第20話超ショート 他人にもどろう
「他人に戻ろう」
「古い言い草ね」
もう彼女とやり直すことは出来ないと彼は思った。
だから今日言おうと思った。
「知り合う前に戻るだけだよ」
「つまりこれまでのおたがいの時間を無かったことにしようということでしょ」
「そういうことになるのかなあ」
「冷たい言い方ね」
「俺だってどう言おうか考えたんだよ」
「思慮が足りないってこういうことを言うのね」
「そういわれてはもう何も言えなくなっちゃうけど」
「はい、そうですかって、私が言うと思った?」
「いや、そうは思わなかった」
「じゃあ、なによ」
「おたがいにもう限界だったことは分かってたと思うけど」
「それはそうだけど」
「俺から一方的にって話じゃないだろ」
「それは分かるけど」
「確かに他人に戻ろうなんて古臭い言い回しだし、もともと俺たちは他人だし」
「そらりゃそうよ」
「あえて、そういうことしか頭に思いつかなかったんだよな」
「どうせ限界は限界なんだから、あなたがどう言おうと結果は同じことなのかもね」
「ごめんね」
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