第304話 「何でも」という言葉の効力
街道整備を初めてから2週間、ようやく帝都からそれぞれの領境まで全ての街道を繋げることができたケビンたちは、ひとまず作業を終了することにした。
思いのほか短期間で済んだのは、各街道の下地を先に終わらせたケビンがタイル張りに参戦して、魔法にものを言わせて単独行動でどんどん進んでいった結果、集団で行っていたティナたちよりも多くの街道を整備することができたのだった。
「ケビン君、ここまでで本当にいいの?」
がちむちマッチョ兄貴の姿に慣れてしまったティナが尋ねると、ケビンは自分の考えをティナへ伝える。
「自分の領地のことはそこの領主が考えるだろ? 自分たちのやり方で整備してもいいし、申し出があればタイルをあげてもいい。何から何まで俺がするのは面倒くさい」
「まあ、それもそうね。全部ケビン君がするのなら領主なんていらないしね」
「そういうこと。領主なんだから領地を良くしていくのが仕事なんだし」
「じゃあ、このお仕事はもうおしまいね」
「ああ、みんなありがとう。お礼に何かしたいけど何がいい? 俺ができることなら何でも言っていいよ」
ケビンの言う「何でも」の部分に反応した嫁たちが、それぞれの要望を伝えるのだが、所々で言葉は違えど中身は揃って同じ内容であった。
「「子供!」」
「ケビンとの赤ちゃん」
「子供が欲しいなぁ」
「「赤ちゃんが欲しいです!」」
鬼気迫る嫁たちのお願いにケビンはタジタジとなりながら、少しだけ後ずさりしてしまう。
「す、凄い気迫だね……どうしたの?」
「だって、ソフィさんが物凄く幸せそうにお腹を触ってるんだもん!」
「羨ましい」
「お姉ちゃんも欲しい!」
「まだ知らない幸せを感じたいな」
「ケビン様のために頑張って世継ぎを産みます!」
「私はララさんたちみたいな双子が欲しいです!」
「でも、子供は自然の授かりものだよ? それに途中でできてるのがわかったら、冒険者組は冒険の途中であろうと城に帰すからね? それでもいいの?」
ケビンの問いかけに冒険を優先する者はおらず、嫁たちの考えは一様に子供の方が大事だから城に帰っても問題ないとのことだった。
そしてケビンがそれを叶えるために突きつけた要求は、できる限り確率を上げるため回数をこなせるようにする複数人プレイである。
「私は平気よ。ニーナと一緒にしてもらうことがあるし」
「私も恥ずかしいけど大丈夫」
「お姉ちゃん恥ずかしい……」
「私は平気だよ」
「勉強のために頑張ります!」
「私も気になります!」
ケビンの要求にシーラは恥ずかしがっているが概ね問題ないらしく、アリスやスカーレットに至っては、新しいことへの興味が尽きないようで他の嫁よりも乗り気であった。
だが、彼女らは依然マッチョ集団のままである。傍から見れば実にヤバい集団であることは言わずともわかることだろう。
そのようなマッチョ集団から言い寄られているケビンの姿を他の男性が見てしまえば、確実に自身のお尻を手で隠して通報するレベルである。
しかしながら、ケビン自身も嫁たちのマッチョ姿に慣れてしまっていたせいか、話がまとまったところでそのまま偽装を解除せず転移して帰ってしまうのだった。
そしてこれが一大事となる。
憩いの広場へ転移してきたケビンとマッチョ集団を見た女性たちが、一斉に悲鳴をあげるのだった。
女の園にいきなりマッチョたちが現れたのだ。悲鳴をあげるなという方が無理である。
阿鼻叫喚とも言える中で、正常な判断をして指示を出したのはソフィーリアであった。
「あなた、偽装を解除しなさい」
ソフィーリアの言葉でケビンが自分のうっかりミスに気づいてしまい、すぐさま偽装を解除するのだった。
そしてみんなの前で土下座をして謝り続けた。中には涙を流している者もいて、ケビンは自分の軽率さに過去へ戻ってやり直したいと思ってしまう。
「本当にごめん! 俺にできることがあるなら何でもするから許して欲しい」
「あ……」
ティナはいち早くケビンの失言に気づいてしまい声がこぼれるが、女性たちからは想像通りの言葉が返ってくる。
そしてティナは見てしまったのだ。「何でも」の部分に反応して女性たちの目が光ったことを。
「貴方、今『何でも』って言ったわよね?」
「ああ、俺のせいで治りかけていた傷を開いてしまったからな」
「そう……ソフィーリア様、私たちの望みを伝えてもよろしいですか?」
「構わないわよ。私は1番に身篭ったから充分だもの」
ケビンの1番であり続けることを望むソフィーリアは、子供ができる順番でも1番を取れたのでご満悦であった。
「ありがとうございます。貴方、いいかしら?」
「何だ? ケイト」
「私たちの望みは貴方の子供を身篭ることよ」
「え……」
つい先程帰ってくる前に嫁たちから聞かされた内容と酷似していて、ケビンは目が点となって呆然としてしまう。
「もちろん貴方の気持ちは尊重するわよ。まずは奥様方を身篭らせるのでしょ? 私たちはその後でも構わないからちゃんと子供を身篭らせて」
「それは総意なのか?」
「そうよ。誰か別の望みを叶えたい人はいるかしら?」
ケイトが女性たちへ尋ねてみるが、一様に首を振るばかりで別の要望を答える者はいなかった。
「わかった」
「さ、いつまでも皇帝たる人が頭を下げておくべきではないわ」
ケイトに手を掴まれたケビンがその場で立つと、最後にみんなへ謝ってこの場は収まるのであった。
そのような中で、1人コソコソとクリスへ近づく者がいる。クリスの背後で止まると小さな声でクリスに助けを求めるのだった。
「お姉様、私はどうしたらいいんですの? 雰囲気的に何も言い出せないんですの」
「ふふっ、良かったね。ケビン君の子供を身篭れるよ」
「ちょっとお姉様、それで困ってるんですの」
「アイリスはケビン君のこと嫌い?」
「嫌いでしたらここへは来てませんの」
「それなら抱いてもらえばいいよ」
「部外者の私がご寵愛を賜れるんですの?」
「ちゃんとケビン君に気持ちを伝えたらね。何も言わなければそのままだよ。部下としてしか見ないから」
「わかりましたの。今度勇気を出して告白してみますの」
「応援してるよ」
こうして、ケビンのあずかり知らぬところでクリスがアイリスを応援して、告白への勇気を出させるのであった。
その日の夕食時、ギルドでの仕事が終わって帰ってきた2人が今日の出来事を聞いてしまい、サーシャがケビンに尋ねる。
「ケビン君、私たちも当然入ってるのよね?」
「当たり前だろ。2人だけ仲間外れにするわけがない」
「それなら良かった」
「旦那様、お疲れの時は無理をなさらないでください。私はパメラちゃんもいますし、今のままでも充分に幸せです」
「アビーはいい女だな」
「そんな……旦那様……」
アビゲイルが頬を染めて食事を進めている中で、ケビンは今日のお相手をこの場で知らせるのだった。
そしてそのあとは何事もなくお風呂を済ませて、ケビンは部屋で待つことにした。
待っている間は旅に出る前にやり残していることがないか、思考を巡らせて考え込んでいたが程なくしてティナとクリスが部屋に入ってくる。
「お待たせ、ケビン君」
「こんばんは、ケビン君」
ティナはニーナとの3人プレイで慣れているのか普段通りであり、クリスはケビンとの時間が過ごせれば誰がペアでも構わないようである。
2人はベッドに上がると自ら服を脱ぎ出して、一糸まとわぬ姿になるとケビンへ抱きついた。
「2人で話し合ったんだけど、まずはケビン君にご奉仕をするわ」
「ケビン君はそのままご奉仕を受けるんだよ」
2人がケビンの服を脱がしていくと、戦闘態勢の整ったものがその姿を現すのだった。
「大きい……」
「改めて見ると凄いね」
「2人の姿を見ればこうならない方がおかしいよ」
「嬉しい」
「いっぱい気持ちよくするね、はむ……」
「あ、クリスずるい!」
「早い者勝ち……」
「もう……仕方ないわね」
「うっ」
2人から同時に攻め立てられている上にティナが舐めだして、ケビンは今までにない快感をその身に感じていた。
「ふふっ、気持ちよさそう……」
ケビンが快感で反応していると、ティナはもっと気持ちよくしようと頑張って、迫り来る波に抗えずケビンは1回目の絶頂を早くも迎えてしまう。
2人がケビンの出したものを味わっている光景を目にして、ケビンのやる気がはち切れんばかりになっていく。
そのまま2人がキスを堪能していると、やがて満足したのかお互いに唇を離して感想をこぼした。
「女の子同士のキスも中々盛り上がるわね」
「ティナのことは好きだしね」
「さ、ケビン君。どっちから食べる?」
「どっちが先でもいいよ」
「まずはティナから」
「あんっ……嬉しい……」
「うぅ……負けたぁ」
やがてケビンが想いをティナの最奥へ吐き出すと、ティナは力なく痙攣を繰り返すだけで反応が乏しくなってしまう。
「ぁ……ぁ……」
「乱れまくりだね」
「クリス、楽しんでたでしょ?」
「うん、女の子同士って初めてだし、ティナが反応してくれるのが嬉しくて、つい……」
「次はクリスの番だよ」
「ふふっ、ティナがへばってるから私がケビン君を独り占めできるね」
「狙ってた?」
「ちょっと」
「悪い子だ」
ケビンの激しい動きで早くも達してしまったクリスは、余韻に浸る間もなくケビンから更に攻め立てられていく。
それからもケビンはティナが終わればクリスへと移動して、交互に入れ替えては回復魔法を2人に使って、朝まで何回も肌を重ね合わせるのであった。
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