第五話 残された時間

「美雪!紫雷!」

美雪と紫雷が死んでいる…そのことが未だに信じられず、僕は二人がいる部屋に駆け込んだ。

「どしたの兄さん?」

「健、どうかした?」

二人共今のところは大丈夫そうだった。

「良かった…」

とにかくそう言うしかなかった。

「ほんとにどうしたんだよ兄さん?」

「だって、この本に二人共死んでるって…」

そうして僕は千年桜と書かれている本を二人に渡した。

「…」

その後、二人はしばらくその本を見ていた .

そして、

「やっぱり、気づいちゃったか〜」

そう美雪が言ってきた。

「やっぱりって…?」

僕はその言葉の意味が理解できなかった…いや、正確には理解はしたが、認めたくなかった。

「健が思っているとおりだよ…」

そう聞いた時僕は…

「じゃあ…二人は、もう…」

そう言おうとした時僕は声が出なかった…

「ごめんね、兄さん…」

「私たちはもう一年もここにいられないと思う…」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る