第35話 美貴
「あなたいつもそうよね」
突然旗色が悪くなる。
未貴はいつもお酒を飲むんで酔いがまわってくると人を攻撃しだす。
「はいはい分かりました」
同僚として2年になるけど、未貴は表と裏の顔が違いすぎる。
別に上司や男に良い顔をしているという意味じゃないけど。
「あんた手が遅いんだよ」
「そうそう私はどんくさい女ですから」
逆らうと逆上してかさにかかるのでいつもからみが始まるとおとなしくしている。
こちらが抵抗しないと分かると、とろんとした目になる。
「だよね、あんたはだめな女」
肩を出したワンピースを着ていた彼女の肩の肩甲骨あたりを人差し指で触る実貴。
しょーもない女だなあ、と思いつつ、自分に甘えているのかなあと彼女は思った。
未貴の艶がある長い黒髪を触った。
「今度表参道に買い物行こうよ」
また高い服を買いに行こうとしている。
いや、靴かアクセサリーかな。
「新しいカフェが出来たから行ってみたいんだ」
珍しいね、未貴。洋服じゃないんだ。
彼女は思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます