第21話 超ショート 想像もしたくない
「もしお母さんが危なかったらどうしよう」
母親が病院に検査結果を聞きにいったとき、妹は不安そうに言った。
「そんなこと想像したくないよ」
「お母さん、毎年市でやってる検診に行けばって言ってたのに忙しいとかいって行かなかったからねぇ」
下腹部の痛みが取れないというので病院にいったら、
「くわしい検査をしましょう」
ということになり、その結果がその日だったのだ。
妹はまだ中学生で、私は専門学校に通っていた。
父親とは2年前に離婚し、母親が働いてわたしたちを養っていた。
「大丈夫だと思う」
なんの根拠もなく言った。
もし、そうでなかったら、わたしたちの将来がいっきに暗くなる。
父親は、他の女と再婚し、子供も生まれたばっかりだった。
「お父さんは、わたしたちの面倒みてくれるのかな」
「そんなこと今から心配したってしょうがないじゃない」
「でもさぁ」
不安そうに私を見つめる妹にそれ以上言葉がなかった。
「お姉ちゃんが私の面倒をみるんだよ」
「分かってるわよ」
妹とネガティブに負けそうだった。
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