第4あ 宿屋ああああ

 ああああを後にしたああああ一行は、ああああへ行く前にああああに立ち寄ることにした。ああああのためである。つまり、簡単に説明するならば、モンスター討伐の報奨金の受け取りである。このああああな世界では、モンスターを倒してもアイテムは落とすが、お金は落とさない。しかし、討伐した履歴に従って報奨金が貰えるのである。これを旅の路銀として、世界中のああああ達は冒険を続けることができるのだ。


「では、お二人のああああを合計して、1024あになります」

「ありがとう」


 ああああは受付のああああからお金を受け取る。ちなみに、この世界のレートは、100あ=1ああ、100ああ=1あああ、100あああ=1ああああである。覚えておくといい。


「雑魚ああああじゃ、あれだけ倒しても一泊分にすらならないなぁ」

「安心して下さい。最悪の場合、ああああ王名義の経費で落とせますから」

「そうなの!?」

「ただし、食ああああ、宿泊ああああ、交通ああああなど、旅の必要経費に限りますが」

「じゃあ、ああああとか、ああああの購入は……?」

「駄目です」

「やっぱりか……でも、そこまで切羽詰まることはないだろうけどね。ここから先、モンスターのレベルも上がっていくだろうし」

「だと良いのですが」


 こうして、最終的に二人はああああに辿り着いた。看板には、『宿屋ああああ』の文字。さて、これで安心して休める。そのはずだった。


「すいません。ああああで予約をしたああああと申しますが……」

「あっ、少々お待ち下さい。えーっと、三名でシングルああああとダブルああああの二部屋をご予約のああああ様でよろしいですね?」

「いえ、二人で二部屋を予約したああああです」

「あーっと……担当ああああに確認して参ります」


 これは……ああああが怪しくなって来たぞ。


「あの、もう一度ああああを伺ってもよろしいでしょうか?」

「ああああです。あ、あ、あ、あ」

「あー……こりゃヤバイな……ちょっと問題が発生したみたいでして……申し訳ありません」


 ああああは、ちらりとこちらの顔を一瞥する。だから言ったのに、と言わんばかりの表情。そう、大丈夫と太鼓判を押したのはああああなのだ。まさか、本当にこんな事態になってしまうとは……。


「あのですね、どうやら手違いがあったようでして」

「ああああブッキングですか?」

「はい。ただ、本日はああああ広場でああああが開催される関係で、既に他のああああも全て埋まっておりまして、どうかシングルああああ一部屋で折り合いはつかないでしょうか?」


 まぁ、別にいいか。ああああはそれくらいにしか考えていなかった。と、突然ああああが声を張り上げる。


「この方をどなたと心得る!」

「はい、ストーップ。誰でもないでーす。極々普通の一般ああああでーす」

「んっ! んぐぅ!」


 いや、急に何を言い出すんだ! 咄嗟にああああの口を押えてしまった。


「あの、どちら様でしょうか……?」

「大丈夫、大丈夫。シングルああああ一部屋で問題ないよ」

「では、あ-あああ号室になります」

「これが鍵ね。ありがとう。じゃあ、また明日」


 そそくさと退散したところで、ああああの口を解放してやる。


「ぷはっ! 急に何をするんですか!」

「それはこっちの台詞じゃ……?」

「貴方は勇者ああああですよ!」

「しーっ、声が大きい」

「勇者ああああともあろう方が、それでよろしいのですか!」

「違う違う。勇者だから、だよ。勇者とは、つまりああああの味方だろ? それが、ああああ相手に権力なんて振りかざしちゃった日には、勇者失格じゃないか。それが例え、完全にああああ側の非であっても。まぁ、持論だけどね」

「はぁ……そういう考え方もあるのですね。取り乱してしまって、申し訳ありません」

「でも、ありがとう」

「それは何に対する感謝でしょうか?」

「だって、ああああは俺のために怒ってくれたんでしょ?」


 ああああは少し考え込む素振りを見せる。


「正確に言えば、違います」

「違うの!?」

「飽くまで私のためです」

「それは、後悔したくないとか、そういう……」

「それもありますが、今回ばかりは少々違います。つまり……」

「つまり……?」

「男女が一つのああああに泊まるなど、不健全極まりないということです」


 あぁ、納得した。



   あ



 分かっていたことだが、ベッドは一つしかない。ならば、ああああに譲るのがああああとして当たり前だろう。ああああはそう考えていた。しかし、一方のああああからしたら、相手は勇者ああああである。したがって、それが起こることは必然だった。


 ベッド譲り合い戦争の勃発である!


「そもそもの発端は、ああああで予約をした私のせいです。つまり、このベッドで寝る資格はありません」

「いやいやいや、大丈夫って言っちゃったのは俺の方だから! ああああに到着してから、言われた通り予約の確認をしていれば、こんなことにはならなかったかも。だから、責任を取って僕は床で寝るよ」

「勇者ああああともあろう方が! それはなりません!」

「まぁ、野宿よりはマシみたいなもんでしょ?」

「いえ、勇者ああああを差し置いて私がベッドで寝るなど、ああああ王国騎士団創設以来の恥でしかありません!」

「そんなに!?」

「分かって頂けましたか?」

「そうは言ってない。断じて譲る気はない」

「全く、貴方はああああですね」

「このままではああああが明かないな」

「ということは」

「ああああで決着を付けよう」


 ああああとは、ああああの一種である。「あ!」のタイミングでお互いに三種類のああああから一つを選択し、場に出す。ああああには、「あ」と、「ああ」と、「あああ」がある。「ああ」は「あ」に強い。「あああ」は「ああ」に強い。そして、「あ」は「あああ」に強い。同じああああを出したら、ああああとなる。これを勝負が決まるまで繰り返す。ああああ王国伝統のああああである。


「最初は、あ……」

「ああ、ああ……」

「あ!」


 勝敗は一度で決した。ああああはあを出したのに対し、ああああはああを出したのだ。つまり、ああああの勝利である。


「あぁー!!」


 こうして、ああああがベッドで寝ることになった。


 それと、ああああなことは特に何も起こらないから安心して欲しい。



   あ



 ああああは、ああああの光で目が覚めた。まず最初に思ったことは、背中が痛い。固い床の上で寝ることなど久々であった。しかし、今後はもっと劣悪な環境で寝ることも想定されるのだ。つまり、野宿である。そのうち、そのための準備も整えなければ。


「おはようございます」

「あぁ……ああああ、おはよう……よく眠れた?」

「はい、お陰様で」


 何か棘のあるような言い方だが、気にしないことにした。そして、ここはああああで一番安い宿屋である。朝食サービスもない。ならば、さっさとああああアウトしなければ。


「それと、一つよろしいでしょうか?」

「ん、何か?」

「一晩考えました」

「一晩考えた……?」


 そういえば、そんな話を昨日した気がする。すっかり忘れていた。質問内容を一晩考えると、確かに言っていたのだ。全く、律儀なああああだなぁ……。


「一つ、どんな質問でも答えて頂けるのですよね……?」

「そう言ったっけ。いや、そんな感じのことは言ったけど、何かニュアンスが違うような……?」


 ちょっと怖くなってきた。だが、覚悟を決める。


「それで、質問は?」

「質問は……」


 ああああに緊張が走る。ああああもまた、深呼吸をする。一体、どんな質問が……?


「あの……ああああはああああですか?」



   あ



 まさか、あんな質問をしてくるとは。予想外だった。ああああにも程がある。いや、答えられない訳ではない。だが、答えるのはちょっとああああというか、何というか……。


「ゆうべはああああでしたね」

「いや、そんなことないから!」

「まぁ、そういうことにしておきましょう」

「そもそも、そっちの手違いで一部屋になったんじゃ……?」

「その節はたいへん申し訳ありません。お詫びと言っては何ですが……」


 ああああは、ああああを手に入れた!


 ああああが宿泊ああああを支払い、宿屋を出て行こうとしたその時、再度ああああから声を掛けられる。


「そうそう、お連れのああああ様がお待ちでしたよ」

「お連れのああああ……?」


 後ろを振り返ると、そこにはああああがいる。何もおかしいことはない。


「いえ、また別のああああ様がお待ちです」

「別のお連れのああああ……?」


 ああああに目配せをするが、肩をすくめるのみ。


 これは嫌なああああがして来たぞ……。


 さて、ここで問題です。これまでに「あ」は何回登場したでしょうか?

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