第25話  超ショート 「教えて」


「数学教えてくれないかなぁ」


付き合いだしてまだ2日しかたっていないのに彼は言い出した。


「難しい?」


「高校の数学は難しいよ」


「いいよ、マックでも行く?」


マックで教科書を広げるのは恥ずかしいけど、他の場所がなかったから。


「この前の模試どうだった?」


「Cばっか。志望校変えようと思って」


「私もそうだよ。まだ2年あるから大丈夫だよ」


この彼と付き合って半年。


志望も同じ工学系だから同じ大学に行けたら良いなと思うこともあった。


でもそれまで付き合ったいられるか分からないし、とも思った。


駅までの帰り道。


彼に頼られるのが少しうれしかった。


でも・・・


うまく教えられなかったらどうしよう。


うまく出来ない私を可愛いと思うかしら。


それは自意識過剰だよね。


10秒ほどの無言のとき、彼女は考えた。


彼と彼女の前には、同級生たちがわいわい話しながら歩いていた。


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