第50話 無理だってば



「どうして付き合わないの?」


「無理だってば」


明歌寧は顔をしかめて言った。


「だって優しすぎる感じがするんだもん」


「最初だけだと思うよ、そういうの」


「前の彼氏がそうだったからなんとなくそんな気がするの」


「えーそんなのはっきりしないってことじゃない」


「前の奴って、何でも私のことを優先するの」


「いいことじゃない」


「いつもそうだと重荷に感じるものよ」


「うちの彼氏なんか、私が振り回されっぱなしだから、そういう人が理想だよ」


「いつか聞いたことがあるの。一緒に食べたら全部払うし、私が会いたいと言って日時を変更されたことはないし」


「良いわよ。約束したのにすっぽかされたことあるもんね」


「きついことを言ったら奴は何て言ったと思う?」


「・・・・」


「言ってくれてありがとう、だって」


「あっはは、それは引くわ」


「そうでしょ。トラウマなのよ優しすぎる男」


「でもなぁ、この前紹介した男はそこまでじゃにような気がするけどなぁ」


「分かんないもんよ、付き合ってみないと」


「そんなこと言ったらもう誰とも付き合えないじゃない」


「それもそうだけどね・・・・」


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