第28話 地味だね






「地味だね」





いきなり頭の上から言われた。





振り向くと、奈緒という子が立っていた。





ショートボブの髪型に、輪郭の小さな顔のかたち。





あごがしゅっとしていて、男の子みたいなしゃべりかたをする女の子。





「どこがー」





「全体だよ、全体」





「・・・・」





目が笑っている。





「怒んない、怒んない」





「ところであんた駅前の花屋が親戚なんでしょ」





「そうだけど」





「今度母親の誕生日に花を贈りたいから安くしてよ」




「それは分からないよ。実家じゃあないんだし」




「実家みたいなもんじゃん」




「いちおう、親父の従兄弟が経営してるからね」




「でしょ、だからいいじゃん」




「聞いておくよ」




「頼んだよ」




そういうと、くるりと反転して自分の教室へ戻っていった。




その後ろ姿のきゅっとしたくるぶしが可愛いと思った。













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