第41話  運転かわってくれ

「次のサービスエリアで運転替わってくれ」


いつも遠出すると帰りの高速に入るとすぐに運転を替わろうとする彼。


「けっこう疲れたでしょ」


「首が痛い」


「首都高速も私が運転する?」


「いいよ、海老名サービスエリアで替わるよ」


彼女も頻繁に運転しているわけじゃない。


疲れたという彼に運転させとくわけにはいかない。


一般道路では自信ないが、高速で一番端のレーンを走って90キロくらいで走ればそんなに恐くない。


「いつもごめんな」


「べつに良いよ。事故おこされるよりは」


「そうだよな」


彼も彼女も箱根が好きだった。


行き着けのレストランもあり、年に数回は箱根に足を運んだ。


「今度はいつ行こうか」


「年末に行きたいな」


「雪は降らないかなあ」


「12月に降る確立は低いだろう」


彼の自動車は、マニュアルミッションのGTタイプだった。


だからクラッチも思いから、渋滞にはまると疲れが倍増した。


彼女も最初はマニュアルが嫌だったが、もう慣れた。


「海老名まであと12キロだ」


案内の看板が見えてきた。


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