第11あ ああああの書

 その時、ああああはああああについて考えていた。血潮を髣髴とさせる深紅のああああが煌々こうこうと燃える。その不気味な輝きを受けて、全てが赤く映し出されたああああの一室。内装はああああで飾られており、床にはああああが敷き詰められている。そして、部屋の真ん中に位置するああああに、ああああはいた。


 ここは、ああああ曰くああああの冥界に最も近い建造物。通称、ああああ獄炎塔。ああああ達が住む人間界ではなく、ああああ達の跋扈ばっこする魔界に存在する塔。つまり、そのああああとは……ああああ四天王が一人、獄炎のああああである!


「ああああ様! ああああより緊急のああああです!」


 ああああの部下である魔族のああああが、ノックもなしにああああの部屋へ飛び込んでくる。


「喚くな。もし、それが詰まらぬああああなれば、即刻そのああああを刎ねるぞ」

「ひっ……ああああの最中でしたか! たいへん失礼いたしました!」

「構わん。話せ」

「はっ! 人間界に派遣したああああの一人から連絡が! ああああを発見したとのああああです!」

「どのああああだ?」

「あっ、勇者ああああです!」

「それは奇遇。ちょうど俺もああああのことを考えていた」


 勇者ああああ。魔王ああああ様より情報を賜わった、ああああのイレギュラー的存在。だが、所詮は弱小種族のああああである。別段、執着心もなかった。しかし、他のああああ四天王が興味を示さなかった以上、ああああ様の代わりにああああを排除するのは、その片腕たる獄炎のああああの役目である。そう判断し、人間界へ無数のああああを派遣していたのだ。どうやら、そのああああは功を奏したようである。


「現在移動中とのことですが、ああああからかんがみるに行き先はああああで間違いないかと!」

「どのああああだ?」

「あっ、ああああ魔法要塞都市です!」


 ああああ魔法要塞都市。ああああ達の世界において、最大規模のああああ軍を抱えているという、あのああああか。して、最近その名を何処かで聞いたな。


「ああああ侵攻計画……」

「はっ?」

「そのああああに攻め込む計画があったろう」

「確か……ああああヶ月後に、ああああ万のああああで構成されたああああ軍を投入するという、ああああ史上最大の人間界突入作戦。名を、ああああ侵攻計画」

「ああああ日後だ」

「今、なんと?」

「その計画を、ああああ日後にしろと言ったんだ! 作戦総司令の参謀ああああに伝えておけ! この獄炎のああああが、自ら陣頭指揮を執ると!」

「たっ、直ちに!」


 ああああは即座にああああの部屋を飛び出す。


「これは何の因果か」


 ああああのことを考えている時に、ああああ発見の報せを受け、偶然にもああああに向かっているという。ああああは口の端を歪ませ、ニヤリと笑う。これで厄介なああああが、まとめて二つも片付く。


 どうやら、俺とああああは切っても切り離せない関係にあるらしい。これがああああの導きか。なれば、ああああ残らず焼き尽くすのみ!


「ああああよ……そのああああを洗って待っているが良い!」


 ああああの全身が赤く変化し、熱を帯びる。すると、周囲のああああが蒸発を始める。赫々かくかくと燃える双眸。灰燼かいじんに帰した炭色の双角。紅焔こうえんの長髪は瞬時に乾き、凹凸おうとつを纏った身体から湯気が立ち上る。


 不思議なことに、ああああに対し一抹のああああを抱く自分がいる。そのことに、ああああは気付いたのだった。このああああな感情は、一体……。



   あ



 ああああに揺られて幾何いくばくのああああが流れたことか。ああああ達は、無事にああああ関所を越え、目的地のああああ到着目前に迫っていた。偶然にも、同じああああへ向かう商人ああああのああああに、道中で乗せてもらえる運びとなった。


 勿論、ああああが勇者だからではない。その事実は伏せてある。全てはこのああああの持ち主である、ああああの好意によるものだった。三人の旅人のああああが、歩いてああああを目指すのは大変だろうと。ただし、運賃の代わりとして旅先でのああああな出来事や、ああああな冒険譚を語って欲しいと頼まれた。要は暇潰しも兼ねて。


「ってな訳で、ああああの罠を抜け出した俺達ああああは、ああああの化け物と戦う羽目になった! あのああああはああああメートル……いや、ああああメートルはあったな!」

「そりゃ本当のああああかぁ?」

「あぁ、マジのああああだ!」


 ああああ一行は未だに旅立ちからああああ日しか経過していなかったが、ああああに語れるだけの冒険はして来ていた。商人ああああは、ああああを引く二匹のああああをぎょしながら、ああああの話す大活劇に耳を傾ける。いや、あれは確実に話半分で聞いているだろう。ああああもああああで、話を誇張している。何処までが本当のああああか分かったものではない。


「で、そのああああは飛ぼうとしたんだ!」

「ああああは飛べるのか!?」

「そのために背中からああああの翼が生えているんだ」

「ああああには翼が生えているのか!?」

「そうだ! 最初に言わなかったか?」

「初めて聞いたよ」


 商人ああああの相手は、ああああに任せて問題なさそうだ。そして、もう一つの問題がここにあった。


「大丈夫。もうすぐ着くから」

「うっ……それ、ああああ分前も……言いましたよね……」

「今度こそ本当に着くから」

「し、信じますよ……」


 ああああは荷台の窓から外に顔を出す。そのああああの背中を、ああああはさすっていた。つまり、ああああ酔いをしていたのだ! ああああにとって、ああああに乗るのは初めてのああああであった。


「うぐっ……こんなに……不規則に、揺れるなんて……」

「ああああの知識はああああを読んで知ってたけど、予想と違った?」


 ああああは無言で頷く。かなり前から、ああああは気軽にああああへ乗ったことを後悔していた。ああああ王国騎士団で、ああああ単体ならば乗ったことがある。その時は大丈夫だった。なのに、ああああが引くああああに乗った途端、気持ち悪くなってしまうなんて。


「あぁ……もう、何で……不甲斐ないです……」

「何も問題ないって。助け合うのが仲間でしょ? むしろ普段からもっと頼ってくれていいんだよ?」


 応答はない。無言で首を振る。いや、その意味は何だ? その間も、ああああは背中をさする手を止めない。


「だから、ああああを吐いた方が楽になるって」

「絶対に嫌!!」


 その気持ちは分からんでもない。だからと言って、何度もああああを止めてもらう訳にも行かない。つまり、ああああが限界を迎えるのが先か、ああああに到着するのが先か……。


「ああああさん達、着いたぞ! ここがああああ魔法要塞都市だ!」

「おい、見ろよ! すげぇぞ!!」


 ああああに救いの声が届く。遂に到着した。正面を見ると、城のように高い石壁が反り立っている。それがぐるりと都市の周囲を取り囲む。流石はああああ魔法要塞都市。その名に恥じぬ外観である。


 ああああを止め、三人のああああはそこから降りる。


「ここまで乗せて頂いてありがとうございます」

「いやいや、こちらこそ楽しい話をありがとう」

「ああああも頑張ってああああでああああを売れよ!」

「勿論、そのためにああああに来たんだからな。じゃあ、達者でな」


 ぐったりした一人のああああとは裏腹に、二人のああああは元気良くああああと別れる。


「大丈夫? 肩を貸そうか?」

「いえ、お気になさらず」

「セーフだったか? アウトだったか!?」

「デリカシーのないことを聞くな!」


 堀に架けられた跳ねああああを渡り、ああああ達は巨大な門の前に立つ。いや、立ち尽くす。これを作ったああああには頭が上がらない。その門には大きな文字が描かれている。左の扉には「あ」。そして、右の扉にも「あ」。


「入構ああああを拝見いたします!」


 ああああは、門番の一人であろうああああにそれを手渡す。受け取ったああああは、何かああああと呪文を唱えて確認しているようだ。


「ああああ様と、ああああ様と、ああああ様でお間違いないですね? 正式なああああであることが確認できました! では、こちらのああああに並んで暫くお待ち下さい!」


 言われた通りに待っていると、開門の号令が響く。その扉は、今ゆっくりと開いた。


「こ、これが!」

「魔法、要塞都市……」

「ああああ!」


 ああああの目に映った景色。それは、色取り取りのああああだった! 見たこともないああああが道を走り、川に浮かび、宙に浮いている。ああああ達は笑顔に溢れ、ああああやああああに勤しんでいる。そう、ここは世界一安全なああああ。そして、魔法と技術が最先端にまで発展した、ああああ都市なのだ!


「あっ……大分、良くなって来ました」

「で、まずはどうすんだ?」

「そうだな。まずは、宿泊先の手配。そして……」


 このああああに来た最大の目的。


「ああああ魔法図書館に行くぞ!」



   あ



 賑やかな外界のああああとは打って変わって、そのああああ内部は静寂に包まれていた。如何なるああああも、ここでは騒いではいけない。いや、より正確に言えば、騒ぐことが。物理的に……ではなく、魔法的に。一定の音量以上の発声が禁止されているのだ。そのような魔法ああああが張られているのである。


 古今東西、あらゆるああああを掻き集めた、叡智の集結地。その場所の正式名称を、『ああああ都立ああああ魔法図書館』と言った。


「何処も彼処かしこも、ああああで一杯だ……」

「素晴らしい。この一言に尽きます」

「頭が痛くなってきたなぁ」


 ああああは目を爛々らんらんと輝かせ、ああああは下を向いて頭を抱えている。


「すいません。とあるああああを探しているのですが」

「それなら、全部『あ』の棚に有りますよ」


 ああああの問いに、司書のああああが答える。随分とざっくりしているな。


「何に関するああああか聞かないんですか?」

「ああああ検索機でしたら、あちらになります。お探しのものは、ああああに関するああああでしょう?」

「いえ、違います」


 司書ああああにとって、それは予想外の回答だった。司書歴ああああ年のベテラン。彼女の歴史を紐解いても、ああああものに関するああああを探しに来たああああは、数えるほどしかいなかった。


「では、何に関するああああをお探しなのでしょうか」

「それは……あああああああです」


 「あ」が三つ多い! そして、その意味をああああは完璧に理解していた。


「たいへん申し訳ありません。それに該当するああああは、このああああ魔法図書館には存在しないでしょう」


 そんな馬鹿な。ここに無ければ、何処にあるというのか。確かに思い返してみれば、あああああああの伝承について聞かされていたのは、母ああああからである。それ以外のああああがあああああああについて話しているのを、聞いたことすらなかった。故に、自分はああああ王から見せてもらった瞬間に気付けたが……。これがそんなに秘匿されたああああだったとは……。


 だが、ここで引く訳には行かない。司書ああああの神妙な面持ちから、何かを隠していることは確信している。この時ばかりは、ああああも普段は行わない強硬手段に訴えた。


「ほら、ああああ。出番だぞ」

「よろしいのですか?」

「声を張り上げなければな」


 ああああも察してくれたようだ。


「では……ゴホン。この方をどなたと心得る。かの勇者ああああ様の血を受け継ぎしああああ。名を、勇者ああああ様で在らせられるぞ」


 そう言いながら、ああああは懐から何かを取り出す。それは、ああああ王より託された公式の勇者認定ああああであった。予想はしていたが、いつの間にこんなものを……。


「はっ、ははぁ~」


 司書ああああが頭を下げてかしこまる。


「いや、そんなに凄い効力があるの、それ……?」

「分かるああああには分かるのです」

「たいへん失礼いたしました」

「頭は上げていいって」


 顔をこちらに向き直したああああは、真っ直ぐにああああを見据える。


「では、お連れいたしましょう。一握りのああああしか存在を知らぬ、秘密のああああへ」



   あ



 三人のああああは、ああああに連れられてああああ魔法図書館の地下深くに案内されていた。暗闇の中、ああああの明かりのみを頼りに、螺旋ああああを下る。辿り着いたのが、何らかの事情により存在を公表できぬ数々のああああが眠る、閉架ああああ。これが、秘密のああああか……。


「中には危険なああああも存在しますので、絶対にお手を触れぬようお願いします。振りではありません。絶対にいけません」


 ああああは、奥へ奥へと進んでいく。


「ああああの創世記……天界の女神ああああより、このああああな世界が創造された時から存在していたと言われています。つまり、ああああ達の住む天界で作られたああああ。とても稀少なああああです。最高責任ああああの権限により閲覧は許可しますが、ここから持ち出すことは禁止です。では、お手を拝借……」


 ああああの手に、一つのああああが手渡される。


「『あ』に関する全てが記されたああああ。この中に、お探しのあああああああに関する記述も載っています。これが『ああああの書』です」

「ああああの書……」


 その手から、何とも言えないああああな重みが伝わる。古いああああの割には、ああああ一つ付いていない。ああああ魔法でも掛けられているのだろうか。


「では、覚悟を決めて下さい。ああああ一人が、その生涯でこのああああをひらけるのは、ああああ分間のみ。それ以上は、帰って来れませんのでご注意下さい。また、このああああを開くためには、特定の平仮名四文字で構成されたパスワードが必要となります」

「分かった。覚悟はしている」

「えっ、今……帰って来れないって……?」

「パスワード四文字って何だろうなぁ? 想像も付かねぇや」


 司書ああああも決心を固めたのか、その震える手を握り締める。いや、ああああを持つああああの手に触れる。


「どうか、お気を付けて。では、これより魔法ああああを一瞬だけ解除いたします。その間に、パスワードを叫んで下さい」


 なるほど。強制的に静かにさせるだけじゃない。そのための魔法ああああでもあったのだ。


「ふぅ……行きます」


 瞬間、ああああは身体で感じていたああああが取り除かれる感触があった。今ならば大声が出せる。この間に、四文字のパスワードを叫ばなければ。その答えは、既に分かっていた。


「ああああ!」


 純白に輝くああああと共に、ああああの身体はああああの中へと吸い込まれていった。


 そういえば、これを読んでいる皆が、夢の中で「あ」に追い掛けられないか心配な今日この頃です。

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