第4話 超ショート えさくわす!
ランチタイムに食堂でとなりに座った女たちの会話が聞こえてきた。
「彼と結婚するの?」
やや明るい髪の毛の色の女がパスタを口に入れようとしていたもうひとりの女に話はじめた。
「どうしようか考えてる」
「付き合って2年だっけ」
本日のランチに添えられたサラダの野菜を口に入れながらその女の口調は静かだった。
「2年間のうち半年間会ってなかったけどね」
「私だった結婚しちゃうけどな、彼、なかなかかっこいいし」
「浮気が心配」
「それは言えてる」
「それに毎日えさくわさなけりゃならないし」
いきなり強烈な言葉が胸に刺さった。
「えさをくわさないと」だって。
新一郎は、自分の妻が自分に、
「えさをくわしてる」
なんて思っているのだろうかと想像すると、寒気がした。
「じょうだんじゃないぜ。飼い犬じゃないんだから。こっちは家族のために、嫌いな仕事相手にも頭下げてるっていうのに」
「そうそうえさ作るのめんどいよね」
「だからさぁ、結婚っていうのも微妙だよね」
だったら結婚すんな。
その女たちに言ってやりたかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます