのお店だった。


 なんでもケビンさんが大量発注した装備品を作り上げるために、交易都市のお店を畳んで帝都に引っ越してきたそうだ。そして、新しくなったお店はケビンさんが用意したものらしく、あまりにも鍛冶師の仕事場としては凄いものみたいで、ここで骨を埋めるとドワンさんが言っていた。


 そのお店にベネットさんと2人で訪れると運命の悪戯とも言えない、よく考えたらこの街に居て当たり前でしかないケビンさんと、バッタリ遭遇してしまう。


「お、クキじゃないか」


「ケビンさん、お久しぶりです」


 お店にいたケビンさんは見知らぬ女性たちに周りを囲まれていて、ドワンさんと会話をしていたみたいだ。ケビンさんに話を聞くとどうやら大量発注したうちの一部を受け取るため、それを装備する女性たちと一緒に来店したようである。


「ん? 覚えてないのか? この人たちはクキが助けた女性たちで、今は俺の嫁さんだ」


 その女性たちはよく見たら見知らぬ人ではなくて、僕が盗賊を退治した時にアジトで捕まっていた女性たちだった。


「あの時は助けて頂いてありがとう」

「怖がってしまってすみません」

「貴方のお陰で今はとても幸せよ」

「まさかお嫁さんになるとは思わなかったけど」

「ケビンさんのお陰で冒険者を続けられているんだよ」


 どうやらサイモンさんとマルシアさんの言った通りで、5人ともケビンさんのお嫁さんになったみたいだ。嫁が多いという話について、嘘偽りないことが証明された瞬間でもある。


「ケビンさん……際限ないんですね」


「まぁ、ヴェロニカたちには俺の人生史上で最低のプロポーズをしてしまったが、してしまった以上は責任を取らないとな。それで幸せにするのが俺の役目だ」


「最低のプロポーズって何ですか? 酔っ払った勢いとか?」


 僕の質問に対してケビンさんはバツが悪そうに沈黙したけど、女性たちがそのプロポーズの内容を教えてくれた。


「一緒に寝ていた時にケビンさんが寝ぼけてて、私たちのおっぱいを触ったの」

「触られたというか、しっかりと揉まれてたよね。まぁ、気持ちよかったけど」

「その時に『責任取ってよ?』って言ったのよ。そしたら『嫁にする』って言われたわ」

「1度捕まったら中々逃げられなかったのよ。その……気持ちよかったし」

「私なんか2回も捕まったし。まぁ、2回目は自分で捕まりに行ったんだけど」


 うん、この人たちは白昼堂々と何を言ってるのだろうか? そしてケビンさん、目を逸らさないでください。


「まぁ、なんだ。クキにも彼女ができたんだろ? 後ろにいる子は誰なんだ?」


「わ、わた、わたしゅは――「え……彼女じゃないですけど。ただの同行者です」…………ぁぅ……」


 嘘偽りなく正直に答えただけなのに、この場は沈黙に包まれてヴェロニカさんたちからの視線が突き刺さる。そして、ベネットさんは何故かガックリと項垂れていて、ケビンさんは頭を抱えていた。


「僕、何か間違ってました? ベネットさんはただの同行者なんで、嘘は言ってないんですけど」


「嘘をつかれたとは思ってないし、クキは悪くない。まぁ、ベネットにアドバイスをするのなら、難攻不落の要塞とだけ伝えておこう」


 ケビンさんがそう言ったら、何やらヴェロニカさんたちがベネットさんを囲んで色々と話しているみたいだけど、僕は当初の予定である装備品のメンテナンスをドワンさんに頼むことにした。


 ベネットさんは取り囲まれているし、後でも問題ないだろう。とりあえずドワンさんに、ベネットさんも頼むかもしれないということだけ伝えておけば問題ないはずだ。


「クキはダンジョン攻略中か?」


「はい。中級者用ダンジョンを制覇したので、1度メンテナンスをしてもらおうと今日は来たんです」


「へぇーサイモンたちと潜ったのか?」


「いえ、サイモンさんたちは上級者用ダンジョンを攻略中です。僕はベネットさんと2人で初心者用ダンジョンを終わらせたあとに、中級者用ダンジョンを攻略してたんです」


「かかった期間は?」


「だいたい1ヶ月ないくらいでしょうか」


「んー……」


 僕が期間を答えた後にケビンさんが悩み出したので、やっぱり時間をかけすぎたことをダメだしされるのだろうかと思っていたら、特にそれに関してはダメだしをされることはなかった。


「クキ、明日になったら帝城に来い。あ、ベネットも一緒にな」


「特訓ですか?」


「そうだな。ぶっちゃけると、クキとベネットの実力差が開きすぎている。それだとお互いにお互いの成長を潰し合っているようなもんだ。だから、明日からは個別メニューだな」


「僕としてはケビンさんの特訓を受けることに関して問題ないんですけど、ベネットさんは受けるかわかりませんよ」


 ケビンさんと僕が話し込んでいる中でヴェロニカさんたちは、ドワンさんから装備品の受け取りとその場で装備をして調整を行っていたが、順番待ちしている女性たちと話し込んでいたベネットさんに、ケビンさんが急に話を振った。


「ベネット、明日は暇か?」


「ふえっ?! あ、明日ですか!?」


 ケビンさんから急に話を振られたベネットさんがドギマギしていたけど、そんなに驚くほど会話に集中していたのだろうか。


「明日からクキを鍛えようかと思ってな、よかったらベネットも一緒にどうだ?」


「は、はい! ケビンさんはクキくんのお師匠さんなんですよね? よろしくお願いします!」


 勢いよく頭を下げてお願いするベネットさんを見たケビンさんは笑っていて、どうやらベネットさんが言った『お師匠さん』という言葉が面白かったみたいだ。そういえばケビンさんの名前を出さないようにしていた僕が、ベネットさんと話す時に『師匠』と呼んでいたことをうっかり忘れていた。


「明日からはベネットの師匠にもなるからな」


「あ、ありがとうございます! 精一杯頑張りたいと思います!」


「それだけの元気があれば充分だ」


 それからベネットさんもドワンさんに装備品のメンテナンスを依頼して、明日は装備品を受け取ってからケビンさんの所へ向かうことにした。


 そして翌日、ドワンさんの所で装備品を受け取った僕たちは、ケビンさんの待つ帝城へと足を運ぶのだが、何やらベネットさんは落ち着かないみたいだ。


「あ、あの、クキくん?」


「何ですか?」


「この道ってこのまま行くとお城につきますよね?」


「そうですよ」


「今日はお師匠さんの所に行くのでは?」


「はい。今向かっていますよ」


「え……え……? この先は孤児院があるくらいでお城しかありませんよ? ケビンさんは孤児院の用心棒とかしているのですか?」


「どうなんでしょう……用心棒の仕事をしているなんて聞いたことはないですね」


 そのような会話を続けながらも足は進んでいき、孤児院を過ぎると帝城の門に到着した。


「ク、クキくん、門番さんがこっちを見て……見てますよ! か、か、帰りましょう! 今なら見学をしてましたって言えば見逃してもらえるはずです!」


 もの凄いテンパり具合いを見せているベネットさんだけど、ケビンさんが皇帝だって知らないのかな? 僕はてっきりミミルさんやマルシアさん辺りが喋ってると思ったんだけど、ベネットさんの様子を見る限り教えてなかったみたいだ。


「通りたければ通っていいぞ」


「えっ!? お城の中って見学できるんですか?! ク、クキくん! 一生に一度あるかないかの出来事ですよ!? お城の中を見学してもいいそうですよ!」


「その代わりここの門は嘘つきに罰を与える門だ。嘘つきじゃないなら通っても問題ない。お嬢ちゃんは嘘つきか?」


「わ、わわ、わたしゅは、嘘つきじゃありましぇん!」


「じゃあ通ってみな。カミカミなお嬢ちゃんが嘘つきじゃないなら、この門を通れるはずだ」


「い、行きましゅ!」


 もう全然まともに喋れていないベネットさんは握り拳を作って、「ふんすっ!」と言わんばかりの気迫とともに門の先へ足を踏み入れていく。


「と……通れました! 私は嘘つきじゃありません!」


「おめでとう。嬢ちゃんは正直者だ」


「クキくんもどうぞ! 一緒にお城を見学しましょう!」


 外国にあった真実の口みたいな物が目の前にあると言うのなら、これは試してみる他ない。あの口に手を入れてみたかったけど外国に行ったことがないので、ここで試せるなら儲けものだし何よりケビンさんのお城だ。そんなドッキリな仕掛けを作ってても何ら不思議じゃない。


「門番さん、僕は大嘘つきですけど入ってもいいですか?」


「ほう、自ら大嘘つきと自白するのか。その時点で正直者だ」


「僕が大嘘つきと言ったことは嘘なんですけど」


「なに……?」


「実はそれも嘘で本当は大嘘つきなんです」


「お前は何がしたいんだ?」


「実はこの門が嘘つきに反応するのかどうかが信じられなくて、試して見たくなったんです。既に僕は門番さんの目の前で嘘をつきました。これで僕が通れたら僕の勝ちです」


 門番さんに対してそう伝えた僕は、門の先で唖然としているベネットさんの所へ足を進めていく。


「え……うそ……」


 ベネットさんは更にビックリしたようで、口をあんぐりと開けてしまっていた。


「僕の勝ちですね」


「俺の負けだな」


「なんで……クキくんは嘘をついたのに……」


「悪いな、嬢ちゃん。嬢ちゃんがあまりにもビクビクしてるから、さっきのはからかったんだ」


「それじゃあ嘘つきは通れないって……」


「嘘つきが通れないのは本当だ。ただし、それは悪い嘘つきだけだ。この門は悪者だけに反応する門なんだよ。だから、悪者じゃない人がいくら嘘をついてもすんなり通れるって寸法さ」


「うぅぅ……騙されちゃいました……」


「悪い、悪い。お詫びに城の中は自由に見ても構わねぇぞ。2階までなら自由に見回れるはずだ。そして、これが見学者用のバッジになるから、胸の所に付けておけば城の中にいても捕まったりはしないからな。あとは、敷地内も自由に見られるから、そっちも楽しむといい」


 門番さんからバッジを受け取った僕たちは、それを胸に付けると城の中へと入っていく。ケビンさんに会いに来たはずなのに、いつの間にかお城見学ツアーになってしまったけど、ベネットさんが楽しんでいるみたいなので野暮なことはしないでおくことにした。


 それにしてもさっきから綺麗な女性たちとすれ違ってばかりなんだけど、全員がケビンさんの嫁ってことじゃないよね。普通に働いているメイドの人もいれば、スーツを着こなしたOLっぽい人もいるし。というか、異世界にOLって……ケビンさん、趣味を全開にし過ぎだと思う。


 それから城の中をある程度見回った僕たちは、今度は敷地内を見て回るために城の裏手側へと進んでいく。


「クキくん! 畑がありますよ! お城なのに畑が!」


 あぁぁ……確かお嫁さんの願いを叶えるためにケビンさんが農地を作ったって、セリナさんが言っていた気がする。ということは、あそこで農作業をしている人たちはみんなお嫁さんということで、中には獣人族の人までいるみたいだ。あれってうさぎの獣人族だよね。人参かじってるし、人参が美味しいのか耳がピコピコと動いてる。


「クキくん、クキくん! 大きい建物と家がありますよ!」


 次にベネットさんが見つけたのは……あれって工場だよね……ここだけ近代化している。隣は普通の家なのに……


 あ、全然普通じゃなかった。【ナディアのアトリエ】って書いてある。確かあずま君たちが『アトリエシリーズ』がどうのこうの言ってた気がする。つまり、ケビンさんの趣味全開の家だ。


 そのような時に今まで元気いっぱいにはしゃいでいたベネットさんが、僕の服を掴んでガクガクと震えながら指をさしていた。


「ク、ククク……クキくん……」


 ベネットさんの協力?により僕の名前でカミすぎると、笑っている感じに聞こえてしまうことが新たに判明したわけだけど、それはさておき、ベネットさんが指さす方向にいたのは魔物だった。


「あ、あれは……ず、図鑑で見たことがあります。Aランク冒険者のパーティーじゃないと倒せないって……バ、ババ、バイコーンですよ、クキくん!」


 普通に放し飼いされているバイコーンにただただ驚くしかないけど、ケビンさんならありえるかと思ってしまうと何故だか腑に落ちてしまう。


「ブ、ブブ……ブラッディパンブー!?」


 次に出会った魔物はパンダだった。うん、パンダだよ……ここは動物園になる予定なのかな。ベネットさんは相変わらずガクガクブルブルとしているけど、あれはパンブーじゃなくてパンダだと思う。


「な、何ですか、あの塔は!?」


 パンダたちを眺めながら足を進める僕たちの視界に入ったのは、2棟のマンションだった。確かお城に来る途中はこんなもの見えなかったはずだけど、認識阻害でも施しているのだろうか。と言うよりも、完全に近代化だよね、これ。


 だって奥にあるのって明らかにドームだよ。異世界にドームって……元の世界のように呼ぶとしたら、あれは絶対にエレフセリアドームっていう名前だと思う。


 懐かしの光景を目にしている冷静な僕と、異世界文化に驚いてばかりのベネットさんが足を進めていると、地下に降りていくような洞穴を4つほど発見して、そこに人だかりができているのを見つけてしまう。


「おお、クキ。遅かったな」


「お待たせしてしまいすみません」


 人だかりの中からケビンさんが姿を現したので挨拶をしてみたけれど、周りにいる女性たちはみんな冒険者なのだろうか。明らかに冒険者服装をしているから、きっとそうなんだろう。騎士の人たちも何故かいるみたいだけど、今から何かあるのだろうか。


「その胸のバッジがあるってことは、俺に用があるって門で言わなかったのか? 見学ならいつでもできただろうに」


「いえ、門番の方に真実の口みたいな試され方をされてしまい、ベネットさんがノリノリで試したから僕も本当かどうか試したら見学者だと思われたようで、お城の見学ツアーをしながら歩き回っていたところです」


「あぁぁ……今はビリーが立っているのか。アルフレッドなら遊ばれずにすんなり来れたかもな」


 そのような会話している僕たちを見ていた女性たちの中から、1人のエルフがケビンさんに話しかけた。


「ケビン君、この子って……」


「ああ、クキだ。前にも話しただろ? 旅の途中で知り合った冒険者だ」


「でも……黒髪黒目……」


「クキは大丈夫だ」


 それから僕たちはお互いに自己紹介を始めたんだけど、僕とベネットさんは2人なのですぐ終わったのに対して、ケビンさんの周りにいた人たちの自己紹介が長かった。1人1人が時間をかけすぎたというわけではなく、人数が多かったのだ。そして驚くべきことに全員が嫁だと言う。もはやケビンさんには何も言わないのが正解なんだろう。


「お、お師匠さんは他にもお嫁さんがいるのですか?」


「ここの敷地にいる女性たちはみんな嫁だぞ。わからなかったら指輪を見ればいい。みんな同じ指輪を左右対称でしているから」


 やっぱり……お城の中で見た人たちはケビンさんのお嫁さんだったみたいだ。質問したベネットさんは開いた口が塞がらないみたいだけど、多分、ケビンさんの素性を知ったら、倒れるんじゃないかな。お城に近づくだけであんなにビクビクとしていたし。


「お師匠さんはここで働いているのですか? 警備隊長とか……」


「ん? 警備隊長ではないけど、たまに働いているぞ」


「やっぱりお城で働くとお給金がいいんですね。たまにしか働かないのにお嫁さんたちを養えているなんて」


「クキ、教えてないのか?」


「ケビンさんは面割れが好きそうではないし、あまり人の素性をペラペラと喋るのもどうかと思いまして。それにマルシアさん辺りが喋ってると思っていたので」


「クキくん、何の話ですか?」


「えぇーと……」


 僕が言い淀んでいるとケビンさんがネタばらしでもないけど、ここにいる理由の職業をベネットさんに伝えるのだった。


「ベネット、俺はこの国を治めている皇帝だ」


「……え…………こう……てい……?」


「そう。警備隊長とかじゃなくて、この城に住んでいる皇帝になる」


「…………」


 ベネットさんが僕をじっと見つめてきたので無言で頷き返すと、予想したとおりにベネットさんはその場でバタンと倒れてしまった。


「こうなるわよね」

「何も知らない一般人には刺激が強い」

「なんか新鮮だねー」


 ベネットさんの反応に対して口々に感想をこぼしている女性たちは、ベネットさんを軽々と抱えるとケビンさんに毛布を出させて、その上にベネットさんを寝かせるのだった。


「クキの訓練でもするか」


「さらっと、なかったかのようにして流してますね」


「まぁ、ベネットが寝ていたとしても、今日から個別メニューなんだ。差し障りはない」


 それから僕はケビンさんから訓練内容を聞くと、どうやら4つある洞穴は全てダンジョンのようで、僕1人で踏破してこいというものだ。何で敷地内にダンジョンがあるのか意味不明だけど、ケビンさんは構わず説明を続ける。


「左から初心者用、中級者用、上級者用、規格外用となる。さくっと初心者用をクリアして中級者用に挑んでくれ。間違っても規格外用には入るなよ。死んでしまうからな」


「あの……お守りバングルは……?」


「そんなものはない。絶対に死なないとわかっていたら、どんな無茶でもやってしまうだろ? 無理はしていいが無茶はするな」


 こうしてケビンさんからのざっくばらんな説明を受けた僕は、初心者用ダンジョンから攻略を進めるのだった。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「……ケビン君、瀕死になったら転移されるって言わないの?」


「安全が確定されている訓練なんて身にならないだろ? クキはまだ冒険者としての経験がティナたちに比べて浅い。いくら強くてもスキルに振り回されていたら、咄嗟の判断が成長しないからな」


「でも、入ったら救護所があるからバレるんじゃ……」


「クキとベネットにだけは見えないようにしているから問題ない」


「色々と考えているんだね」


「この世界で生きる以上、中途半端に育ててしまったら最悪その子を死なせてしまうからな」


 そして、ケビンは未だ気絶から目を覚まさないベネットの教育方針をヴェロニカたちに伝えていく。


「ヴェロニカたちはベネットが目を覚ましてから、一緒にパーティーを組んで初心者用から攻略を進めてくれ。その時はバランスよくパーティーを組むように」


「わかった」


「それじゃあ、他のみんなはいつも通りダンジョンで遊んでくれ。もし、クキに会っても手助けしないように。それとカトレア」


「なに、ケビン君」


「サイモンたちが帝都にいるから、会いたければいつでも会いに行っていいぞ」


「うん、わかった」


 ケビンがそう伝えると、ダンジョン攻略組はそれぞれの攻略中であるダンジョンへと潜っていく。そして、サラとマリアンヌは意気揚々と規格外用ダンジョンに潜るのであった。

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