第4話異端の発覚2
私達は、校庭から校舎へと続く階段を上った。
風に乗って、人の声がした。
どうやら、駆け付けた軍の人達らしかった。
良かった、大事になる前に応援が来て。
私は、足元に漂う幸福感を密かに味わいながら、救援されていく学校の様子を音だけで感じ取った。
階段の頂上が見え、最後の石段に足がかかった瞬間、剣を構えるような金属音がした。
やっぱり、こうなったか。
私は一人ごちて、階段を上り切った。
そこには、厳重に武装した国軍が十三人、標的を包囲する陣形を取って私を待ち構えていた。
「動くな!!」
威嚇なんて生易しいものではなく、その声は本当に殺気を帯びていた。
要するに、命令だ。
拒否権が一切ないことに早々に気付いた私は、反論の代わりに盛大な溜息を吐いた。
―「どうします、アス?」
―『何者かが先程の校庭での出来事を監視しているような気配があったが、こいつらか。逃げようと思えば何時でも逃げられるが?』
ここで逃げても国軍級の人達なら追ってくるだろうし…何より体力が底を尽きた。正直立っているのもつらい。
―「疲れました。」
―『我が主の仰せのままに』
私達は……正確にはアスは私の中に戻っているので投降しているのは私だけだが、子供一人を相手にしているとは思えない程物騒な軍隊に回収された。
黒煙が立ち上る中、崩れた校舎の残骸に、赤い液体が点々と散っていた。
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