第42話  隙をみせない

「隙を見せない生き方ってどんなんだよ」


雅弘が彼に向かって問いかけた。


「漠然としか分からないけど、人に弱みを見せないということかな」


「人前で泣かないということか」


「それもある」


「他には?」


「弱気なところを見せないということじゃないんだ。弱気を見せて相手に逆に隙を出させるということもある」


んー難しい。


「相手は彼女じゃないぞ、あくまでもビジネスでの話しだ。」


「俺は彼女には隙間しか見せてない」


言ってる意味が分からない。


「特に上司や部下だ」


それは分かる。


特に部下というか、後輩には弱みを見られると、なめられてしますことは常識だ。


「自分は身分を偽って潜入した捜査官のつもりになれと言えば分かりやすいだろう」


なるほどと・・・


そんなのこと分かるわけないじゃない。


テレビドラマじゃあるましし。


「少なくとも俺はそうした意識でこれまで、組織のなかで生きてきた」


んー、やっぱり分かりづらい話だね。


彼は適当に相槌を打って、今日は帰ろうと思った。



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