第19話超ショート 俺はこんなもんじゃない
「俺はこんなもんじゃないから」
そう息子は言うけど、不安だな。
「後期のはじめには、偏差値で15は上がってると思う。だから今はC判定でも、少なくてもB判定にはなると思う」
志望校は明治大学だった。
都立の中くらいのレベルの公立校からいわゆるマーチと呼ばれる明治、立教クラスを目指すのは、同じ学年中ベストテンあたりの成績でないと無理だ。
普段は息子の学力をあまり気にしてないそぶりを見せているので、そんな基礎知識があるなんて息子には想像できないだろ。
「大丈夫だよ、母さん」
息子の気持ちはありがたい。
でも、根拠の無い自信があるようで怖い。
「無理して明治じゃなくても良いのよ。ランクを下げても現役で入れば」
「じゃあ、浪人は無理ってこと」
「早紀もいるからね」
そう息子の二歳下にはこれから高校受験する妹もいる。
「お金はあなたが心配することじゃなけど、浪人はきついからね」
そう、彼女も大学浪人した経験があるからだ。
反対に夫は指定校推薦で現役入学した同じ大学の同期だった。
「だから、あと3ヵ月後には合格できる保証がつくって」
どうしてそんなこと言えるのかと突っ込みたくなるが、言い争いになるようで口に出さなかった。
「勉強法を変えるんだよ。いい本が参考になってさ」
怖くて口に出せなかったけど、とりあえず、息子を信用することにした。
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