第305話 わからないからこそ、喜びも一入

 翌日、ケビンは朝日が差し込むのを見て、思いのほか2人の体に夢中になっていたことを知る。


 最後の滾りをクリスへ出し尽くすと、それに合わせるかのようにクリスも達してしまう。


「んっ……これで赤ちゃんできたかな?」


「どうだろうな? 自然に任せるしかない」


 ケビンもようやく満足がいったのか、大の字になってベッドへ倒れ込むと、魔法を使って痕跡を綺麗にするのだった。


 そして朝から激しく燃え上がっていた3人は、当然朝食へ遅れることとなったのだが自業自得と言える。


 しばらく余韻に浸った3人は、ケビンが着替えを転移させたのでティナとクリスはそのままケビンの部屋で着替え始める。


 そしてふらふらとした足取りで歩き始めていた2人を見て、ケビンが回復魔法をかけようとするが、今の感覚に浸っていたいという要望で回復はせずにそのまま朝食を食べに行く。


 3人が食堂へついた時には他の者たちは既に終わっており、食後のティータイムとなっていた。


 嫁たちはティナとクリスの姿を見て話を聞きたがっていたが、食事中は食事優先というケビンが過去に決めた取り決めによって、逸る気持ちを抑えながら『早く食べ終われ』と、話を聞きたがっている周りの女性たちと思考が一致するのだった。


 その後、食事を終えたケビンは、ドワンの元へ装備品を受け取りに行ってくる旨を伝えて転移で出かけてしまい、ティナとクリスは嫁たちに脇を固められて憩いの広場へと連行されていく。


 そして憩いの広場では昨日の営みについて、女性たちから質問攻めにあうティナとクリスであった。


「――で、昨日からさっきまでずっとしていたのよ」


 ケビンの朝までエッチは嫁たちや奴隷たちの知るところではあるが、後から嫁になったシーラとアビゲイルやメイドたちは知らなかったので、ケビンの無尽蔵の体力と精力に戦慄するのである。


「ねぇ、ソフィさん」


「なぁに、ティナ」


「ソフィさんの力で妊娠したかどうかってわかるの?」


「わかるわよ」


「じゃ――」


「それで本当に知りたいの?」


 ティナが言うよりも早くソフィーリアが言葉を返すと、何故問われるのかティナはわからずに困惑してしまう。


「え……?」


「もし妊娠していなかったらどうする? 仮に妊娠していても簡単にわかったらつまらないわよ? 何となく体調が悪くなって『もしかしたら……』って感覚が体験できるから、できた時に喜びも一入なのよ?」


「……」


「こういうのは経験者が周りにいるのだし、聞いてみればいいのよ。どうだった、貴女たちは?」


 ソフィーリアが子供を出産したことのある奴隷たちへ視線を向けると、その者たちは当時の想いを口々にしていく。


「私は元旦那との子供だったので、当時で言えば最高の喜びでした。今となっては子供は愛していますが、信じていた旦那に奴隷として売られたのでその時の気持ちはもうありません」


「私は奴隷として犯され続けてできた子供だったので、当時は最悪の気分でした。でも、子供を出産した時にはその子に罪はないと思い愛情を注いだのですが、結果は奴隷の子は奴隷ですから玩具にされた挙句、命を落としてしまいました」


 その後も奴隷たちの体験談を聞いていき、夫婦として授かった子供なら喜びを感じ、犯された上で授かった子供なら最悪の気分を抱くという結果に終わった。


 結論として奴隷になったあとに生まれた子供は、大半が玩具にされて命を落としていったということがわかり、何とも言えない空気が漂ってしまう。


「でも、ご主人様が仇を取ってくれたので今はとても幸せです」


「子供の行方がわからず既に命を落としていた時も、ご主人様は私よりも心を傷めておいででした」


「ご主人様との間に授かる御子であれば、私は迷わずその時が来るまで結果を知らずにいたいと思います」


 そして、経験者たちからの言葉でティナも結果を早く知るのではなく、自然の流れに身を任せようと思うのであった。


 それからしばらくして、ケビンがドワンの元から戻ってくるとそれぞれに装備品を渡していった。


 新しい装備品に3人は喜ぶが、ニコルに至ってはやめればいいのにプリシラの前でドヤ顔をしながら見せびらかしているのである。


 当然のことながら有頂天のニコルだけが気づかず、他の者たちはプリシラのこめかみがピクピクとしているのを確認していた。


「それじゃあ数日後には旅に出るから、それまで各自で旅の準備を進めておいてくれ」


「ねぇケビン、野営とかはどうするの? テントとか買わなきゃいけないのよね?」


「うーん……」


「さすがにこの人数が入れるテントなんて売ってないわよ?」


「……作るか」


「テントを?」


「携帯用の家」


 ケビンの言葉にソフィーリア以外の者が絶句する。テントを作るのかと予想をしてみれば、出てきた答えは家である。スケールの違うケビンの考えに周りの者は唖然とするのだった。


「ふふっ、あの家を作るの?」


「いや、あれとは中身が違うものだよ」


「ケビン様、あれとは何ですか?」


「私、気になります!」


「俺とソフィの家だよ」


 またまたソフィーリア以外が言葉を失うと、ティナがすかさず羨ましがるのである。


「2人だけの家だなんてずるい!」


「いや、天界だからね? 神様の住んでいる場所だよ? そんな所にティナは行きたいの?」


「うっ……」


 神の住まう場所と言われてしまったティナは、そのような畏れ多い所へ行くだなんてできないので言葉に詰まるのであった。


 かくしてケビンプロデュースによる、携帯ハウスの作成がここに決まるのである。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 家造りの構想を練っていたケビンは、夕食と風呂を済ませたあと自室にてのんびり過ごしていた。


 そのような中、今日のお相手であるニーナとシーラが部屋までやってくる。


「恥ずかしい……」


「頑張ろ、シーラ」


 2人はしっかりと手を繋いでおり、恥ずかしがるシーラを連れてくるためにニーナが率先して手を繋いだようであった。


 ニーナから見ればシーラは年下になるので、お姉ちゃん風を吹かせてリードしているのだろう。


 そして恥ずかしがるシーラの服をニーナが脱がしていき、先にケビンへと預けるとニーナも服を脱いで一糸まとわぬ姿となる。


「ケビン君、先にご奉仕していい? ティナから昨日のことを聞いたの」


「ん? 別に構わないけど……」


「じゃあ、そうするね」


 すると、ニーナがシーラを誘導しながらケビンの服を一緒に脱がせていく。


 シーラは視線を泳がせ頑張りながらも何とか服を脱がせることに成功するが、最後の1枚を脱がせると一気に顔を紅潮させるのだった。


「うぅ……」


「シーラが凄い恥ずかしがってるな」


「うーん……どうしようか?」


「そうだなぁ……」


 ケビンとニーナが頭を悩ませていると、先に閃いたケビンが2人へ思いついたことを告げる。


「姉弟ごっこをしよう」


「姉弟ごっこ?」


「前にシーラが弟としてなら、恥ずかしくなくて平気って言ってたから」


「ああ……確かに言ってたね」


「だから3人姉弟ということにして、1番上がニーナで2番目がシーラ、最後が俺っていうことにしよう」


「私が1番上のお姉ちゃんね。シーラは2番目のお姉ちゃんだよ」


「ぇ……」


 いきなり始まる姉弟ごっこ遊びで、シーラは目が点となって状況に追いつけずにいたが、1番上のお姉ちゃん役であるニーナがシーラを先導する。


「ほら、シーラ。可愛い私たちの弟にご奉仕するよ」


「え……え……」


「それじゃあ、弟役のケビン君は立っててね」


 ニーナに言われたケビンが素直に立つと、シーラの手を引いたニーナがケビンの前へと来て膝立ちになる。


「シーラ、2人で頑張ってケビン君を気持ちよくさせるよ」


「う、うん?」


 今ひとつ状況についていけないシーラは、困惑しながらもニーナの説明を受けてその内容に驚くのである。


「え……本当に?」


「そうだよ?」


 さも当たり前と言わんばかりのニーナの表情に、シーラは腑に落ちない気分になるのだが、ここでケビンがシーラではなくニーナへ助け船を出すのだった。


「姉さん、俺のこと嫌い?」


「そ、そんなわけないじゃない! ケビンは私の自慢の弟なのよ、大好きに決まってるじゃない!」


「お姉ちゃんもケビン君のこと大好きよ」


「俺も2人のことが大好き」


「シーラ、大好きなら弟を待たせちゃダメだよ」


「わかってるわよ!」


 経験のないシーラはおずおずとケビンへご奉仕を始めると、反対側からはニーナも始めていた。


 ニーナがシーラへ手ほどきするかのようにお手本を見せて、それを見たシーラも同じように行動するのである。


 そして滾る想いが迸りそうになると、シーラはケビンからの想いを受け止める。


 そしてケビンはシーラと肌を重ね合わせて、互いの想いをぶつけていくのだった。


 やがてシーラが達してしまうとニーナへと変わり、休む間もなく快楽を与えられる2人はケビンの想いに呑み込まれていく。


 しばらく3人で余韻に浸っていると、落ち着いてきたニーナがケビンへ声をかける。


「ケビン君、今日のは激しかったね」


「ごめんね、姉弟ごっこが思いのほか萌えて激しくなった」


「ケビン……お姉ちゃん壊れるかと思ったわよ」


「姉さんが魅力的過ぎるんだよ」


「もう……」


「まだするよね?」


「2人が大丈夫ならまだしたい」


「お姉ちゃんはケビン君が満足するまで付き合うよ。シーラはどうするの?」


「ニーナが「お姉ちゃん」うっ……ニーナお姉ちゃんが付き合うなら、お姉ちゃんもケビンが満足するまで付き合う」


 ニーナはシーラからお姉ちゃんと呼ばれるのにハマったのか、普段呼びに戻ったシーラに指摘してお姉ちゃんと言い直させるのである。


 こうして姉弟ごっこはその後も続き、回復魔法を使って何回もケビンと肌を重ね合わせている内に、朝を迎えることとなって徹夜で快楽を貪ってしまった3人なのであった。

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