第九話 願い
僕は後ろを振り向き、そして…
「え…」
絶句した…だって、そこには…
「なんで…お前が…」
そこには美雪が立っていたのだから…
「こんにちわ。私の名前は美雪です。」
「えっと、倉橋 健です。」
とりあえず自分も名乗っておく。やっぱり美雪だった。でも、何故、今病院にいるはずの美雪が僕の眼の前にいるのかがわからない。そうやって、僕が考え事をしていると美雪が僕の方をずっと見ていることに気付いた。
「僕の顔に何かついてますか?」
とりあえずそう聞いてみると、
「いえ、ただ私の兄と同じ名前だし似ているからびっくりしちゃって。」
そう言って美雪はかすかに微笑んだ。
「僕とその人はそんなに似ているんですか?」
「えぇ、それはもう瓜二つですよ。」
そんなに似ているとはこちらもびっくりしたものだ。
「それで、美雪さんは何故この桜に?」
僕がそう聞くと、
「多分、あなたと同じですよ。願いを叶えてもらうためです。」
「どんな願いですか?」
そう聞くと美雪は少し寂しそうな顔をしながら、
「私の兄、倉橋 健君から、私と私との思い出を消して欲しいという願いです。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます