第3話
そんな、非現実な戦闘が終わった後、少年は右足を抑え座り込んだ。
ボクは慌てて少年に駆け寄った。
ボクはそっとハンカチで止血をする。
「大丈夫だ…すぐに治るから」
だけど、ボクは止血を止めなかった。
ハンカチが真っ赤になったところ、血が止まる。
ボクはカバンからお弁当を包んでいたてぬぐいで怪我したところを巻いた。
「ありがとう」
少年は口を尖らせて言う。
「…えっと、あなたは誰ですか?
それに、さっきのあれは一体…」
少年が怪訝そうな顔をする。
ボクは少し空気を吸っていった。
「あなたは誰ですか?」
少年は納得したような顔をすると、長い前髪をかきあげた。
「ああ、オレはシゲル。
一応ヒーローをやっている」
ヒーロー。その四文字だけでもボクの興味を引くのに十分だった。
「あっ! 光弘にいちゃーん!
シゲル見つけたよ! 」
可愛らしい少年の声が響くと、魔法使いのコスプレをした少年が現れた。
その後に、スチームパンク風の服を着た青年と、幕末志士のような姿の青年が続く。
「シゲル、また怪我したのか?
ほら、肩貸してやるよ…」
シゲルは幕末志士の肩を借りると立ち上がる。
そして幕末志士は小さく礼をした。
「あぁ、きみ。ありがとな。シゲルの手当てしてくれたんだろ? 」
ボクは3人の格好に驚くが、小さくうなづいた。
魔法使いがボクの手を握ると、ピョンピョンと跳ねる。
「ねぇ! せっかくシゲルを助けてもらったんだからお礼をしようよ!
先生のご飯食べさせてあげようよー!! 」
「おぉ。ブラウニー。いい考えだな! セカイも賛成だろ? 」
セカイと呼ばれたスチームパンク風の青年はコクリとうなづく。
「い、いえ…。ボクの方が助けられたというか…なんというか…」
彼らはボクの声には気づかないようだ。
魔法使いに手をひかれるまま、ボクは彼らのあとへついていった。
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