第26話みんな人生のアマチュアなんだから







「あなたのそういうところがいけないと思うのよ」




物事をはっきり言う女だった。




2歳年上の4年生。




就職活動も終わり、余裕をぶっこいいている。




彼女とはサークルで知り合った。




彼が1年生のときだった。




飲み会や、活動でたびたび顔を合わせているうちに、気がつけばふたりきりで会うようになっていた。




「優柔不断がなおらないわねぇ」




分かってるよ、そんなこと。




年下だからって、見下してんじゃないよ。




なんて言えやしない。




彼にとっては初めての恋人だった。




好きだなんて一度も言ったことはない。




会うのも決まって彼女からの誘い。




彼にとってはそれが心地よかった。




「俺ってだめな大人になるのかなあ」




「みんな人生のアマチュアよ」




この女いちいち言うことがカッコイイ。




草食動物でもなんでもいい、はっきり言ってくれる女が自分にはふさわしといつも考えていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る