第39話  浮いてるかな

アールグレイティを飲みながら、


「私って浮いてるかなぁ」


美音はそういうと不安そうな顔をした。


「んー、正直に言うとそういうことはあるかも」


美音は経済学部の3年生で、経済学科で少ない女子のなかでも飛び切りの少し前というくらいの美人だった。


「男子が多いしさ、女子は地味系がほとんどだからね。だから浮いてるというより、目だっているという感じかな」


「悠美だって季代だって可愛いじゃない。私なんかたいしたことないのに」


「それって、本当に思ってる?」


「思ってるよ」


「本当かなぁ」


「高校でもぜんぜんもてなかったし」


「彼氏はいたんでしょ」


「それはそうだけど」


「もてない女が彼氏なんか作れないよ」


「わたしからアプローチしただけだよ。それも2回振られているんだよ」


「もう別れたんでしょ」


「むこうは九州の大学に行ったからね」


「でも医学部なんでしょ」


「将来医者になるからって、好きでなくなった人と打算で付き合えないもん」


「私だったらキープしとくけどなぁ」


「そんなこと私にはできないよ」


目の前で自分のこと「浮いてるかも」と言った友人が「男をキープする」と言ったことが意外だった。


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