10話 本当の気持ち

「え…?」

どういうことだ…?僕が、美雪の恋人…?それで、その美雪の願いは…僕との記憶を消すこと…?まったく話についていけてない僕に、美雪は苦笑していた。

「ごめんね、さっき知り合った人に勝手に自分の願いを言ったりしちゃって…」

「いや、別にいいけど…」

だが、どういうことだ?僕との記憶を消す?

「私ね…癌なんだ…ステージ4…」

「癌…?」

「私、もっと健や紫雷と一緒にお話したり、遊んだりしたかった…でも、それは無理だってことはわかってた…ステージ4の癌だって診断されたのは昨日だから、昨日のうちに病院を出たんだ…」

「じゃあそのお願いで自分の癌を治してもらえばいいじゃないですか。そうすればあなたはまだ生きることができる!」

それならこんな苦しそうな美雪を見なくて済む…

「無理だよ…」

「何で無理なんですか!?」

無理なはずがない、願えば叶えてくれるのがこの桜だ。

「この桜は一人に2つの願いを叶えてくれる、私はもうひとつ願いを言ってしまった…」

「その願いっていうのは一体なんですか?」

「私の彼氏、倉橋 健を私から卒業させてほしい…これが私の願いだよ…」

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君のそばにいたい やまやま @37082

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