第49話 二種類の香草で
――今回味付けには、二種類の香草と塩を合わせたものを用意してみたんだ。
【 辛草:香草
効能:疲労回復効果 防腐・殺菌作用
可食:根っこ以外の全草
魔素が濃い場所に生えているものほど、
辛みが強く効能が高い
採取:先端部分の葉と茎を採る
根を残しておくと、1ヶ月程でまた採取可
冬以外は採取可能 】
【 涼草:香草
効能:健胃整腸作用 防腐・殺菌作用
可食:根っこ以外の全草
魔素が濃い場所に生えているものほど、
清涼感のある香りが強く効能が高い
採取:先端部分の葉を採る
根を残しておくと、1ヶ月程でまた採取可
冬以外は採取可能 】
『鑑定』結果を見ると、効能も良さそう。
この香草を使って調味料を作りたいんだけど、料理道具は持ってない。なので、その辺にあった石を二つほど拾ってきて、水魔法で洗ってから聖魔法で『浄化』してみた。
綺麗になった石をすり鉢代わりに使い、辛草と涼草を挟んでゴリゴリとすり潰していくと、ちょっと荒いけどペースト状になってくれたよ。ふうぅ、道具がなくても何とかなった……良かったぁ。
辛草は唐辛子の、涼草はミントのような風味の香草だったので、涼草の方を多目に調整してみる。
味見してみたらいけそうだったので、このペーストに見た目で同分量の塩を入れて混ぜ混ぜする。
最後に風味付けとして、ダイダイの実を絞って作った果汁を少々加えると、即席のチャツネっぽい調味料が出来上がった。調味料一つ作るのにも手間暇がかかるねぇ。
後はこれを少量をすくって具材に塗ってから、炙り焼きにしていったんだよね。食欲を刺激する美味しそうな匂いが堪りませんっ。
――では早速、いただきます!
うん、やっぱり塩があると全っ然違う! シンプルなのに美味しい! 虹色茸って普通のお味だって言ってたけど、十分美味しくなっているよっ。
それに、辛草が名前の通り唐辛子のようなピリリッとした辛味で、これがまたいいアクセントになって食が進む。涼草の、ミントのような清涼感のある爽やかな香りがほんのりと感じられるのもいい。これはもっと色々な香草をブレンドしたくなるね。
生で食べられる移ろい花の花弁にも、ちょこっと即席香辛料をつけて食べた。取れたて新鮮でシャキシャキとしているし、こっちも美味しい。
そうこうしているうちにウォークバードのお肉が焼きあがってきたっ。
火加減が難しくて端っこの方が少し焦げたけど、肉汁がジュウジュウといい音を立てているし香ばしい匂いが素敵ですっ。早速、分厚い塊肉にかぶりつく。
うん、ちょっと硬いけど、これは屋台で食べた串焼き肉よりもいけてる気がする!? このピリ辛がお肉に合うね! いっぱいあるし、どんどん食べちゃおうっ。
ふうぅ……ごちそうさまでした。美味しくてちょっとだけ食べ過ぎちゃった……。
でもまだ三食分以上のお肉がたっぷり残っているんだよね。ホーンラビットくらいの小さいウォークバードだったし結構食べたと思ったけどこれは……た、食べきれるかな?
燻製肉とか作れたらいいのになあ……どうやるんだろ? ぼんやりとしか覚えてないや。
大葉に包んでおけば、明日のお昼までは持つし、今日もリノに会うから食べきれないお肉はお裾分けしたらいいか。
そういえばこっちに来てから肉ばっかりで、魚を食べてないや。ふわふわの白身魚とかプリプリの海老とかプチプチのイクラとか……こっちにもあるのかなぁ? なんか食べたくなってきちゃった。
今のところ私の行動範囲の中では大きな川や湖は見つかってないけど、もし見つけたら魚釣りしたい。
捕れたてのにシンプルに塩だけ振って、その場で焼いて、出来立ての熱々を丸かじりしたいなぁ。
メインのお肉を堪能した後は、デザートにダイダイの実を一個だけ食べ、MP微量回復効果のある手作りのドライフルーツもつまんでおく。
支援魔法も切れていたので、HP、MP回復もパパっと重ね掛けし直した。
少し食休みをとった事で、体力、魔力が戻ってきたのが感じられる。予想してたより回復速度が速くてほっとした。
まだお昼前だけど料理をしたことで予定より時間が押しているので、先日行った果樹がたくさん生えていた場所に行こうと思う。
果樹の周りに迷いの魔樹があるのを、いくつかマッピング済なんだよね。果物の採取と併せてその一帯の魔樹の数を減らしておこうと思うんだ。
荷物が増えてきたので、背負子の空きスペースもすくないから、果物は自分用のを持てる分だけになるけどね。
『マップ作成』で確認すると、このまま街道をいく方が距離はある。でも森の中を通って行くよりも安全にすぐ近くまで行けるから、移動時間が短くて済みそうだ。
焚き火の後始末をしてから、荷物をまとめて背負子を背負い、移動を開始する。
安全な街道は走って進み、森の中に入ってからは『索敵』を使って戦闘を避けながら、こそこそと小走りで移動していく。
『隠密』スキルも最初に比べると随分上手く発動出来るようになったみたいで、一度も魔物に気づかれずに目的地まで到着できた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます