第43話  毎朝

「もう起きた?」


彼女からいつものおはようメールが来た。


うー。


毎朝、うぜんだよー。そう言いたくてもそんなこと言えないよなぁ。


「起きたよ」


ひとことだけのメールを送る。 彼女を怒らせんないように、でも出来るだけ機嫌が悪い


ことを分かってほしい気持ちだった。


彼女からは、今日の予定や昨日の夜の出来事などざわざわとした長文が届く。


「今日はゼミが午後からだから昼前には家を出るよ」


「バイトも頑張ってね」


人間なんて勝手なものだと彼は考えた。


かまわれるとめんどくさくなり、かまわれないと淋しくなる。


「お前もバイト頑張れ」


いつもこうだ。


男は同じだろうか。


相手が自分のことを好きだと確信するとちょっと邪険になる。


でも会うとつい笑顔満開になってしまう。


こういうのってツンでれっていうのかな。


でもそれは女の子だけに使われる言葉じゃなかったっけ。


彼はいつも家を出る用意をしているときそう思う。



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