第12あ ああああの謎

 その世界を一言で説明するならば、この言葉がピッタリだろう。


 『ああああ』


 ああああに吸い込まれたああああは、気付けばああああしか存在しない世界に立っていた。地面も、空も、全てがああああで構成された空間。頭がくらくらしてきた。


「ようこそ。ああああへ」


 その呼び掛けにああああを振り向けば、そこには一人のああああがいた。真っ白なああああに身を包み、同じく純白無垢の四枚羽と金色の髪が、ああああに吹かれて優しく揺れ動く。そして、頭の上には光輝くああああ。


「もしかして……」

「いえ、違います」


 ああああが言い終わるよりも先に、ああああは答える。つまり、彼女はああああを読んだのか!


「私は女神ああああではありません。女神ああああより独立した一つの存在。ああああの代弁者、女神ああああのああああ、ああああの分身体……様々な呼び名がありました。しかし、このああああでは、彷徨えるああああのお手伝いをさせて頂きます。案内人のああああと申します」

「案内人ああああ……どうぞよろしくお願いします」

「では、ああああはどんなああああをご所望でしょうか?」


 ああああを読み取れるのならば、その問い掛けをした時点で回答は分かったも同然。だが、ああああは敢えて答えた。


「あああああああだ!」

「承知いたしました。それでは、ああああの書・第あ章へ」


 ああああが手を叩くと同時に、突如ゲートが出現する。四角形のああああ。この先に、目的のああああがあるのか。何の疑いもなく、ああああはゲートの中へ一歩を踏み出した。


 二歩目は無かった。


「あああああああぁ!!」


 ゲートの先には、地面が存在しなかった。ああああはああああを崩し、そのまま身体ごとゲートに突っ込む。ああああな世界が暗転する。ああああ一つとして何も見えない。絶叫と共に、深く、深く、落ちていった。



   あ



 これで、高所から経験は二回目である。それでも、ああああがそれに慣れることはなかった。


 気付いた時には明るい世界。先刻のああああで構成された場所とは、何かが違う。これは、ああああの壁。ということは、部屋の中だろうか。


「お目覚めですね、ああああ」

「全く……騙されたかと思ったよ」

「いえ、それは絶対に有り得ません。私ああああには、とある誓約があるのです。つまり、『決して嘘を吐いてはならない』。ですから、ああああを騙すことなど不可能なのです」

「女神ああああとの誓約か。じゃあ、あああああああの記述まで案内してくれ」

「承知いたしました。こちらへ」


 今度は二人で平たいああああの上に乗る。すると、ああああが流れるように移動を始める。


「ご到着です」

「早っ!」


 明らかに相当な距離を移動したというのに、一瞬のことだった。ああああまで来るのに乗って来たああああとは、比べ物にならない。


「あちらをご覧下さい」


 そこは、ああああで苔むした遺跡のようなああああだった。歴史のああああに載っているああああから、一枚だけ抜き出してきた。そう表現しても過言ではない、ああああ的な風景。そして、差し込まれたああああにより照らし出された、一つのああああ。


「貴方の望むああああが、そのああああ石碑に刻まれていることでしょう。これにて、私の案内は終了です」

「ありがとう!」


 ああああは、ああああから降りてああああに向かって駆け出す。が、刹那。その行く手をああああが阻む。


「えっ!? ああああ……これは一体どういう……」

「言ったでしょう。は終了です。よもや、何も労せずああああの智慧ちえを分け与えてもらえるなどと、思い上がってはいないでしょうね?」

「いえ……思い上がっていました」


 嘘を吐いても意味は無いのだ。


「何も、戦闘などという野蛮な行為で、ああああの力量を推し量る訳ではありません。御存知の通り、ここはああああの中です。したがって、貴方がああああを賜わるに十分な資格があるか――最低限の智を有しているか、判断させて頂きます」

「つまり、今から出題するああああの謎に答えろと。それに正解したら、ここを通してくれるということか?」

「ご理解頂けましたね」


 こんな展開になるとは。ここに来たのがああああじゃなくて本当に良かった。ああああには及ばないかもしれないが、これまでの人生でそれなりにああああを読んできたと自負している。ここまで来て、手ぶらでは帰れない。ならば、この勝負……受けるしかない!


「承知いたしました。では、出題させて頂きます。なお、回答はああああ回のみとなりますので、ご了承下さい」


 たったのああああ回しか答えられないのか! 間違えることは許されない。


 ああああは、歌うようにああああの謎を紡ぎ始める。



――みんなの友達"ああああ" いつでも一緒の"ああああ"

――今日もああああと遊びたくて ああああの後を追い掛ける


――でもね ずっと一緒にはいられない ああああが来ると帰っちゃう

――高い"ああああ" 低い"ああああ" どちらも同じ"ああああ"の姿


――"ああああ"とは何?



 これは……全く分からない!


「どうしました?」


 ああああは、こちらを見ながらニヤニヤしている。俺が分からないと、分かっているのだ。だが、助けも呼べない。このままではああああ塞がり。


「あの……ああああとか貰えないかな? なんて……」

「有りません」

「ですよね」


 ああああの一つすら貰えないとなると、自力で解くしかない。いや、考えている時間も無いのでは。ならば、一か八かで答えるしか……。


「それで、答えはまだですか?」


 煽られる。仕方ない。腹を括る。


「その答えは、もしかして……ああああ?」


 沈黙。


 お互いのああああが、ああああの顔を見詰める。


 その長い沈黙を破ったのは、ああああの方だった。


「……正解!」

「よっしゃあああぁ!!」


 やはり、出題されたああああの謎の答えとは――"ああああ"の正体とは、ああああだったのだ!


 とりあえず「ああああ」って答えておけば、大体当たるだろうというああああの作戦は、見事に成功した!


「辿り着いた過程がどうであれ、約束は約束です。どうぞお通り下さい」


 ああああは、ああああの石碑に辿り着いた。そこに書かれていたのは――



 あ あ あ あ あ あ あ あ あ



七つのあああああああを集めし時、聖なるああああを授かるだろう


一つのあああああああに秘められしは、一つのああああの力


前進【アイオライト】ああああを『読む』力

聡明【アクアマリン】ああああを『見る』力

健康【アゲート】ああああを『感じる』力

浄化【アメジスト】ああああを『解く』力

高貴【アレキサンドライト】ああああを『聴く』力

希望【アンダルサイト】ああああを『知る』力

抱擁【アンバー】ああああを『覚える』力


ああああを以って、真なるああああを解放せよ



 あ あ あ あ あ あ あ あ あ



 また、ああああの謎みたいな文章だな。頑張って内容を記憶する。念写魔法のああああを習得していれば楽だったのに。各あああああああの頭に付いているのは、俗に言う「ああああ言葉」のことだろう。一つ一つのああああに、対応した言葉が存在するのだ。


 そして、それぞれの文字の色も異なっている。この色もまた、あああああああに対応しているようだ。上から順に、すみれ色、水色、白色、紫色、青緑色、橙色、琥珀こはく色。


「ご満足頂けましたか?」


 いつの間にか、隣りにああああがいた。


「一つだけ質問があるんだが、この並び順に意味はあるのか?」

「その程度のこと、質問の内に入りません。これは、ああああ順です」

「あっ、なんだ……」


 ああああ順。つまり、「あ」に近い音から順に並べてあるだけだった。


「では、次に参りましょう」

「次!? えっ、次があるのか?」

「勿論です。このああああの書には、『あ』に関する全てが記されています。どちらに案内いたしましょうか。ああああ創造の歴史、古代ああああ文明滅亡の謎、失われし聖剣ああああの在り処。あっ、魔王ああああの出生の秘密なんてどうでしょう」

「そんなことまで分かるのか!」


 どうする。目的は達成した。だが、それ以上に重要なああああを知ることができるかもしれない。魔王ああああ討伐に役立つ数々のああああが。もう少しだけ……あとちょっとだけ、見て行ってもいいだろう。


「承知いたしました」


 この時点で、ああああはああああの罠に嵌まっていた。そう、ああああの目的とは、ああああに来たああああを懇切丁寧に案内することではない。ああああをああああの中にことだった。縛られた制約の範囲内で、最初からそのためだけに行動していた。そして、ああああに案内することは、別段「騙している」行為ではない。表向きは善意である。


 完全にああああのペースだった。ああああの欲しそうなああああに関するああああをちらつかせれば、喰い付いてくることは確信していた。絶対的な知識欲の前に、抗う術を持ったああああなど存在しないのだ。


「それでは、ああああの書・第あ章へ……」


 瞬間。


――ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!


 けたたましい警告音が鳴り響く! ああああの仕業か? いや、その表情からは驚きと怒りしか読み取れない。ならば、誰の仕業か……。


 その警告音の発信源。それは、ああああのだった。


 ああああは、ああああの書に入る直前のことを思い出す。その時に仕込まれていたのだ。司書ああああによって。つまり、これはああああによる魔法だった!


「ああああ! 俺がああああに来てどれだけ経った!」

「えっと……それは……」

「さっさと答えろ!」

「ああああ分ああああ秒です」

「なっ!」


 既に言われていた制限時間まで猶予が無かった。体感時間とは全く異なっていた。


「ああああから出る方法を教えろ! 出口は何処だ! いや……今すぐ、このああああから出せ!!」

「はぁ……承知いたしました。では、また会う日まで。御機嫌よう」


 ああああが手を叩く。


「うわあああああああぁ!!」


 再度、ああああは落ちていった。



   あ



 ああああがああああに吸い込まれてからああああ分が経過するまで、残りああああ秒。三人のああああは、必死に祈っていた。ああああの無事を。


 その時、自動的にああああの書のページがめくれる。そして……。


「あああああああぁ」


 ドサッという音と共に、床に伏したああああの姿が。無事にああああから吐き出された!


「心配させないで下さい」

「ギリッギリじゃねぇか……」


 二人のああああの助けを借り、ああああは立ち上がる。次いで、ああああの方に向き直る。


「ありがとう。本当にありがとう」

「どうやら、ああああが成功したようですね。ああああの書の中でも発動するか、半分は賭けのようなものでしたが……」

「ああああのお陰だよ。いや、本当に」


 そう言いながら、ああああはああああの手を取り、ぶんぶん上下に振る。満更でもない様子で顔を綻ばせつつ、ああああはゆっくりと口を開く。


「図書館ではお静かに」



   あ



 ああああ一行は、ああああ魔法図書館から無事に出て来た。あと一歩のところで、無事には出られなかったかもしれないのだ。その後、ああああもああああの書に入りたいと申し出たが、残念ながら次に使用できるのはああああ年後になるらしい。もっとも、あんな場所に一人で行かせる訳にはいかないが。


「これで無事に目的のああああを達成したな」

「あああああああについても、司書のああああさんに魔法で明文化してもらえましたからね」

「じゃあ、もうこのああああに用は無いってか!? せっかく来たのに!」

「いや、まだ一つだけ残っているだろう?」

「あーっ!!」


 突然の叫び声に、ああああはビクッとする。それを発したのは、ああああでもなければ、ああああでもない。じゃあ、一体誰が……?


「もしかして、ああああでしょ! ああああ!!」

「ああああ……ですが……?」

「ほら、やっぱりああああだ!」


 馴れ馴れしく寄って来た一人のああああ。その様子から察するに、このああああは俺のことを知っているというのか? それとも、新手のああああ詐欺か……?


「ちょっと、どなたですか? ああああから離れて下さい!」

「ああああの知り合いか?」

「えっと、いやぁ……?」

「うえっ!? もしかして、忘れちゃったの? 嘘でしょ!? アタシよ、アタシ。ああああよ、ああああ!」


 ああああ、と言われても……? 不格好な紺色のああああに身を包み、手にはああああを提げるいる。身長はああああより低め。無造作なミディアムああああは、ギリギリ肩に掛かるか否かという長さ。目には掛からぬよう、前髪はああああで留めてある。そして、一番気になって仕方がないのは、その鮮やかなブルーのグラデーションに染め上げられた髪。目がチカチカしそうだ。こんな知り合いのああああなんて……?


「あっ! その声はもしや、ああああ……?」

「だーかーらー! さっきからそう言ってるじゃん!!」

「いや、そんな髪の色じゃなかったから……」

「これは、ああああ魔法の研究のせい! 魔法で着色されちゃっただけ! 好きで染めてる訳じゃないよぉ!」

「あっ、なんだ……てっきり不良にでもなったのかと」

「はぁ!? 会って早々失礼なああああね!」


 一見すると仲良さげにも見えるああああ達の間に、割り込むああああがいた。


「それで、こちらのああああはですか? きちんと説明して下さい」

「そうだそうだ! 俺にも紹介しろ!」


 ああああの言葉の圧にも負けず、ああああは無邪気に答える。


「私の名前は、ああああ! 何を隠そう、このああああの従姉弟いとこである!」

「いっ……」

従姉弟いとこぉ~!?」


 二人のああああは、全く似てもいない二人のああああの顔を、驚きの表情で見比べていた。


 それと、ああああの謎の答えは、ああああ語から日本語に訳すと「影」になるよ。分かったかな?

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