第13話 超ショート 見にいこっ

「ねえ、今度写真展見に行こうよ」


「何のだよ」


「第二次世界大戦の前に生きていた人の写真」


「へえー」


妻がそもそも、展覧会を見たいなんていうこと自体珍しいのだが、よりによって戦前の写真などとは。   「驚き」・・・だった。


「その写真家は、自分の奥さんをモデルにして、前衛的な写真を撮ることで有名だったみたい」


私は、写真についてはほとんど興味が無く、子供の運動会の写真だってIフォンでいやいや撮るくらいなものだった。


家族にたいして愛情が希薄だとかいうんじゃない。


ただただ、機械を操作するのが面倒なだけだ。


「あなたは興味なさそうだけどね、でもたまには良いじゃない」


分かっているのにわざわざ人の心をざわつかせるのが私の妻だ。


「良いよ、行っても」


「今度の土曜行こ」


「子供を連れていくのは良いなかなあ」


「私が写真を見ているときに、外の公園かなかで遊ばせておいてよ」


結局、それかい。


「面倒くさいなぁ」


「ごめん、ごめん」


「こんど、私も持ちで食事行くからさ」


どっちが妻か夫か分からないのが、現実なのかなと彼は思った。



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